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風花ーKAZAHANAー  作者: 結城朱琉
11/14

白は可能性を秘める 弐

眠い・・・・。

「で、オレを連れ去った理由は?」


「世をもとに戻すため」


聞きたいことはたくさんあったが、目的を明確に知りたい月夜はそのまま質問を重ねた。


「戻してどうする」


「そりゃ、願うのは平和だろう?」


「今のままじゃダメなのか?」


「今のままでもいいけどさ、それだと怒りが収まらない、みたいな?」


ぐっと返答に詰まった大樹の代わりに明久が答えた。


「怒り?」


問う月夜に、なんとも言いずらそうな顔をした大樹が月夜から視線を逸らす。


「月夜の記憶って戻ってんのー?」


「まだだろ?この様子じゃ」


「全部教えた方が早いんじゃない?」


「オレもそう思うけど?大樹、お前が決めろよ」


「っだー、うっせーな。いつもいつも重要なことはオレに決めさせやがって!!」


「「だってそーゆー立場じゃん」」


綺麗に重なった二つの声は、彼らがいつも言っている二人で一つをよく表しているほど同調していた。


「・・・・はあ。分かった。話すから、お前らは自分の仕事してこい」


「もう着いたのか。早いね」


「面倒だなあ。御影だっけ?こんなにいるんだね」


「早く行け」


「はいはい」


「あ、月夜っ。オレ達戻ってきたら久々にトランプやろーぜ」


「そうだそうだ。大樹じゃ相手にならねーんだもんなー」


「うっせー!!早く行け!!!」


騒がしく去って行った双子に盛大な溜め息を吐いた大樹は月夜を見て、気まずそうに口を開いた。


「国の成り立ち、知ってるか?」


「風花が界雷の下に入ったところと、歴史で習ったことぐらいは」


「・・・わかった。帝位は現在三位目だ。初代帝の界雷。二代目の雷鳴(らいめい)。で、今の三代目の渦雷(からい)。界雷の時代はまだ良かった。戦を収め、多少の争いはあったものの平和の形を成していた。界雷は風花様の元へ通うほどお二人は仲が良かった。けれど、それと反対に、雷鳴は風花様を嫌っていた。そのせいか、風花領の者への嫌がらせは留まることを知らずに、界雷も悩むほどだったんだ」


やがて、界雷が死去すると、帝の地位を手に入れた雷鳴の嫌がらせは留まることを知らなかった。位の剥奪が数を増すごとに宮廷から風花領の者がいなくなっていく。最終的には、界雷の血筋の者を主とする国が出来上がった。


界雷が死す前に、風花は既に亡くなっていたため、風花領の者は手の打ちようがない。時が進むにつれて、東へと追いやられてしまった風花領の者達は秘密裏に雷鳴を帝位から引きずり降ろす計画を練った。しかし、どこからか情報が漏れたのか雷鳴にバレてしまった。


帝は雷鳴。国の者は皆これが常識。つまり、風花領の者の行為は謀反に当たる。国民誰もが風花領の者達を悪とした。やがては処刑の声まで上がり、風花領の者達は必死に抵抗したが、帝側の準備が整ってしまった。しかしその矢先、雷鳴が病で倒れ、床に伏した。病は一向に良くならず、そのまま息を引き取った。雷鳴には跡取りとなる息子がいたので、周囲に不安が広がることはなかった。


帝の地位に就いた渦雷の最初の仕事は風花領の者達への制裁だった。雷鳴の跡取りとして教育されてきた渦雷であるがゆえに雷鳴に似たのか、独裁体制は変わることがなかった。風花領の者達への制裁は非情にも決行された。


「そして、風花領の者の頭首として、月夜、お前の両親が。オレ達の祖母や祖父は皆、殺された。残った者達はオレ達の両親の世代からオレ達の世代まで。あとは東側の領にいなかった者達のみ」


「なんでオレの両親が頭首なんだよ」


「風花様の子孫だからだ」


「・・・・・そういうことか」


「なんであろうと、今の帝に国を任せちゃオレ達の未来が潰されかねない」


「だから、世を戻す、と?」


「そう」


「風花の民はどれだけいる?」


「純血は少なくなったけど、界雷の民と同じくらいいる」


「半分半分。・・・この制裁、知ってる者は?」


「純血の風花の民のみ」


多分、帝の渦雷が今の風花の民の人数を把握していると思えない。ただ、反乱分子が気に入らない性格。制裁は多分、雷鳴がやるべきだった仕事をやっただけ、とみえる。でなければ、月夜を我が子の雪水に近づけさせるわけがないし、今この現状にも手を出してきていないのだからと月夜は推測する。


「分かった。オレが渦雷と話をする」


「無茶だ。今行って、敵に捕まったら意味がない。それに、じっ様も帰って来いって・・・」


「じっ様??」


「月夜の祖父。制裁の時遠出してたから捕まってない。今も健在」


「ふうん」


「まあ、月夜のことは全部オレの家が引き受けたから、知らないのも無理ないけど」


つまり大樹の家に月夜は操作されていた、といっても過言ではない。


「もう、お前が頭首でいいんじゃね?」


「なに言ってんだ。頭首は紛れもなく月夜だ。オレはその頭首に一番傍で仕える者だから」


「じゃあ、なんでオレの両親が捕まったんだ?」


「それは・・・・東様が・・・いいって。自分達が行くから、月夜をお願いって言ったらしい。オレも生まれてたけど・・・あんまり記憶ないし・・・それに―――――――――――」


バッと視界が暗くなったと思えば、すごい爆風に月夜は後方へと吹き飛ばされた。


えらいこっちゃー。

すごいことになっとるー。(/・ω・)/ワオ

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