第3話 サンザーク
朝日が森にあたり、木の影から光が差し込む。ノブはまだ眠たく、重い瞼ゆっくりと開ける。そして、巨漢山賊がぼんやりと見え、再び閉じる。
「ん?起きたか?疲れは取れたか?」
「あい、おかげさまでぐっすり眠りすぎてまだ、夢の中にいるようです」
「ははははは、じゃぁ川で顔でも洗って夢ではないことを確認してきな」
「はい〜」
ノブは毛布的なものを肩にかけ、目をこすりながら川まで行き、顔を洗う、川の水はやっぱり冷たく夢ではないことがわかる。その後、朝食を食べ終わると、火が消えている事を確認しすぐに出発する
「サンザークさん、これからどこへ向かうんです?まぁ聞いてもわからないでしょうけど」
「一旦、うちの家に帰るぞ、いつまでも裸の男を連れて居るのもおかしいからな」
「ごもっともで、何から何までお世話になりまする」
「まぁ良いってことよ、それとこの鞄を持ってくれ、お前の荷物も入れておけ」
サンザークはノブにリュックのような50センチほどの鞄をわたす。ノブは刀?と宝石を鞄に入れ担ぐ
『シュール過ぎる、リュックを背負った裸族、親が見たら居なくなって良かったとおもわれるな』
「よしっ準備できたな、早速出発だ!」
ノブとサンザークは川辺に沿って歩き始める。
「サンザークさんの家までは遠いんですか?」
「まー今から歩けば、夕方にはつくだろう」
「近いのか遠いのか基準がわかんないな〜」
「歩いてたらそのうち着くってことだ」
と笑いながらこたえるサンザーク、そして2人は途中、休憩を挟みながら魔物や山賊に襲われることなく順調に歩くもう少しで森をぬけるという時、ガサガサガサガサと森の葉や木の枝を揺らし音を鳴らしながら何かが近づいてくる。
「もう少しで森の出口だってのに・・・」
「サンザークさん?なんかこっちに向かってきてますよね?」
「まぁそうだな・・・この先に少し広い場所がある。そこで迎え撃つか」
「迎え撃つって何が来るんです?」
「恐らくベリーウルフが3匹だな」
「危険な香りしかしない」
「こんな狭いところでやり合ったら面倒だ、早く行くぞ」
「りょ、了解!!!」
少し行くと20畳程のひらかれた場所に着く、サンザークはノブに後ろに下がっているように指示を受け、ノブはサンザークから3メートルほど距離を取り態勢を低くしておく、サンザークは背中に背負っていた剣を抜き、構える
「デカっ!!怖っ!!」
ノブは抜かれた剣を見て大きさに驚く、サンザークの剣は長さ150センチ、幅20センチの両刃の大剣、黴な装飾はなく刃にはキラキラと光る宝石のような物が一つ埋め込まれている。
段々と魔物が近づいて来る音が大きくなり、サンザークまで10メートルというところまで来るとガサガサという音は聴こえなくなる・・・・・・木々が風で揺れる音だけが聴こえる・・・次の瞬間、3方向から3匹同時に飛び出しノブを襲う
「なんでやね〜んっ!!!」
ノブは壮絶で下手くそなツッコミを入れる。それとともに体をダンゴムシのように丸め衝撃にそなえる。
サンザークは不意を付かれても焦ることなく、魔物が出てきた瞬間、一足飛びでノブの所に行き、剣を豪快に振り回す。3匹中2匹はサンザークの一撃で体や顔に致命傷を負い、血を流して倒れる。
ノブは衝撃やその後に来るだろう痛みを覚悟していたが来ることがなくダンゴムシポーズを解くと頭を上げる。サンザークは1匹の魔物に向き合い睨み合っているのが見える。ノブはまだ、恐怖で体が震える中、ベリーウルフと思われる魔物を凝視する。体はイチゴのように赤く、首から顔にかけては緑色をし、犬のような顔つき、体長2メートル、サンザークに傷をつけられたのか右の目に切り傷があり赤い血が流れている。
「行くぞ」
サンザークはそう言うとベリーウルフまでの距離を一瞬で詰め、上段から剣を降る、ベリーウルフは片目が見えないこともありほとんど動くことなく、体をした2つに割られ血が流れる。
『あー貧血で倒れそう』
とノブが思っているとサンザークが近くにやって来てノブに声を掛ける
「大丈夫だったか?すまんな、弱いそうな奴に向かっていく魔物の習性を忘れていた」
「怪我も無いですし、大丈夫ですよ。ただ、貧血で倒れそうですけど‥‥」
「はははは、まぁ怪我が無かったなら良かった。さっきの魔物がベリーウルフだ。1匹だとそんなに強いやつじゃぁないが、数匹で襲ってくることが多くて中々に面倒くさい」
「いやいや、1匹でも軽く死ねますから」
「まぁいい、ちょいと奴らの素材をはぐから、ここで待ってろ。それともはぐところ見るか?」
「いえ、絶対に無理です」
「そう言うと思ったぜ、、顔が青いからな。ちょっと待ってろ」
そう言うとサンザークは倒れたベリーウルフの所に行き、解体をし始める。
「これから、あの人の手伝いをしなきゃいけないから見とかないといけないんだろうけど・・・」
しばらくしてサンザークが解体を済ませ、ノブの所へ戻ってくる
「待たせたな」
ノブは生えている草を繊維にそってちぎるという遊びの手を止め、声を掛けてきたサンザークを見る。そこにはベリーウルフの血が手や体、顔にまでついているサンザークが目に入る。
「油断してたわ〜・・・」
そう言い残し、ノブは2日続けての気絶をする。