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2話「さるくび」

根菜たっぷり田舎汁


投稿日:2022年06月11日 


材料:1人前


大根:1/4本


人参:1/2本


醤油:大さじ3


出汁昆布:1枚


さるくび:1個(冷凍不可)


結び紐:1本(麻製)


手順


1 大根と人参をいちょう切りにします。さるくびは流水でよく洗い、表面に絡みついた不純物を丁寧に

  取り除きます。


2 大きな桶に冷水を張り、さるくびを一晩浸けて芯まで冷やします。水が濁らなくなるまで、最低でも  

  三度は取り替えてください。


3 結び紐を使い、さるくびを梁または高い場所から吊るして、一晩かけて余分な水分をしっかりと落と

  します。


4 大鍋に水と出汁昆布を入れて火にかけます。沸騰直前に昆布を取り出し、切っておいた大根、人参を

  投入します。


5 さるくびをまな板に置き、中身を取り出します。余分なものを削ぎ落としながら、一番柔らかい部分

  のみを選別し、一口大に切り分けます。


6 鍋に5を入れ、アクを丁寧に取りながら、中身が柔らかくなるまで数時間煮込みます。最後に醤油を  

  差し、一煮立ちさせて完成です。


注意点


手順3で吊るしている間、床に滴る音が不自然に反響することがありますが、決して上を向かないでください。



レビュー


★☆☆☆☆ 「普通の不味いスープ。」投稿者:名無しさん 2022/07/05


 知り合いの猟師から買った猿首を使って試してみました。手順1の不純物取りからして最悪。猿首の毛を抜く作業なんて、料理というよりは解体作業そのものです。

 煮込み始めると家中が強烈な獣臭さと、泥を煮出したような嫌な匂いで充満しました。出来上がったのは、ひたすら生臭く、不透明で、噛み切れないほど硬い肉が入ったスープ。数日間キッチンから匂いが取れずに家族から大目玉を食らいました。この料理を作ってみたくて猿首のために高い送料を払った自分が馬鹿でした。


★☆☆☆☆ 「グロテスクなだけです」投稿者:ママ♪さん 2022/08/12


 普段作らないようなものを作りたいと思い、わざわざ専門の精肉ルートから猿首を取り寄せて作りました。子供には「珍しいお肉のスープだよ」と説明していましたが、手順3で天井から吊るしている姿を見られてしまい、大泣きされる始末。(これは私が悪い)

 食感も火入れが甘かったのか、もちゅもちゅ?ぎちぎちしていてとても気持ち悪かったです。味もひたすら苦くて、とても食べられたものではありません。結局、家族全員一口でギブアップして、中庭に穴を掘って埋めました。無駄な出費と、子供にトラウマを与えただけの結果になりました。おすすめしません。


★☆☆☆☆ 「料理とは言えない」投稿者:美食家さん 2022/10/19


 数々のジビエ料理を食してきましたが、これはひどい。猿の肉は本来、非常に癖が強く扱いが難しいものですが、この手順では全くその癖が抜けません。手順2で一晩水に浸けましたが、アクと脂が分離し、肉質がスカスカになるだけです。出来上がった汁物は、鉄分が多すぎて血の味がするだけで、出汁の旨味も根菜の甘みも死んでいます。考案者は本当にこれを「美味しい」と思って投稿したのでしょうか?


★★★★★ 「日本酒との相性サイコー!」投稿者:名無しさん 2023/02/15


 いやあ、これ!これですよ!

他の方々のレビューを読んで「生臭い」とか「硬い」なんて書いてあったから、正直ちょっと不安だったんですけど、全然!むしろ逆!準備さえ間違えなければ、こんなにおいしい料理、他にないんじゃないかなあ。


 まず、一口食べた瞬間のあの濃厚さが最高なんです。口に入れた瞬間に、体中に旨味が弾けて染み渡っていくような、ずっと浸ってたいような多幸感。 究極に濃縮された、圧倒的な密度の甘みがあるんです。噛みしめるたびに、上質な脂が舌の上で体温に溶けて、淡雪みたいにさらりと消えていく。そのあとに残る余韻がまた凄くて、鼻から抜ける香りが信じられないほど華やかなんです。


食感も最高の一言。一番柔らかい部分を選別した甲斐がありました。表面は絹のように滑らかで、歯を立てると「ぷるん」と心地よい弾力を返した直後、抵抗感なく飲み込める。これほどまでに繊細で、それでいて力強い弾力、一体どうやったらこんな質感になるんでしょうか。煮込めば煮込むほど、素材のポテンシャルが引き出されて、スープ全体が琥珀色に輝きだすんです。そのスープを一飲みすれば、喉を通る瞬間に全身の神経が歓喜で震えるのが分かります!


 もうね、箸が止まらないどころか、お玉で直接飲み干したい衝動を抑えるのが大変でした。(笑)噛むたびに溢れ出す肉汁は、既存のどんな調味料も太刀打ちできないほど完璧な調和。塩味も、甘みも、コクも、すべてが黄金比で構成されていて、一滴たりとも無駄にしたくない。最後の一口を飲み干したとき、あまりの美味しさに自分の境界が分からなくなるような、天にも昇るような心地よさ。これを「不味い」と言った人たちは、本当にもったいないことをしています。


 この「材料」が持つ、深く、深く、底知れないほどに澄み切った旨味。それを余すことなく引き出せるこのレシピは、まさに魔法です。日本酒の辛口で流し込むと、もうそこは極楽浄土。こんなに美味しい思いができるなら、これからの人生、この味を反芻するだけで生きていける。いや、生きる目的そのものが、この味を体験することだったんだって、本気で思わせてくれる一皿でした。ごちそうさま!

 



























ーーーーー報告書添付資料④ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



以下「■■■■■■■研究会論文集」より抜粋。

第14巻「民俗学的見地から見る■■地域における儀式の転換点」


 「さるくび」という呼称の起源について、一般的な郷土史においては「野生の猿(マカク属)の頭部」を食用とする風習であると説明されることが多い。しかしながら、当研究会が■■県■■村において長期にわたり実施した参与観察および聞き取り調査の成果は、この通俗的理解が意図的に形成された外部向けの説明である可能性を示している。とりわけ、村落内の限られた家系にのみ伝承される口碑資料と、神事に関わる古文書の断片を照合した結果、「猿」という動物を対象とする解釈は後世の攪乱情報であり、本来的意味は別に存在したと考えられる。


 本来、当該地域における「さるくび」とは、動物の猿を指すものではない。

かつてこの峻烈な山間部において、大規模な飢饉や疫病が蔓延した際、その災厄を「去なす(いなす)」ための最終的な手段として、村落内で選出された特定の巫女、あるいは純潔な未婚女性を供物とする人柱の儀式が存在した。「さるくび」とは、文字通り「去る首」の転訛であり、神域へと送られる人間の頭部を指す隠語だったのである。


 口承伝承によれば、儀式においては村落内から特定の条件を満たす女性が選出された。選定基準は血統、年齢、身体的清浄性など多岐にわたり、単なる偶然ではなく共同体の規範に基づく厳密な手続きが存在していたとされる。彼女は一時的に神意を受ける存在、すなわち「依代」とみなされ、その身体は個人のものではなく共同体全体の所有物として再定義された。この再定義こそが儀式の核心であり、個人の死を集団の再生へと転換する象徴的操作であった。


 祭礼の夜、選ばれた存在は神域に近い場所へと導かれ、その後に行われる一連の行為は外部者には秘匿された。重要なのは、その身体の一部を摂取する行為が、単なる栄養摂取や暴力的行為として理解されていなかった点である。それは霊的属性の内在化、すなわち依代に宿った神聖性や記憶、生命力を共同体内部に循環させるための宗教的実践と解釈されていた。民俗宗教学の観点から見れば、これは「神人共食」あるいは「聖なる力の身体化」に近い概念であり、世界各地の古層信仰にも類似例が確認される。


 興味深いのは、この儀式が近代国家体制の成立以降、公的記録から急速に姿を消す点である。明治期の廃仏毀釈政策や戸籍制度の整備は、閉鎖的共同体の宗教実践に大きな影響を与えたと考えられる。結果として「さるくび」は動物食文化として再解釈され、民俗的奇習の一種として無害化された可能性が高い。この過程は、周縁文化が中央の規範に適応するために象徴を変換する典型例といえる。


 もっとも、現代において当該儀礼が実際に存続していることを示す確証は存在しない。だが、特定家系の年中行事において不自然に秘匿される夜間祭祀や、地図に記載されない小祠の存在など、断片的事実はなお残る。これらはかつての儀式の直接的継続ではなくとも、その象徴構造が変容しながら継承されている可能性を示唆する。


 したがって、「さるくび」を単なる猟奇的風習として扱うのではなく、極限環境における共同体維持装置として再評価する必要がある。それは倫理的評価とは別次元で、社会がいかにして生存の論理を宗教的象徴体系へと昇華させてきたかを示す事例である。本研究は今後、比較民俗学および宗教人類学の枠組みにおいてさらなる検討を進める予定である。


 現代におけるこの風習は、表向きは絶滅したとされているが、一部の古い家系や、今なお地図に記されない閉鎖的な集落においては、形を変えて継承されている可能性を否定できない。





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