神に祈る
「ごちそうさまでした」
両手を合わせてそう言った。
これだけの量のお弁当を食べるなんて運動会くらいしかないものなんだけど…
母はなにを思って3段重ねの弁当なんて用意したのだろうか。
まあ、そのおかげでまたエネルギーが湧いてきたわけだけど。
「よーし!美少女探しの旅、レッツゴー!」
気合いを入れるためそんなことを口にした。
食べた後なので、走るのは良くないと思い、しばらくは歩くことにした。
無駄に広いこの山、もしかしたらもうあの美少女は帰ったのではないのかという諦めもあったのかもしれないが。
無駄に広いだけあって、頂上に行くためのルートはさまざまだ。
あの子とは違うルートで頂上を目指していたのなら、出会う確率は物凄く低くなる。
「神様!どうかあの子と再び巡り会うチャンスをください!」
そう祈るしかなかった。
そうだ。その前に神様に美少女の容姿がどのようなものかを伝えておかねばなるまい。
美少女は、ぼくの見立てだと身長150cmから154cmくらい。
細身な体で綺麗なお肌。
髪型はツヤとハリのある髪で肩くらいまでの長さのショートカットってやつだ。
服装は、白の半袖Tシャツに下は茶色の半ズボン。
パンツは白だと思う。
まあ、こんなことを心の中で呟いたとして誰にも伝わらないのはわかってはいるのだが…
「ふう。お腹も整ってきたところだし、そろそろ走りますか。」
言ってぼくは走り出した。
驚くことにそのスピードは、前回の走りのスピードの軽く2倍、3倍はだしていた。
「なんだよ。ぼくの体はどうしちまったんだ。」
怖かった。もしやこの速さの代償があるのかもしれないと。
そう思ったが、走るこの足は止められなかった。
「うおおおおおおおおおおおおおおーーー」
とっくに限界など超えていた。
今の速さならば陸上100mで金メダルを取ることも夢じゃないだろう。
そんな凄い能力を、ぼくは殺していたんだ。
変態という名の檻のなかで…
そして…
ゴールに到着した。