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天つ風雲の風花に 弐
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「行ってきます!!」
「いってらっしゃい」
門前で手を振る雪水の後ろから大樹が急いで月夜を追いかけた。
最近の光景だ。
「おい、月夜。あれほど待てって言ったのに」
「お前が遅いんだよ」
「だって仕方ないだろ。朝は弱いんだ!!」
「私が月夜様についている限り安全です。なので、貴方は必要ありません」
キッと鋭い眼差しで大樹に向かって言いきる楓は、楓にしては珍しく分かりやすい感情を顔に出していた。
「んだと、チビ。お前なんかに用はないんだよ」
「聞き捨てなりませんね。月夜様に相応しいのは私です」
「なんだと!?」
「まあまあ。朝から騒がないでくれよ」
喧嘩両成敗とでもいうように、月夜は走り出して、二人を置き去りにしようと試みるが優秀すぎる二人だ。すぐに追いついて月夜を守るように両側につく。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。それさえ忘れてしまうくらいに楽しいから、それを失わないように、より良い選択を、と人は願うのだろう。