第1話 プロローグ
田舎生まれの田舎育ち、母は小学校教師、父は公務員のいたって普通の高校生、武藤大将(ムトウヒロノブ)通称ノブ、身長173センチ、体重60キロ、体型細マッチョ型、顔は中の上、性格おっとり、ツッコミ派の16歳おひつじ座は、いつもと変わらない自宅への帰り道を自転車で爆走していると突如、目の前が謎の光につつまれ瞬間的に目を閉じる。
次に目を開けた時には、こいでいたはずの自転車は消えており、ノブは自転車に乗っていた時と同じ格好で周りを見渡す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・目の前には真っ白な空間がどこまでも広がり、上を見上げても青い空は見えず、下を見ると真っ白な服をを着たハゲかけている人が土下座をしている。
ノブは状況が理解できず、しばらく考える・・・・・・・・・・
『この体勢、友達に見られたら引かれるな‥‥』
と体をゆっくりと楽な体勢に戻し、再び考える‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥そして一言
「かけてるっていうよりも、ハゲてるね」
真っ白い人はピクっと体を反応させ、そしてゆっくりと頭を上げると
「武藤君、本当にすまない」
「えっ!」
ノブは驚いた
「ハゲなのにイケメン!!違う違う!いやいや全然意味わかりませんから、いったい誰ですか?ここどこですか?何が起きてるんですか?なんでイケメンハゲなんですか?」
「すまない、順を追って説明しよう、ワシはこの世界の神だ」
「髪!?いや、神か。よく考えてみれば自分の事を恥ずかしくもなく神と名乗るなんて、本物の神か某教団の尊師くらいしか居ないはず、白い服を着たハゲイケメンとういうだけなら尊師でも通用しそうだが・・・しかし、このどこまでも続く白い空間が納得出来ない、そう考えれば見本物の神?」
「落ち着いてくれ・・・ちょいちょい傷つくから・・・・しかし、神と分かってくれたなら良かった。話を続けるぞ、ここは世界と世界の間にある世界、武藤君、君は世界と世界が数十年に一度、一瞬だけ交わるときに起こる、光の乱気流に巻き込まれてしまった。ワシとしても未然に防ぐことが出来ない。普通は一瞬だけの光っただけで終わるんだが、たまに人や動物が光に巻き込まれ、この空間にやってくる、それも数百年に一度あるかないかだ。ワシが土下座をしていた理由だが・・・・・・二度と元の世界には帰ることができないからだ、この空間に来てしまえば隣の世界へ行く事しか出来ない・・・・・・・」
「なんだってー!!!!!!」
ノブはここに来て初めて、素の声を上げる。そして、お互いに何も言わない静かな時間が流れる。
「気持ちの整理はつかんと思う、親や友達達との急な別れだ・・ワシとしては未然に防ぐことが出来ればよかったのだが・・・・ん?」
何かに気が付き言葉を止める、見るとノブは小さく震え
「エロDVDが居間のデッキに入ったままだったんだよー!!!!」
と心から叫ぶ、そして涙を堪えながら絞り出すように言葉を続ける
「確かに親や友達にもう会えないのは悲しい、悲しいけど仕方がないことなんだろ、納得できないけど、納得するしかないじゃないか!ただ、俺がいつまで経っても家に帰らず、親が行方不明届けを警察にだし、それでも見つからず、気分でも紛らわそうとDVDをつけると喘ぎ声が居間に響く・・・・・地獄絵図でしょ!?「ふっあいつも大人になったな(笑)」なんて微笑ましい絵が想像できますか!?十中八九、地獄絵図でしょ!?」
「落ち着け落ち着け、ワシとしてはなるべく君の不安を取り除いて送り出そう・・・まず、DVDだがデッキから抜いておこう、家族には、君がいなくなったことがわからないようドッペルゲンガーと呼ばれる君の分身が普通通りに生活してもらう、君にも何かしらの恩恵を与えた状態で違う世界へと旅立ってもらいたいが君はもう隣の世界の人となってしまっている為、してやれることは少ない・・・向こうの言語の聴覚発声知識だけだ」
「だけって、言葉だけ喋れて、聞けて、書けるだけじゃすぐに死んじゃうんじゃないんですか!?向こうの世界は魔法があったり、モンスター的なやつがでてきたりとかしてとっても危険なんじゃないんですか!?」
と途中まで納得しながら静かに聞いていたノブが狼狽える。
「それがワシが知っているのは、君の今までいた世界のすべて・・・他の世界については全く知らん、もう一回言っておくが全く知らん」
「あっえっ、知らんってじゃー言語知識は?」
「それは向こうの世界に行ってしまえば、言語に関しての知識だけを脳が勝手に吸収するように君の脳の中の一部を書き換えといた、他の知識に関しては、ワシの干渉力では無理だった‥‥」
「うわー」
ノブは完全に引いていた、神と呼ばれる役立たずのイケメンハゲに・・・・・・
「待て待て、知識に関してはどうにもならんが、前に神々との会議の後で君が行く世界の神と少しだけ話す機会があってだな、普段は自分が治める世界については話さない決まりなんだが、あやつが酒に酔った勢いで色々と話してな、その中で君に役立つ話しを聞いてな、それを教えてやろう。・・・・・・・・・・・・向こうの世界では生活をする上で宝石が大きな鍵を握っておるらしい、そこで君ににこの宝石を受け取ってもらいたい」
とゴルフボール大の虹色に光る宝石を出す
「この宝石はレインボーダイヤと名付けている、地球上ではこの一つしか存在しない宝石だ、大事にするんだぞ、ワシの取っておきなんだ、早く受け・・・」
「受け取れないんです、もう頭しか残ってないので」
ノブの身体は頭を残して消えかかっている
「あぁ待て待てー、あっ口を開けろ」
ノブは言われるがまま口を大きく開けると神は、宝石を口の中に放り込み最後の言葉を話す
「本当にすまなかった、君の新しい人生に幸あらんことを祈る‥‥地球神マーラ=ルー=ワシの加護を武藤大将に・・・・・」
そして、ノブは完全の身体は消える