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風花ーKAZAHANAー  作者: 結城朱琉
10/14

白は可能性を秘める

もう一月の半ばですね・・・早い(;´・ω・)

月夜はその日、夜中に抜け出そうとしたが、すぐに楓に見つかってしまった。当然だ。楓は月夜の御影なのだから。


どこに行くのか、聞かれるが月夜は答えるわけにはいかない。その様子に楓も聞くまでもなく悟っている。


「月夜様。お部屋へ、お戻り下さい」


「・・・・」


頑として動かない月夜に、楓は気まずい顔をした。


「貴方様のそういうところは、雪水様に少し似ております」


「・・・・なら、そこをどいてもらおうか、楓」


「御影に拒否権はありません。しかし、神官長の命令は絶対ですので」


月夜を必要以上に部屋から出さぬよう雪水から命令が下っていた楓も、頑として月夜を通すわけにはいかなかった。


「なら、力づくでいく」


神刀を出した月夜に、楓も武器を構えた。


二人の緊迫した雰囲気は一人の声によって緩んだ。


「何やってんだー、こんなところで。おお、怖い怖い」


「・・・真司さん・・・」


月夜としては、会いたくない人物だった。


「月夜、早く部屋に戻れよ。不届き者がいるからさ」


スイ、と真司が顔を上げた先の、屋根の上には黒装束の者が一人いた。月夜はもちろん、楓まで驚いた。


音もなく敷地内に降り立った黒装束の者は、神刀を構えて襲い掛かってきた真司の攻撃に驚きもせずに短刀で対応した。


「様になってるじゃないか」


「・・・・・・」


ぐっと踏み込んだ真司が上からの圧力を強めると、黒装束の者が顔を顰めて体を横に逸らした。


「怪我したところが痛むか?すごいだろう?ウチの神官長様は」


「・・・・殺人兵器が・・・」


機嫌が良かった真司の顔が一瞬にして表情をなくした。


「今、なんて言った?」


「殺人兵器って言ったんだよ」


「・・・・はあ。まだガキには分かんねーか」


「ガキだろうとなんだろうと変わりないだろ?事実だ」


「黙れよガキ。どんな状況でも逃げないできたその結果をそんな言葉で表されるのは我慢ならねーな」


「お前の我慢がどーなろーと知らねーよ。というか、お前と戦ってる時間はないんだ。こちらとて、暇じゃない」


短刀を収めた黒装束の者が、振り返り、一瞬にして月夜の前に来た。驚いた月夜に、御無礼お許しください、と言って月夜を抱き上げると、楽々と屋敷の塀を飛び越え、他の屋敷の塀を伝って西の方へと向かって行った。


一瞬の出来事に、茫然としていた楓が少々慌てた。急いで胸元の笛を吹く。響き渡るのは普通の笛よりも一際高い音。その音を聴いた他の御影達が集まった。その者達に月夜の後を追うよう指示をした。


「真司様!!!」


動かない真司に、緊急事態を含め、切迫した楓が珍しくも真司に声をかけた。けれど真司は動かない。


「・・・真司様?」


「アイツ絶対許さねえ・・・」


ギラリと光る眼光は楓が今まで見たことないほど暗く光っていた。



「おいっ!!!放せよ!!!!」


蹴ろうと思ってもバランスが取れずにグラつく。地面を走っているなら体を張ってでも蹴ってやるのだが、今は普通の家の屋根の上を走っている。しかもかなりのスピードで。落ちたら良くて骨折だ。痛い目に合いたくない。


そうこうしているうちに西の森が見えてきた。西の森は真ん中に他の木よりも断然大きく太い木があるのが特徴だ。その木を見れば西の森だとすぐに判別できる。


月夜を抱き上げたまま黒装束の者は迷うことなく森の中へと入って行く。森の入り口に警邏隊と純逸がいた。月夜達が森の中へ入って行く瞬間をみた純逸は慌てたように周りに指示していた。


向かっているのは森の中枢だろうか。どんどん暗くなっていく。まるで深い谷に落ちていくような錯覚に見舞われる。


「なあ、お前誰だよ」


「なんだ、気付いてるんじゃないのか?」


「・・・気配が微妙に違う」


「そりゃそうだろう。今は・・・そうだな。戦争の真っただ中とでも言おうかな。そんな感じでさ、一番緊張時なんだよ」


「オレ連れ去ってどうすんだよ」


「どうも。返してもらっただけだし」


「オレが自らの意思でこっち来たんだけど?」


「そうそう。ちょっと失敗だった。お前から目を一瞬でも離すんじゃなかったって。どんなことがあっても」


「・・・・で、何しようとしてんだよ、大樹」


「もうちょっとで着くから。答えはそこで」


バッと木々を抜ければ、森の中心である、大木の幹が目に入った。遠くからでも大きいな、と思ったが、近くで見ればより大きく、荘厳である。


「おっせーよ、大樹」


「ビリ決定」


「うっせーな。ちゃんとやることやってきたんだから黙れよ。そういうお前らは終わったのか?」


「だって、向こうから来ないし」


「終わるにも終われないし」


離れて幾年、というわけでもないのにやけに懐かしく思えた。


「・・・明久と暮星・・?」


「そうそう、月夜」


「久しぶり、月夜」


いつも通りの双子の兄弟ではあるが、やはり大樹と同様ピンとした気配が追加されていた。


地面に降ろされた月夜は久しく会った面々を見、大樹にどういうことか尋ねた。








んむ。果たして完結するのかどうか。

頭の中ではもう、最後は決まっているのですが、どうも中身が薄っぺらいです・・・。

そこをどうにかしたい。

そして、話が飛びまくっている・・・・。

ゴメンナサイ。

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