DREAM
喉の渇きで、圭介は目が覚めた。
辺りはまだ真っ暗だ。身体を反転し、枕元の目覚まし時計を見た。時計の針は、ぼんやりと光を帯びて闇の中に浮かんでいる。蛍光塗料のせいだろう。時刻は午前3時を刻んでいた。寝ぼけたまま身体を起こす、身体は鉛のように重たい。全身は水を被ったように汗びたしだ。汗で張り付くTシャツが欝陶しい。
圭介は、びしょ濡れのTシャツを脱ぎ捨て、側にあったハンドタオルで体を拭いた。その夜は特に暑くは無かったのだが、圭介の身体はかなり熱を持っていた。
汗を拭き終えると、ハンドタオルを肩に掛け、洗面所へ向かう。闇の中を手探りで進んでいると、圭介は何かを蹴飛ばした。何かが倒れるような大きな音、圭介はすぐにそれがゴミ箱だと判った。散乱したゴミをイメージして、電気のスイッチに手を掛けたが、喉の渇きには勝てず、そのまま直さず洗面所へ向かった。
蛇口を最大限まで捻る、勢いよく拭き出る水、圭介は直接口をつけ、むしゃぶりつくように水を飲んだ。渇いた喉に冷たい水が流れ込んでくる。少し塩素臭いが、そんな事は言っていられない。圭介は貪欲に水を飲み続けた。
ようやく飲み終えると、今度は頭から水を被った。冷たい水が眠気を洗い流していく。手に水を溜め、顔を洗うと、圭介は蛇口を止めた。肩に掛けたタオルでゴシゴシと顔と頭を拭く。もうすっかり目が覚めた。
圭介は半裸のままベランダに出た。冷たい風が圭介の肌をなぞり、熱を持った身体を冷ましていく。圭介は手摺りに背中からもたれ掛かった。そして、煙草を一本取り出し、口にくわえる。しかし、風が思ったより強く、なかなかライターの火が着かない。圭介は煙草を吸うのを諦め、くわえていた煙草を箱の中へ戻した。
圭介は煙草をズボンのポケットにしまうと、今度は前から手摺りにもたれ掛かり、マンションの11階からの夜景を眺めた。光の河のように流れている車のライト、雲の間から顔を覗かせる丸い月、遠くの空では航空機のライトが点滅しながら横切って行く。
圭介は先程見た夢の事を考えていた。もうあまり覚えていなかったが、その夢の事を考えると、身が擦り切れるように悲しく、そして、なにか恐ろしい物に追われるような、とても不安な気持ちになった。
きっと疲れてるんだ、もう忘れよう。圭介はそう自分に言い聞かせ、もう一度眠る為に、部屋の中に入った。
圭介の中で、何かが変わり始めていた。




