アタシとリューの母 レティシア
ここは、トープ県の首都エスプワール。エスプワールは城壁に囲まれた都市だ。ミレーヌとリューを乗せた馬車が、その入り口にやってきた。彼らをリューの近衛隊が出迎える。
「リュー様、お久しぶりです。」
「エミリー!元気そうですね。」
(帰省と共にいきなり美少女がお出迎えとは、コイツも隅に置けないわね。)
そう思いつつミレーヌはエミリーに挨拶する。
「ミレーヌ カルノです。よろしくお願いします。」
「エミリー デルピアノと申します。リュー様の近衛隊隊長をしております。さあ、王城へと参りましょう。」
城下町を抜け、王城に一行がつくとリューの母、レティシア ベルモントが2人を迎え入れる。
「リュー、よく帰って来ました。
、、、
はじめまして、あなたがミレーヌさんね。リューの母の、レティシア ベルモントです。これから、よろしくお願いします。」レティシアが言った。
「ただいま、母上。」
「初めまして、お母様。」
リューとミレーヌの2人は言った。
まず、リューは一時間ほどレティシアと話す。その次はミレーヌの番だ。2人は王家の間で話を始めた。
「まず、ようこそ、トープ県へ。私たちの国へ。あなたを皇太子妃として迎えられる事、嬉しく思います。パレのサンセール士官学校では、あなたがガーゴイルハンター科を主席で卒業したのですね。おめでとう。」
「ありがとうございます、お母様。」
「フフ、私も夫との昔を思い出すわ。私の夫、つまり前王エティエンヌもスライムハンター科の卒業生だったのですよ。そして私はガーゴイルハンター科卒業生。私達も恋愛結婚だったわ。」
「リューからお話は伺っています。リューがスライムハンターとガーゴイルハンターの二刀流だったのは、お二人の素質を両方引き継いだと言うことだったのですね。
、、、
それと、トープ県の王位継承者は、サンセール大学校でスライムハントを学ぶしきたりがあるのだと聞きました。」ミレーヌが尋ねる。
「そうです。人類はその昔、中央都パレにガーゴイルとスライムを封印した。その時、スライムハントで最も功績を残したのがベルモント家なの。ベルモント家の祖先は、封印するだけでなく、スライムの弱体化に成功した。その時までは、スライムって危険な異形だったのよ。あなたが入学した時、スライムは弱かったでしょう?」
「スライムがガーゴイルに比べて相対的に弱かったのには、そんな経緯が。。。」
「リューの話によると、最近スライムもまた強くなって来ているみたいね。これはいつか人類がなんとかしないといけない問題ね。」
「はい、おっしゃる通りです。」
ミレーヌをボコボコにした人型スライムを思い出しながら、ミレーヌが頷く。
「話が逸れたわね、ごめんなさい。代々ベルモント家の当主には、人類最高のスライムハンターとして人類をスライムから守れるようにしておく責務があるの。その責務を果たせるように、パレとトープ県の間に結ばれた協定によって、ベルモント家の次期当主はサンセール大学校でスライムハントを学ぶ。これがリューがサンセール大学校に通っていた背景よ。とは言っても、過去のベルモント家の活躍によりスライムが弱くなりすぎたので、現在はベルモント家の者がパレにいなくても、パレに今いるスライムハンターだけでスライムに対応できちゃう背景もあって、ベルモント家とパレのコネはそこまで強く無かったりします。」レティシアが説明した。
「あと、本当にありがとう、ミレーヌ。私の夫、エティエンヌはリューと同じで、エーテル過剰使用症の癖があってね。パレではよくそれで倒れてた。それが祟ったと考えられるのだけど、悲しいことに若くして亡くなってしまったの。リューが3歳の時だったわ。だからリューのその病気をあなた達が治してくださった事、とても感謝しているわ。あなたとリューが末長く共に道を歩んでいくことを願っています。」レティシアが続けた。
「お母様。。。」エティエンヌと結婚して、彼を早くに亡くしたレティシアの気持ちを考えると、とても悲しくなり、ミレーヌは言葉を詰まらせた。
「夫が亡くなってからと言うもの、私は政治に情熱を傾けたわ。トープ県ってすごいのよ。ほら、私ってパレからやってきたよそ者でしょ。そんな私を信用して、皆が一体となって、トープを守ってこれたの。あなたの事、みんなきっと気にいるわ。だから安心して、リューと二人三脚でこの国を導いていってね。二年ぐらいあなた達が政治を実務を通じて経験したら、世代交代。リューは王となり、あなたが王妃となる。あなたはそれで良いかしら?」
「はい!」ミレーヌは気合い十分に答えた。
(リューのお母さん、とても暖かな人ね。)
心の中でそう思ったミレーヌは、王妃として、この国を盛り立てる覚悟を新たにした。




