第4話 かーちゃん
ノブが目を覚ますと木の天井が目に入る。そして、天井を見上げながら後悔を口にする。
「またやっちゃったー」
ノブはゆっくりと体を起こして周りを見渡す。木のテーブルが1つ、そこにイスが4つあり、キッチン、そして自分の寝ていたソファー、暖炉、外への戸が目に入る。
「サンザークさんの家かな?」
その時、戸が開きサンザークが入っていくる。
「起きたか?つーか、何回お前に「起きたか?」って聞かなきゃならねーんだよ」
と笑顔で話しかけてくる。
「いやいや、血だらけのおじさん見たら、誰でも気を失いますって」
「失礼な奴だなー、俺はおじさんって言うほど年を取ってない!これでも28だ」
「もう1回気絶してもいいですか?」
「バカヤロー!また気絶して起きたら俺が「起きたか?」って聞くのかよ」
「だって、28はないですよ、28は!!どう見たってサンザークさんは48です!」
「今度、ベリーウルフに襲われても放置だな」
「サンザークさん、やっぱり8歳くらいに見えますわ~」
「若けりゃ良いってももんじゃないっつーの!!まぁ冗談はここまでにして、この服を着な」
とサンザークは薄茶色のシャツとカーキのズボンを渡してくる。
「おぉ~!!!!!!夢にまで見た服~」
ノブはサンザークから服を受け取ると早速、着る。
「なんか、パンツはいてないからスースーする。まぁいっか。ありがとうございますサンザーク様」
「そうか、パンツもなかったか。俺のなら貸してやっても良い・・・」
「死んでもいりません!」
ノブはくい気味に断る。
「ま、まぁそりゃそうだよな。それとお礼は俺にじゃなくて服を作ってくれたかーちゃんに言ってくれ」
「あっそうなんですか?んで、そのかーちゃんはどこに居るんですか?」
「今、近所に野菜を貰いに行ってるところだからすぐに戻ってくるだろ…おっ帰ってきたぜ」
戸が開く音が聞こえ、女の人が入ってくる。ノブは入ってきた人を見て思う。
『かーちゃんって、ワイフじゃなくてママかーい!!』
女の人は年齢50は超えるだろう、おばちゃん。
「サン!ノブさんは起きたのかい?」
「おう、かーちゃん!もう、起きて作ってもらった服を着てもらったところだ」
「サンザークさんのお母さん、初めましてノブです。服ありがとうございました」
「あんまり気にしなさんな。わたしも久々に息子以外の息子を拝ませてもらったお礼だよ」
「・・・・・・・等価・・・交換」
ノブはそれだけを口から出すのが精いっぱいだった。
「かーちゃん、ノブに何言ってんだよ!ノブ、また気絶すんなよ!それよりも朝飯朝飯!今日からノブに色々と仕事を手伝ってもらわないといけんからな」
サンザークママは貰ってきたレタス的な野菜をちぎり、パンに乗せ、その上にお肉を乗せ、再びパンで挟みサンドイッチを作る。ノブは激マズサンドイッチの味を思いだし
『また、あの悪魔サンドイッチ・・・・・・』
そして、サンザークは出来上がったサンドイッチを見て
「うお~今日もかーちゃんのお手製サンドかよ、最高だぜ!」
『こいつ・・・』
「サンはこれが大好物だものね。ノブさんも遠慮しないで食べておくれ」
ノブとしてもあまり食べておらず、お腹空いていたこともあり無心で口に入れていく。
『考えるな!だがしかし感じては駄目だ!これはお腹の中に物を詰めていくという作業!そう、作業!』
あらかた食事という名の作業を終えるとサンザークが口を開く
「今日はギルドの支部がある街まで行くぞ。昨日の素材を売りに行ったり、お前をギルドに登録したりしないといけないからな」
「そういえば、サンザークさんって冒険者でしたよね?冒険者って何するんです?」
「そらー、ギルドにくる依頼をこなしたり、魔物を狩って、素材を売ったりだな、まー何でも屋みたいなもんだ。普通に働くよりは危険が伴う分、収入はい良いけどな」
「なるほど、じゃぁわたくしはその冒険者というのになるのですね?」
「まぁそうだな。俺の手伝いをしてもらうにしてもギルドに冒険者として登録してパーティを組まない事には手伝いが出来ない。冒険者を手伝えるのは冒険者だけだからな」
「先ほど危険が伴うと言ってましたが、どれくらい危険なんです」
「毎年、この国で1万人は冒険者なる奴がいるがその内、約7000人は来年が迎えられる」
「1年で3000人死んどるやないか~い!!」
「まぁなんだ・・・大丈夫だ」
『待てよよく考えればあの危なそうなベリーウルフを一撃で倒すサンザークさんだ。何も考えずに「大丈夫」とは言わないだろう意味があっての「大丈夫」という言葉だ、その言葉に嘘はないだろう。しかし、あの悪魔サンドイッチを「最高!」と言いながら食べるくらいだ・・・・・・・・信用できない。だが、命まで助けてもらって、服まで貰って、ここでやりませんという言葉が言えるだろうか・・・命があっての物種だ!ここは勇気を振り絞って・・・』
ノブはサンザークの山賊顔を見る
「オラ、冒険者になるだ!」
「何言ってんだよ!早く準備して行くぞ!昨日、気絶して放り投げてあった荷物はそこに置いてあるから、それを持ったらすぐに出るぞ」
「了解ですアニキ」
「何がアニキだよ」
ノブはかーちゃんにお礼を言い、サンザークの家から出る。家の外には数軒の家があり、道を人や子どもや牛っぽい動物、猫っぽい動物が歩いており、それなりに賑やかな様子がうかがえる。
「結構、人がいるんですね」
ノブは村を見た感想を素直に口にする
「まぁな、ここはお前が居た魔森林ガラから一番近い村でそこに居る魔物を狩りに来る冒険者が泊まったりする所でもあるからな。一応、ここにも簡易ギルドはあるが冒険者登録は支部まで行かないと出来ないんだ」
「なるほどなるほど」
「これからギルド支部があるルーブルまで行くんだが、だいたい歩いて2日で着く、道中はほとんど魔物は出てこないから安心して良い」
「いやっほーい」
ノブはサンザークから「安心して良い」と聞いて、嬉しそうに飛び跳ねながら村から出る。
もう少し長く書きたい…