アタシと伝説の巨神兵 その4
「待って、ミレーヌ!」
とうもろこし畑にリューの声が響いた。
リューの乗る巨人ティグルブルーがミレーヌのドラゴンルージュに追いついた。ティグルブルーは先回りをし、ドラゴンルージュの行手を遮る。
【まずいな、私の記憶が正しければ、これ以上先に行かせると温泉街に入って大惨事になるぞ。】
リューの持つ婚約指輪に宿った、リューの父の思念がリューに語りかける。
「わかってます。ミレーヌを止める。」リューが返事をする。
ドラゴンルージュはティグルブルーを敵と認識した。ドラゴンルージュがティグルブルーに打撃を始めた。
「グアアッ」
ティグルブルーの操縦室に衝撃が走り、リューもダメージを受け、リューが叫ぶ。
【リュー!?なぜ攻撃をかけない?こちらも仕掛けないと始まらんぞ。温泉郷にいる人々を守る事ができなくなるぞ!】
「僕はみんなを守ります。でも、それはミレーヌを含めてです。」
【ミレーヌだがほぼ完全にドラゴンルージュに取り込まれつつあるように見えるが。確かに、リュー、君の判断は正しい。こちらから強い衝撃を与えれば、ダメージを受けて弱ったミレーヌが一気に取り込まれ元に戻らなくなる可能性が高い。。】
「助ける方法は、あるでしょうか?」
【無くはない。ドラゴンルージュに密着してエーテルを注ぎ込むのだ。だが、それは不可能に思えるが。】
数分が経過した。ドラゴンルージュは怒涛の勢いでティグルブルーを殴り続けていた。ドラゴンルージュは一瞬の隙も見せない。操縦室のリューは相当のダメージを受け、息が絶え絶えである。だが、、、
「カジエの森での二の前は踏まないぞ。一緒に帰ろう、ミレーヌ。」
ティグルブルーはよろめきながらもまだ倒れない。
【リュー!もう君もティグルブルーも、そしてミレーヌも、そろそろ持たない。作戦を切り替えるんだ。ミレーヌは諦めるしかない。。。】指輪がリューに語りかける。
「ダメだよ。」リューが言う。
「だって、、、だってミレーヌ、あなた、泣いてるじゃん!」
その言葉に反応したのだろうか、ドラゴンルージュがビクッとし、攻撃の手が一瞬緩む。リューはその一瞬を見逃さなかった。ティグルブルーを加速させて、ドラゴンルージュにしがみつかせる。
【よし、集中し続けろ、リュー。この至近距離でドラゴンルージュにエーテルを流し、ミレーヌと思念を一体化しろ!そこからは君次第だ。ミレーヌを連れ戻してくるんだ。】
ティグルブルーからドラゴンルージュにエーテルが流れ、リューはミレーヌの思念の世界に入っていった。
「こ、ここは?」
気づくとリューは異世界のような場所にいた。リューの後ろでは入ってきた入り口のドアが光っている。ここは空中に浮いている足場で、細くて下って行く道が続いている。
「ミレーヌはこの先にいるのか。」リューは先へと進む。
やがて細い道は洞窟へと変わった。道は相変わらず下り坂だ。中に入るにつれ、触手のようなものが壁を覆っていて道が、狭くなっていた。
「ミレーヌ!」リューはミレーヌを見つけた。
意識はないように見える。肩から上は見えるが、その下は洞窟に取り込まれている。無数の触手達はアリ地獄のようにミレーヌを取り込もうとしているように見える。リューはミレーヌの手を引っ張るが、触手の力がどんどん強くなってくる。
「負ける、、、ものかッ!」
リューは精一杯の力で引く。だが結局、触手達はミレーヌの頭まで飲み込んだ。リューが引っ張っている手が離れれば、完全にミレーヌはドラゴンルージュに取り込まれる。
「これまで、、なのか。。。」
そう思ったリューに、触手の出すノイズの中に、微かにリューの名を呼ぶミレーヌの声が聴こえた。
「ミレーヌ!まだだ、僕たち頑張ろう!」リューが呼びかける。
すると二人がつなぐ手から光が溢れ、ミレーヌを取り囲む触手の力が弱まった。リューは一気にミレーヌを引き上げた。ミレーヌをお姫様抱っこすると、リューは入り口に向かって駆け出した。そして二人は、思念の世界から還ってきた。




