アタシ達の戦争 ヴァレリアン渓谷の戦い その4
トープ軍と交戦中のセルポン軍の前列部隊を叩くために、リューは銀竜の背中に乗っている。セルポン軍の後列部隊はルナール軍に任せた。
「トープ軍の被害が甚大だ!すぐに戦いを終わらせねば!ルナール軍だって大被害が出るぞ!」
【どうするの?まあ、挟み撃ちにしているんだから、セルポン軍の前列部隊とこのまま普通に戦うというのでもいいかもしれないのだけど。】
「敵は先ほど、戦闘続行の合図ののろしをあげた。誰かがその戦闘続行の中心となっている可能性があるんじゃないだろうか?その陣営は先ほどのガルガリオンの陣営みたいに、目で見てわかるのかもしれない。問題は目で見ただけでよくわからなかった時だ。この時は、僕たちを囮にできないだろうか?」
【囮になれば敵のリーダーが誰かわかるようになるの?】
「強い確信はないけど、可能性はあるかと思っている。敵のリーダーは僕たちの事を先ほど見たので知っていて、僕たちを警戒しているはずだ。僕達が近づいた時に、すぐ対応するようにそのリーダーの周辺の弓兵に警戒の指示を出しているかもしれない。こんなにうまく行くかはわからないけど、囮作戦をとれば少なくとも敵の注意をトープ軍からそらせることができるはずです。」
【全く!良いわ。どこを叩けば良いか最初に目で見てみて、すぐにはわからなかったら、10秒だけゆっくり飛んで囮になってあげる。アタシ達、今感覚が共有されているんだから、攻撃に当たったらあなたも相当痛いわよ!囮作戦をしてもリーダーがよくわかんなかったら手当たり次第攻撃だからね!】
「それで行こう!」
リューと銀竜はトープ軍から見てセナ川の向こう側にいるセルポン軍前列部隊の上までやってきた。どれが司令官だかは一目ではよくわからない。リュー達は囮作戦を実行に移す。アルジョンティヌスは減速しゆっくりと上空を飛び始める。
【よく見るのよ、リュー!】
ところが、敵の弓兵は誰もがアルジョンティヌスの迎撃の指示を受けていたようで、トープ陸軍に向かって弓を向ける者はほぼいない。彼らはリュー達に弓を向ける。
「やばい、完全な囮になってしまった!」
その時だった。リューではなくセルポン軍に矢の雨が降った。敵の弓兵はもはやリュー達を攻撃するどころではない。敵部隊は大混乱に陥った。
「全く、指揮官自ら囮作戦するなんて、リュー、あなたってやっぱり不思議な方ですのね。シャモ軍、見参!ですわ!」
丘の上から矢の雨を放ったのは、遥々北部戦線から南下してきたシャモ県女王、カミーユ セドゥーが率いる精鋭部隊500名だった!
「カミーユ!」
【リュー、あそこ!】
そこを見ると明らかに周りから兵隊を集めて防御を固めているグループがセルポン軍にあった。
「突撃!」
リュー達はそのグループの取り巻きの兵を全て薙ぎ倒した!
「お前がリーダーだな!ガルガリオンは死んだ!なぜ無用な戦いを続ける!」
「復讐さ!俺、ダムド ゲモンは、昔セルポンの大将軍だった!昔のトープ県への侵攻を指揮したのは俺だ!ところが俺らの占領地はトープのその時の王妃に取り返され、戦闘で俺は片目を失った。軍では俺は一部隊の中隊長に降格だ。この惨めさを、、、」
リューは、それを聞き終える事なく、銀の槍をダムドに突き刺した。それは、ダムドによって今までに失われた全ての命の仇撃ちだった。
「セルポン軍よ、総大将ガルガリオン コルドン並びに、ダムド ゲモンは二人とも討ち取られた!あなた達は、トープ軍、シャモ軍、そしてこの銀竜に勝つことはもうできない!投降しろ!」
トープ軍と交戦中の前列の敵兵達は武器を捨て、敗北の白いのろしをあげた。それを見たルナール軍と交戦中のセルポン軍の後列部隊も投降した。かくして、ヴァレリアン渓谷の戦いは、トープ・シャモ・ルナール連合軍の勝利に終ったのである!
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勝軍:トープ・シャモ・ルナール連合軍
敗軍:セルポン軍
各軍の生存数 開戦三日目 八月十一日 15:00
トープ軍
950人 うち、ロイヤルガード40人
指揮官:リュー ベルモント、太后レティシア
アルジョンティヌス
シャモ軍
500人 指揮官:カミーユ セドゥー
ルナール軍
4,600人 指揮官:アガサ セイエ
セルポン軍 (全軍降伏)
3,500人
前列750人
後列2,750人
前列指揮官: ダムド ゲモンは死亡
後列指揮官:なし(前列に従っていた)
総指揮官:ガルガリオン コルドンは死亡
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