アタシ達の特命任務 神の使いの銀竜編 その2
下から襲ってきたのは先ほど落としたワイバーンだった。ワイバーンが裸のリューとミレーヌを襲う。
「ジャベリン!」
リューはマジックアイテムの腕輪を使い、ジャベリンをワイバーンに向けて放つ!空飛ぶ槍が召喚されワイバーンの胸を突き刺す。先ほどの一発と見事に同じところに刺さったそれはワイバーンを貫通した。これで合計三発打てるジャベリンをリューは全て使い切った。
生命として命が終わろうとしているワイバーンだが、その十分な速度を持った動きは慣性によって止まることは無かった。それはリュー達に向かって一直線に迫ってくる。
「危ない、ミレーヌ!!」
リューはワイバーンの進路上の外へとミレーヌを突き飛ばした。
「リュー!」ミレーヌが転びながらもその名を呼ぶ!
ワイバーンがリューに衝突した!
「グッ!」
ジャベリンの直撃により、スピードは落ちていたものの、その質量の大きさはどんどんリューをステージの端へと押し出す。リューは横に跳んで逃れる余裕も無い。
「!?うわああ!」
リューはついにワイバーンと下に落ち始めた!
「リュー!」ミレーヌは脇目も降らず飛び降りた。
ワイバーンにリューはまだ張り付いている。ワイバーンの空気抵抗が大きいのでミレーヌはリューに徐々に近づいていき、ついに追いついた。
「ミレーヌ、ダメだよ!あなたは生きなきゃ!」
「!?バカリュー!まだ諦めるなああああああああ!
そうでしょ?まだアタシ達生きてる!最後まで足掻くわよ!」
「うん、ごめんなさい、ミレーヌ。」
「フフ、王城に帰ったらたっぷりお仕置きよ。」
ヒュオオオオオ!全く止まらない勢いで2人は下へと落ちていく。このままでは、空洞の内壁にぶつかる!
「ワイバーンを蹴るんだ!その反動で僕らは中央に戻る!」
「せーの!」
ドンっとミレーヌとリューはお互いを抱きしめつつ、ワイバーンを絶妙の塩梅で蹴飛ばした。ワイバーンは、そのうち壁に激突したがリュー達は空洞の中央部に戻ってきた。
それにしても、落ちる、落ちる。リュー達はもうこの洞穴の入り口、つまり地上の高さを過ぎて、まだ下に落ち続けていた。一体どれほど深いのか、この空洞は。
地下数百メートルほどに達した時に、2人にある感覚が宿ってきた!
「ミレーヌ、ここ!」
「うん、エーテルがあるわ!」
中央都パレの空気中に満ちる魔法元素エーテル。それは、スライムやガーゴイルと戦うのに使えるある種のエネルギーのようなものだ。人類は過去にサンラザル大陸中のエーテルを確か中央都に濃縮し、パレに封印した異形との戦いを有利にした。そのため、普通ならばトープなどの地方県にはエーテルが無いのであった。だが、それは地表での話であり、人類は地下深くに眠るエーテルに関しては、地方県に置き去りにしたままだったのだ。
ミレーヌはリューを背中側から抱きしめていたが、もっとギュッと抱きしめた。
「合体技、行くわよ!」
「はい!」
ミレーヌとリューはそれぞれ、ガーゴイルハンターのエーテル、スライムハンターのエーテルの放出をイメージする。そして2人のイメージを一つにしていく!それはリューがパレの士官学校時代に発明した技、エーテルのトリモチを発動するためだ。エーテルを遠くに放出すると言うのはスライムハンターの得意技だが、それはスライムの除去にしか効果がない。だが、そこにガーゴイルハンターのエーテルを混ぜ込むと、スライム以外のこの世の実体と相互作用ができるようになる。これを特殊なやり方でするとトリモチができる。
これは普段は敵の動きを封じるのに使う技だが、今はこのトリモチを使って自分達の落下を止めようと言うのがミレーヌ達のアイディアだ。
『無限トリモチ!』
2人は一気におびただしい量のエーテルのトリモチを放出した。トリモチは空洞の内壁へと放射状に伸びていき、そこにくっついていく。最初のうちは落下の速度が速すぎたため、トリモチの網はどんどんちぎれていった。
『とまれえええええ!』2人はさらにエーテルの放出を強めた。
そして2人は、最後には壁にビタッと張り付いたトリモチの網の上に留まった。それでも強い衝撃が二人に加わった。
「イタタ、僕たち、助かったのか?」リューはトリモチの上で仰向けの状態で止まっていた。
ちなみに、2人とも裸になってから落ちたのだから、今も当然2人は裸のままである。
(アレ、顔が、重い。何も見えない。何か、僕の顔の上に乗ってる?)
「キャアアア!エッチ!」その声はミレーヌだった。
ミレーヌが不時着したのもリューと同じ階層のトリモチの網の上だったが、彼女は膝をついた様な格好でその手足がトリモチに囚われたような格好だった。そして、不思議な事に、彼女は今、リューの顔の上に馬乗り状態なのであった。
「ミ、ミレーヌ、落ち着いて体勢を立て直そう。」
「バカ、この状態で喋んないで!いやあああん!エッチバカリュー!」
とりあえず2人はエーテルの強度や粘度をコントロールし、トリモチの上に立つことに成功した。
「ここからどうやって上がれば。。」リューが考える。
【はーい。はいはーい!】
「その声は、銀竜!」
【アタシもここから自分で上へ上がれって言うほど鬼畜でないわよ。あなた達は上まで連れてってあげる。アタシからの試練は、、、合格よ!】
「やったわ!リュー!」
「やったね!ミレーヌ!」
2人はキスしてハグした。アルジョンティヌスの背中に乗り、2人は空洞最上部のステージに戻った。
【イヤー、2人の愛を見せろと言う課題に対して、まさか2人でアレをしようとしだすとはアタシも思わなかったわ。普通、諦めずアタシに頼み込んで、愛を見せるためのお題を出してもらって、そして2人のチームワークでそれを解決するとかでしょ!でもトウテツがあなた達を高く評価してたと言うのを聞いていたから、長い目で見てあげたわ!
でもワイバーンが現れてからは、あなた達はお互いを守りあい、励まし合い、最後まで諦めず考え、ピンチを切り抜けたわ。あなた達なら大丈夫!だからアタシは力を貸すことを約束する!力を貸すのに相応しいわ!】銀竜はそう言った。
「ありがとうアルジョンティヌスよ。もしあなたの力が必要になったら具体的にはどうすれば良いですか?」
【リュー、あなたでも、あなたの使わした者でも良いから、ここまできてちょうだい。これをあなたにあげます。】
「これは?」
【これは使いの証し。あなたの使いなのであれば、この空洞の入り口の封印をくぐることができるためのアイテムよ。これを使いに持たせてちょうだい。あと、一つ注意があります。伝承で知っているかもしれないけど、アタシはこの空洞のまわりで雨が降っている日は、あなたを助けにいけません。これはアタシと神との約束なので変えることはできません。あと、ドラゴンはアタシだけで他にはいません。でもがっかりしないで。アタシ強いから。】
こうして、リューとミレーヌは陸海空軍のうち、海軍と空軍の増強に成功した。これに脅威を覚えたシャモ県の女王、カミーユ セドゥーは恐らく、今後は外交交渉の場に来るようになるはずだ。
銀竜に一度別れを告げ、二人は王城に帰還した。王城は二人の帰還に、任務の成功に沸いた。
「よく無事に帰ってきました。シルヴァンも元気にしていますよ!」
「シルヴァン!」
バアバア言っている一歳2ヶ月になる息子を二人は抱き上げた。二人は父と母に戻った。
その夜、、、
シルヴァンはもう皇太子夫妻の寝室内のベビーベッドで寝ている。窓から差し込む月明かりの中、ミレーヌはリューを夫婦のベッドに押し倒した。ヒソヒソ声でミレーヌが言う。
「さて、あなた、さっきはアタシを助けたとはいえ、簡単に生還を諦めかけてたわよね。お、し、お、き、するわ!アタシ達の隣ではシルヴァンが寝てるわ。だから、あなたはこれから10分間、何をアタシにされても声を出したらダメよ。」
リューは、今日も愛妻のお仕置きを受け入れた。




