『雀の涙』
ポッター「はぁ…残業0だったから給料が雀の涙ぐらいしかないよ…」
雀「すいません人間さん、私はしがない雀の重蔵というものです。実は息子が迷子でして捜しているのですが…」
ポッター「雀が喋った!まぁネコ型ロボットや赤いパンツを履いて2足歩行するネズミも喋るから驚かないけどね!で、息子の特徴は?」
重蔵「そりゃ〜もうヤンチャで可愛くて略してヤンカワですよ」
ポッター「ヤンキーの革ジャンみたいだね…それだけじゃわからないなー」
ポッポポーハトポッポー
重蔵「あ、すいません。私の携帯です…」
ポッター「鳩に憧れてるの?」
『あなたは息子のために何かを犠牲にすることはできますか?』
重蔵「!!誰だお前!
む、息子は無事なのか!!」
『3分以内にあなたが停まっている電線をクチバシで切断しなさい』
ポッター「そ、そんなことしたら丸焦げだよ!」
重蔵「く、くそ!私は息子のために…できるのか?」
『あと2分です』
ポッター「重蔵やめるんだ!」
重蔵「人間さん…私は昔かなり荒れてましてね。『低空飛行の重蔵』と恐れられていました…そんな時、遊びだった女が置いていったのが今の息子なんですよ…」
『あと1分です』
重蔵「息子は…何の自慢もなかった私に…はじめてできた自慢なんですよ」
ポッター「重蔵…」
『あと10秒』
重蔵「人間さん…『あと8秒』もし、息子が無事に帰ってきたら『7』伝えてほしい事がある。『6』お前は『5』私の『4』最高の自慢『3』だぞ!ってね…『2』ホロリ…」
うおぉぉぉぉー!!
ブチッ!
『1』
ビリビリビリビリー
ポッター「重蔵ー!!!」
私は忘れない。大切なものを守るために自らを犠牲にした勇敢な一匹の雀を。
最期に流した一滴の涙は私は生涯忘れないだろう…
ポッター「ただいまぁ…。残業代なかったから給料雀の涙だったけど…なんか俺…頑張った証だからいいかなって思うんだ。
…ごめんね」
妻「変なポッターさん。いつもいつもご苦労様ね。全然少なくないよ。大切に使おうね」
ポッター「あ、ああ…」
窓の外では一匹の雀が懸命に何かを捜しているようだった
弱々しくも、その雀は力強く枝を蹴り上げ夕暮れに向かって飛び立った
ポッター「…がんばれよ」
私は小さく呟いた
※重蔵は後でスタッフがおいしくいただきました