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風花ーKAZAHANAー  作者: 結城朱琉
6/14

月は静かに夢を見る 肆

朝霜がすごいです!!

東北の方では気嵐や波の花がすごいですね!!

感激です!!(/・ω・)/

一日の終りに今日を振り返ると、あっという間に時間が過ぎ去っていくようだ。内容の一つ一つを思い出せば、そんなことは言えないが。


合宿最終日。最後とあってか、皆気合いが入っている。毎朝教官から訓練内容を聞くのでいつものように大広間に集合したが、なんだか皆ざわついている。そんな人の多い中を掻き分けて前方の方からやってきたのは透と雅史だ。


「騒がしいな。何かあったのか?」


月夜の問いに透が肩を竦めて、そうなんだよと返した。


「目の掲示板に貼り紙があってさ、各自自由、だって。ただし野外には出ないことってのも書いてあったぜ。自由ってったって遊んでいいのか、真面目に訓練すればいいのか分かんねえ・・・」


「先輩方もこんなのは初めてらしくて戸惑ってたんだけど」


「そっか。行哉は?」


「先生探してくるってー」


教官の教師も見当たらないとは、何かあったのか、これさえ訓練なのか定かではない。


「楓、どう思う?」


「私のもとへ連絡はないので、わかりません」


「今までの訓練で一度もないのか?」


「私の知るところ、聞いたことがありません」


楓がどこまで知っているか月夜には分からないが、わざわざ”知るところ”をつけたのでほとんどを把握しているのだろうと予測できる。それでも聞いたことがないとは、今年から、という場合もある。もしくは緊急事態過ぎて訓練生まで手が回らないか。


「いかがいたしましょうか」


「とにかく、教官方を探そうか」


「御意」


ぶつぶつと雅史に文句を言っていた透がこちらを見た。


「なんだよー」


「オレ達も教官方探してくる。一時間経って戻って来なかったら、この場に待機」


「待機ってったってオレ達の声が先輩方に届くわけがないだろ」


「先輩方には雪水様の(めい)って言っておいてくれ」


雅史が驚いた様子で聞き返してきた。


「明松様の!?本当にいいのか!?」


「ああ。ちょっと行ってくる!!」



楓と連れ立って去る月夜を見て、透がすげえと呟いた。


「本当だな・・・」


「なんか今更、明松様と関係あるんだなって実感した」


「そうだな・・・。すごいことだよな・・・これ」


「もしかしたら神官付きの御影にすぐなれそうな気がしてきた・・・」


「馬鹿。そんなに上手くいくわけないだろ」


「そうだよなあ」


時計を見て、今から一時間。透と雅史は月夜の言葉をしっかりと頭に刻む。



「楓。気配の察知は得意だよな。一番気配の多いところを教えてくれ」


はいと返事をすると、楓が息を潜めた。つられて月夜も息を潜める。


「大広間と・・・訓練場の最北?」


「分かった。行くぞ」


ただの訓練であれば、問題はないのだが、訓練場の空気が張り詰めているのがひしひしと伝わってくることから、唯事ではなさそうだ。


訓練場の最北を目指していると、ザッと数人の黒ずくめが現れた。


「訓練生は野外禁止になっているはずだが?」


鋭い眼を向けられたが、月夜が怯むことはない。逆に、怯んだのは黒ずくめ達の方だった。月夜の斜め後ろを見た途端に驚いた様子。


「楓様!?」


明らかに楓の方が年下のように見えるので、様をつけるのは、なんだか違和感があった。


「この先、何が起きているのですか?」


表情を崩さすに楓が問うが、黒ずくめの方は月夜を一瞥し、言いにくそうに口を開いた。


「敵襲にて、教官方が応戦中。負傷者出ております」


「戦況は?」


「我々が徐々に後退中」


「本部に連絡は?」


「まだ・・・」


「敵の数は?」


「わかりません。黒く、煙でできた狼のようなものが何体も。普通の攻撃では効きません」


「では、どうやって応戦している?」


清水(せいすい)は効くようで・・・」


「了解した」


楓と共に通ろうとした月夜が、止められた。


「一般の訓練生は・・・」


楓の方を向いた月夜は、頭を下げている楓を見て驚いた。多分同じ御影としての無礼を詫びていたのだろう。だから、月夜は神刀を出した。その場の空気が神聖なものになる。


「これ・・・は・・・」


驚いた黒ずくめ達に、楓が、口外禁止令が出ています、と告げた。


「くれぐれも」


楓の後に続いて最北を目指す月夜達の背中に黒ずくめ達は頭を下げていた。


「おお。なんか体が軽い」


「神官はあらゆる面で神の加護を受けます。多分、以前神刀を御出しになった時とは体力も筋力も違いますので、通常時との差が分かるのでしょう」


走りながら会話していると、楓が唇に指を当て、口笛を吹いた。すぐに山の方から(わし)が飛んできた。その鷲の足に、楓は懐から出した赤い紐を結び付けた。そしてGOサイン。鷲は瞬く間に来た道を戻って行った。


「本部の方へ連絡しました。他の神官の方々が到着するまで月夜様にお供させていただきます」


「心強いなあ」


「恐縮です」


張り詰めた空気が一層濃くなると、緊迫した人の声が聞こえてきた。その方向へと走る。


水の音、獣の唸り声、蒸発する音、合図を出しあう人の声。


ちょうど、清水が切れた教官へと獣が襲いかかろうとする場面を見た月夜は頭で理解するより先に体が動いた。その獣へと、神刀を振り下ろす。斬ると獣は、ジャッと水に戻り、地に染み込んだ。


尻餅をついた人物を見ると、体力作り担当の教官で、訓練中何度も見かけた。


「大丈夫ですか?」


「あ、ああ」


「月夜様ッ」


急いで近づいてきた楓は、教官を抱えて後方へと引っ込んだ。


「楓。あの獣達は神刀で斬ると水に戻る」


「では、如何様に?」


「清水ももったいないし、オレが斬る。獣達を誘導してくれ」


「御意」


二人の会話を目の前にして、呆然としている教官に、これ頼みます、と月夜は着ていたジャージを渡した。いつもはTシャツだけなのだが、天気は曇天で気温も低かったので着ていたのだ。脱ぐことはないだろうと思って下をタンクトップにしていたせいか、月夜の肩にある御印が丸見えだった。


「おしっ」


神刀を掴み直して、獣の中へと突っ込んでいった。


傷を付けるだけではまだ浅い。深く斬らなければいけない。楓が月夜の斬れる最上の数を調節しながら誘導していく。体力と筋力がついた月夜はキレのある捌きを繰り返す。


相変わらず月夜の視界には目標を把握するような円が大きくなったり小さくなったり、獣の数に出現したり。まるで弓道の的のようだと思ってしまう。


体力が削られていくのが分かる。足が重く、息が上がってしまう。傍から見たら滑稽だろう。けれど、月夜にはここにいる人達皆を助ける義務がある。神官だから、というのもあるが、月夜自身みんなを守りたいと思ったからだ。けれど、思いに反して体は疲労を重ねていく。刀の斬り込みが甘くなってきたようだった。刀を持ち直し、獣を次々に倒して行くが、ついに斬り込みが浅くなってしまった。水に戻らない獣がそのまま月夜に襲い掛かる。


負けたくない―――――。


強くそう思い、しっかりと獣を捕えて刀を振り上げると、刀が光った。一瞬のうちに光は辺り一帯を包み込み、気付けば、月夜一人光の中にいた。


「なに・・・が・・・」


光に目が慣れれば、月夜の前には銀色の狼がいた。先程の獣だと思い、刀を構えようとしたのだが月夜の手には刀がなかった。


「嘘だろ・・・」


ジリジリと少しずつ後退していると、どこへ行く?と銀狼が物々しい声で月夜に声をかけた。


「しゃべった・・・」


「私をなんだと思っている」


「狼」


「・・・間違ってはいないがな。私は秋藤(あきふじ)。お前の神刀だ」


「神刀・・・。え!?お前神刀なの!?」


「左様。お前の心意気に免じて力を託そう。ただしお前が力の使い方を間違えれば大切な物を失うことになる。覚悟はできておるか?」


「オレの心意気って何?」


「先程、負けたくないと強く思ったではないか」


「そりゃ、あんな場面でオレが倒れたら皆が傷つくだろ・・・だから・・・」


「皆を守りたかったのであろう?」


「まあ、そうだけど」


改めて確認されるとなんだか無性に照れる。


「それで良いのではないか?」


「うん・・・そうだな」


「覚悟して、受け取るが良い」


ふさふさとした尾を振りながら月夜に近づいた秋藤は、月夜に飛び掛かった。驚いて、半歩引いた月夜の体へと秋藤は入っていった。


唐突に視界が暗くなったと思ったら、森の中。訓練場だ。敵である獣はいなくなっていた。皆状況確認が済むと、急に騒がしくなった。早く訓練生の元へと指示を出す者や、本部との連絡の確認など、忙しい。茫然と突っ立っている月夜の元へ楓が駆け寄った。


「月夜様、大丈夫ですか!!」


「楓。なにが起きた?」


「光が辺り一帯を包み込みまして、教官共々皆光の中にいると思いましたら、いきなり光が消え去りました」


「それだけ?」


「はい」


「ふうん・・・分かった」


早く戻らないとな、と楓と月夜が歩き始めたら待って待ってと声がかかった。


「東君。これ、ジャージ。あと、助けてくれて、ありがとうございました」


「教官。よして下さいよ・・・大したことしてないですし。それに、獣に太刀打ちできたのは教官方の御指導あってのことです」


「それは光栄だなあ。楓君も腕を上げたんじゃないのかい?」


「私は変わりありません」


「そっか。ああ、早く戻らないとね。引き止めて悪かった。私の方は片付けがあるから、失礼するよ」


去ってく教官の背中を見ていると、行きましょうと楓の声がしたので、月夜はそうだなと返して歩き出した。




大広間に戻ってきた教官達と月夜が一緒なのを見て、その場にとどまっていた透と雅史は安堵した様子だった。


「まだ、一時間経ってないぜー」


「そっか。良かった」


「本当、透とそわそわしながら時間経つの待ってたよ」


「ははは。あ、行哉は?」


「それがまだなんだよなー。早くしないと訓練始まっちゃうぞって・・・ああ、噂をすればだなー。来た来た」


「教官達来たな。探してもいなかったからさ、良かった。ああ、それとビックニュース。明松様と坪岡様以外の神官様がいらっしゃてる」


嘘だろ!!??と透のテンションが一気に上がった。


「は・・・なんで?」


「わからない・・・」


疑問と高揚をない混ぜにした表情の二人を前に、楓と月夜が顔を見合わせ、笑ってしまった。


その後、神官様方直々に訓練してもらい、皆興奮気味に最終日の訓練にとりかかった。



就寝時間が過ぎたところで、月夜と楓が泊まっている部屋に神官が集まった。雪水と真司以外の五人の神官である。


「初めましてー。椛田(はなだ) 静音(しずね)ですっ。あ、髪長いけど男な。いっやあ、未成年だっけ?初めてじゃない?」


「ちょ、静音さんっ。あんまりうるさくすると迷惑が・・・」


オロオロとする若い男性は、静音にムッと睨めつけられると怯むように萎縮した。けれど、その隣にいた黙々とした雰囲気でとても大人な人に、そうだぞ、と助け船をもらったためか、怯んだ顔が一瞬にして晴れた。


「静音は常にうるさい」


「わー、それ初めて言われたー。まあ、その言葉は僕じゃなくてアイツに向かって言うべきだと思うけど?」


静音が指差した先には座ることなくひたすら旅館の室内をウロウロして、うわー、すげー、なんて呟いている青年がいた。


「ちょ、失礼ですよ静音さんっ」


再び口を開いた若い男性はまたもや静音に睨みつけられて萎縮していた。


残りの一人は我関せずといった感じで眠っていた。そんな状況に困った月夜を見た楓はゴホンと咳払いをひとつした。それで皆がそうだったとでもいうように輪を作るように集まった。


「えーっと、さっき僕が紹介したから、次は純逸(すみいつ)ね」


どうやら反時計周りにいくようだ。


「あ、はい。オレは牧野(まきの) 純逸と言います。一昨年前に神官になりました」


顔立ちが学生っぽいが、卒業しているのだろう。神官として顔が出ているのだから、学生はありえない。


「オレは藤堂(とうどう) 峯次郎(みねじろう)だ。神官の中では一番年上だ」


「神官長より?」


「ああ。神官になったのは神官長より遅い」


神官になるのに年齢は関係ないらしい。現に月夜はまだ未成年だが、神官だ。


「はいはい。オレ!!大里(おおさと) 駿(しゅん)なっ!!よろしく」


夜なのにすごい元気だ。体は大きいし、肌は小麦色だったので、相当活発なのだと窺える。


「おいっ、(すず)ッ!!起きろ!!」


「・・・ん。駿・・・おはよ」


「自己紹介だよ!!」


「ああ・・・(かこい) 紗羅(すずら)・・・です」


眠たげの眼の奥にはしっかりとした意思が見えた気がして、月夜はなかなか気が抜けない相手だと思った。


「あ、東 月夜です。よろしくお願いします」


「よろしく。月夜って神官長の屋敷に住んでるんだよねー。いいなー。僕も神官長の屋敷にお邪魔したかったなー」


「でも、皇居地区育ちですよね?」


羨ましい、と口の塞がらない静音にそう月夜が尋ねると、そうだよ?と返ってきた。


「でも、格差は当然あるからね。神官長のところは至りつくせりじゃんっ。僕のところなんて使用人少ないし、おやつなんてたまにしか出ないし」


月夜はおやつが出てきたことに(えら)く驚いたのだが、静音はその逆の感覚らしい。


砂糖は貴重だ。塩のようにザクザク取れるわけではない。土が大事なのだ。土がダメだと不作で、砂糖があまり出回らない。確か今年は砂糖が不作だった。それでも、月夜が一人暮らししていた時は一人分のためあまり困らなかったし、そもそも甘いものをあまり食べなかった。けれど、真司と任務に出て人々の暮らしを見ていると不作も他人事ではないと思えてきた。だから、こうして皇居地区で不自由ない暮らしであることに罪悪感を覚えないわけではない。それが自分の成長のように思えて月夜には少々誇らしかったのだが、静音を見ているとなんだか別世界だ。テレビ越しに見ているような、自分とはかけ離れた世界。でも自分は紛れもなく静音と同じ世界に立っているんだよな、なんて考えていると、ジッと紗羅に見られていることに気付いた月夜は、ハハ、と笑って紗羅に笑みを向けた。


「駿。僕眠い」


「おう。そうか。じゃあ、そろそろ御暇させてもらうか」


立ち上がる駿の足をガッと静音が掴んだ。


「えー。まだ月夜とお話ししたいよー」


「じゃあ、静音は残ればいいんじゃないか?オレは紗を寝かせないと」


「ぶーぶー。あ、月夜は何の歌が好き?」


「好き、と言われてもあんまりピンとこないんですが『月よ雫のあとに』っていう子守唄は結構好きです」


月夜が言った後、静音と駿は驚いた顔をした。


「駿、知ってる?」


「いんや、知らないな」


「そっかー。じゃあ、今度神官長の屋敷で聞かせてね」


「あ、はい」


スッと紗羅をお姫様抱っこした駿は歩き出そうとしたが、静音が掴んでいて歩きにくそうだな、と月夜が思った矢先、駿が静音の手を思いっきり踏んで、静音が手を放したのをいいことにさっさと部屋から出ていってしまった。


「駿がつれない」


「旅館だからじゃないですか?」


「いーよぉーっだ。栫に勝てるわけないもん」


「駿さんは栫さんが一番大切ですもんね」


ニコニコと悪気なく話している純逸に、静音の鋭い視線が刺さる。どうやら純逸は、静音の怒りによくよく触れる性格のようだ。


「もういいや。僕も寝る」


「あ、それじゃあ、オレも御暇しますー」


黙って立ち上がった藤堂も御暇するようだ。


「じゃーねー。また明日ー」


「お邪魔しました」


「邪魔したな」


パタンと扉が閉まれば、部屋には月夜と楓だけだ。


「オレ達も寝ようか」


「はい。そうですね」


旅館の人が敷いた布団にもぞもぞと潜り込む。夏用の布団は通気性の良いものなのだろう。布団に体温が加わっても、暑いということはなかった。



寝息が隣の蒲団から聞こえると、楓は起き上がり、服を着替えた。真っ黒の御影の服装だ。ベランダに出て、唇に指をあて、音を出さずに吹いた。すると、一匹の鷲がやってくる。腕に乗った鷲に、異常事態が起きたらすぐに知らせるよう指示をして、楓は、訓練場の最北、今日の事件の場に向かった。


到着した森は、夜らしくシンとしていて、木々のさざめきしか聞こえない。だが、それが逆におかしいのは分かっていた。動物の気配がしない。鳥の鳴き声も聞こえない。つまりは、この森の中に警戒すべき脅威があるということだ。


「誰もいない?」


動物が警戒するのはだいたい人だが、気配がしない。自然現象がこれから起きるというのも考えにくい。楓にも分からないくらいに気配をなくすことができる人物は限られている。だが、この場には不釣り合いな人ばかりだ。


「一体だれが・・・」


息を潜めて音を聞いていると、自然に反する音が(かす)かだが聞こえた。その方向へと、先の尖った枝を勢いよく投げると、ガッと何かで弾かれた。素早く得物を構えて相手の動きを見る。すると、急に視界に人の顔が現れる。驚いたが、すぐに得物で対処すると相手はすぐに離れた。どうやらどのくらいの力量か()るためのものだったらしい。


「誰だ!!」


しかし、返答はない。音を聞こうと耳を澄ませるが、何も聞こえない。目を凝らすが、姿も見当たらない。楓に攻撃して戻ってすぐにその場を去ったらしい。それにしても早い上に音がない。御影の中でも上に位置する楓を前にして、ほとんどなにも残さずに逃げられるなど早々いない。


「雪水様に報告しなければ・・・」


楓は鳥の声が聞こえた始めた森をあとにした。



「あっぶね・・・」


「バレんなよー」


「そもそもあんな近くに行くからそういうことになるんだよ」


「うるせーなー。ちょっと油断しただけだって。つーか、月夜の傍にいさせてやるんだからそれなりに腕のある奴じゃないと、許せねー」


「それはお前の勝手だけど、こっちまで被害が及ぶようなことしないでくれよー」


「そーそー」


「ったく。お前ら先に帰ってろよ」


「りょーかーい」


「あと、よろしく」


さっさと去って行く二人の後ろ姿が見えなくなると、月夜達のいる旅館の方角を眺める。空には大きな満月だ。


『 月よ  月よ  どうしてそんなに高いところにおられるのですか  』


『 さあ もっと こちらに寄って 』


『 落ちる雫を拭ってあげる 』


『 そうしたら ほら  みえるでしょう 』


『 貴方に 忠誠を誓う者達の 姿が 』



ふと頭によぎる男女の姿。幸せそうに笑う彼らの間には元気な赤ん坊がいる。


「もう、いいとは思えないですよ、(あずま)様」







長くなってしまった(/・ω・)/


もうそろそろ楽しくなってきそうです(*'▽')自分でいうのもなんですがww



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