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序章『震え紫』





立春が示す所は、春であろうかー





八ッ面山のうえに見えた笠雲はもういっぱいに市内の天へ黒々とひろがり



夜半には何に変じるのか、怖ろしい形相を兆している夜空だった



すべてを知りながら、何も知らないふりをしている川沿いの古桜が、静かに夜が明けるのを待っている



−−−−−−−−



小鳥たちでさえ、不意に訪れた恋人を見るように、見惚れて声をのみこむ



決して白くない花達の上に、やわらかに降りそそぐ白い花ー





けさは、初雪である



水てきを土に返し終え、安堵の表情を見せる一枚の葉の様に



布団の中に沈み込む幾分いつもより丸まった身体がピンと僅かに動く



しぃ。を深層世界から引き上げた正体は、おなじみの機械音でも眩い日差しでもなく



張り詰めた空気の針であった



およそ僅か、大きさにして手のひら程もない露出した部分へ否応なしにそれは襲いかかる



おそらくー



しぃ。という男は、その優しげな風貌の中に烈火な獣を隠し持っているようで、時として標的を見つけ噛みつくクセがある



その(とき)までも静寂した、冷えた苦しい空間を、突如、「ガバッ」と布団を足まで跳ね上げ、果敢にも肉体を針の寧ろにさらけ出したのである



彼の内に住む芯の部分が、自然の厳が支配した部屋を、「どうだ!」と言わんばかり我が物顔で駆けめぐる



程なくー彼の小刻みに震える紫ががった唇が勝敗を告げるー



彼は





ひどく風邪をひいた。



−−−−−−−−





しぃ。「(ポチポチ)彼の子犬のように震えた体が…と」





ガチャ





妻「……!け…携帯いじってないで早く薬のんで寝てなさい!!」


















しぃ。「……ゴメンナサイ(´・ω・`)」

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