アタシたちはどちらかと言うと主従の関係になる
「端的に言うと、あなたの実力だとアタシがガーゴイルと戦ってあなたはそれをポカンと見ている、それ以外の光景が思い浮かばないわ。」
「結構ストレートなんだね。でもまあ僕もいつまでも今の実力のままではいないし、一人で任務にあたるのは原則的には御法度。一人で任務にあたっているのがバレると、助けが必要でも呼べないと言う事で学校からのウケも良くないでしょう。」
人差し指をピンと立てながらリューはそう言って、次のように続けた。
「今学期、生徒に課せられる任務があるのは週に二日だけです。土日は休み。その他の3日間は午前が必ず学科もしくは実技で埋まっています。
その三日間の午後については必修の実技の授業が1日はありますが、残り二日の午後は二人組でのトレーニングと言う事になっている。そこで次を提案したい。」
「?」
「任務は基本的に二人で行う。ガーゴイルハントであったとしてもね。それに対応してビノームのトレーニングの時は、僕はあなたの考えに基づいたトレーニング、もしくはあなたとのトレーニングでガーゴイルハントへの適性を上げる。」
「ナニよソレ?あなたにとって良いような話じゃない?」
ミレーヌが怪訝そうに言う。
「はい。でも貴方にとっても良い話ですよ。ピンでしか活動できない人と思われるのは卒業後の出世に響くかもしれないじゃないですか。」
「まあ、そうね、、、、いいわ、でも一つ条件があるわ。」
「?」
「アタシのことはミレーヌ様と呼ぶのよ。アタシがトレーナーなんだから。」
「な、、、他の学生からすれば結構変なのでは?いや僕だけでなく貴方にとっても変という意見が来そうな気がするけど。」とリューが返す。
「アタシは気にしないわ。アタシが考えた上で決めたことだもの。ソレともう一つ、アタシの意見には基本的に従う事。」
「そんな横暴な。」とリュー。
「ただそれだけを呑むだけであなたの提案が通るのよ?さあ、どうするの?」ミレーヌは決断を迫る。
「うーん、じゃあやってみます。」
「決まりね。今日からよろしく、リュー。言っとくけど、あなたのトレーニングは、アタシにとっても死活問題。厳しく行くわよ。」ビシッとミレーヌが言う。
「よろしくお願いします、ミレーヌ様。」
素直に様づけしてきたリューにミレーヌは爆笑してしまった。二人は、学校で別れた。
夜になり、彼女の寝床でミレーヌはリューとの会話を思い出していた。
(アタシが高貴な人、か。アタシ、何か気づかれる様な事しちゃったかしたかしら?アイツは何か勘のようなものでもあるのかしら?油断ならないわね、リュー ベルモント。)