月は静かに夢を見る 伍
はい。物語の中がいつの間にか夏休みになり、終わりました!!(笑)
そろそろ番外編描こうかな・・・。
合宿から解放されてようやく夏休みだ。
朝一に真司が屋敷に来て、月夜に、今日と明日は休みだと告げて帰って行った。だから朝から矢と弓を持って弓道場に入り浸っている。
タンッと的に矢が刺さる。うーん、外れた。そろそろ集中力がなくなったので息をつくと、よくやってるね、と後ろから声をかけられた。
「静音さん・・・」
「やっほー。弓道楽しい?」
「はい」
「うっわー。すごいねー。僕は嫌いだなー。こう、集中するってーのがね、無理」
きっぱり言う人だな、と思った。けれど嫌いじゃないと月夜は感じた。
「休憩でしょ?早く部屋に戻ろうよ」
「あ、はい」
促されるまま部屋に戻ると、紗羅と駿がいた。
「あ、こんにちは」
お邪魔します、と駿が爽やかな顔で答え、紗羅が眠そうに片手を上げる。
「さって、おっやつー」
「静音。先に歌のこと聞くんだろ?」
「えー」
おやつが先延ばしになったのが本当に嫌だったのか、静音がムスくれた顔で駿を睨めつけた。
「月夜。合宿の時聞いた歌ってどんな歌?」
「どんな、と言われましても」
「歌える?」
「はい・・・まあ・・・」
「じゃあ、歌って。せーのっはいっ」
月よ雫のあとに、を歌った月夜はいまいちパッとしない顔の神官達を見て、少々不安になった。
「あの、なにか?」
「いや、やっぱり知らないなー、と思ってね」
静音の隣にいた駿も頷いた。
「じゃあ、やっぱり、母が作った・・・」
「それはないんだよ」
少し強めの駿の口調に月夜は固まる。
「え?」
「僕と駿の神刀は音の系統なんだよ。だから全ての曲が分かる。どこで作られたのか、誰が作ったのか。たとえ一般市民のただの鼻歌でも、全て分かる。だから、僕たちが知らない歌があるなんてありえないんだ」
「ありえない・・・」
「そう。ありえない」
「じゃあ、なんで・・・」
「それが分かったら、僕たちも苦労しないよー。あーあー。空気が重くなっちゃった。おやつがまずくなるじゃん!!っもう、この話は御終い!!おやつ!!」
「・・・楓」
「御意」
おやつを部屋に運んできてもらうよう楓に頼んで、部屋に残った神官の皆で重くなった空気を払うように静音が違う話をし始めた。
音楽を司る神官に知らない曲はない。だけど月夜の知っている基月夜の母が作ったかもしれない曲を神官が知らない。この矛盾になんだか月夜はもやもやした。
その日、他の神官が帰ったあと、月夜は弓道場でひたすら正座した。
だいぶ投稿期間が空いてしまいました・・・スイマセン
もう少し、話を長くしようとしたのですが・・・はは。
ちょっと割きました。
ではでは、何もバカンス的なものがなかった月夜君に敬礼でっす('◇')ゞ