美少女。それはエネルギー
30分くらいだろうか。ベンチの上でほうけていた。
「こんなところでうだうだしてても仕方がないな。よし、まずは声をかけよう。」
しかし、もうそこには美少女はいなかった。
それもそうだろう。そんなに長い時間山のふもとでぶらつくやつなんてなかなかいない。
「ああああああ!しまったぁぁぁぁぁぁ」
いつものことだが、ぼくはこういうことがよくある。
目の前にいる女性が魅力的すぎて座ったまま動けないなんてことがしょっちゅうだ。
それで電車から降りられずに、目的地より2つ後の駅で降りたりなんてことも。
しかし、30分なんて長い時間を費やしたことなどは一度もなかった。
「恋、かなぁ。」
そう思った。女の子を性的に見ることはよくあったけど今回のは少し違った。
性的+可愛いものを愛でる気持ち。
こんなのは初めてだ。
「山に来たならば頂上目指さない人なんていない。もしかしたら頂上を目指せばまた巡り会えるかも?」
あの子を思う気持ち。それは俺の身体にエンジンをかけた。
あの子を思う気持ち。それは俺の身体のエンジンのガソリンとなった。
「うおおおおおおおおお!待っててねぇ!すぐに迎えに行くからねぇぇぇぇぇ!」
ぼくは全速力で山の頂上を目指し走った。