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アタシ達と海賊 その5

 中央都パレの港町マリナリア、海の見える見晴らしのいい公園でミレーヌがアリアに化粧をしている。


「はい、これで終わり。」とミレーヌ。


 ピンクのブラウスがアリアの、肩までかかるくらいに切った黒髪によく合う。


「応援しています。アリアさん。」リューが言う。


「一歩前進するといいわね。それじゃ。アタシとリューはこれで失礼するわ。あなたの彼とどうなったか、今晩9時ごろならアタシ達は部屋にいて話を聞けるだろうし、その時間が無理なら、明日の朝にでもお話し聞かせてね。」


「あとはアタイ次第、、か。」


 アリアの意中の人の名はガブリエル クザン。7代は続くクザングループの29歳の若きトップだ。彼の本拠地である本社の建物の前までやって来た。


「アリア フーシェです。クザン社長の友人です。彼に個人的な話があります。またクザン社長次第ではビジネスに関するお話もあるかもしれません。」


 アリアが受付で話す。


「あいにくですが、クザン社長は突然のアポには応じません。数週間は社長のスケジュールは終業時刻まで埋まっております。勿論、就業時刻後のプライベートには社員は触れること叶いません。」受付が言う。


(やはり無理か。。彼には自分の事で無理はさせたくない。)


「それでしたらこちら、クザン社長へお渡し頂けますか?」アリアが手紙を差し出す。


「はい、それは可能です。ゴードン、こちらのお手紙、社長の今の商談がもうすぐ終わるから、お客様がお帰りになるタイミングで社長にお渡しして。」


 ゴードンと呼ばれた男が手紙を持って上へ上がって行った。アリアはクザングループを後にした。


(明日からまた頑張ろう。アタイも今は海賊団のお頭なんだ。)


 アリアは仕事のことを考え、気持ちを切り替えようとした。そこに血相を変えて走って追いついて来たのは先ほどの受付だ。


「先ほどは失礼いたしました。クザン社長が是非あなたにお会いしたいとのことです。18時からのご都合いかがですか?私どもの建物でよければお客様の間でお待ちいただけますし、外でお待ちいただくことも可能です。」


 18時、ガブリエル クザンがアリアの待つ応接室に入って来た。


「失礼する。こんにちは。アリア 幼い頃に遊んだ アリアなのかい?。。やっぱりそうだ!」ガブリエルがアリアに握手しながら言う。


「とても立派になったんだね。」


 アリアを見てガブリエルが言う。人は第一印象が重要と言うことがあるが、その点ではガブリエルはアリアに好感を持ったようだ。


「こんにちは、ガブリエル。」


 アリアが言う。緊張してなかなか次の言葉が出ない。


「どうだい、今日は接待、会合、その他のない日なんだ。近くにいいレストランがあるから一緒に行かないか?」ガブリエルが言った。


 二人はレストランに入った。


「このメッセージカード、ありがとう。君からのありがとうの言葉、そして君の名前、そしてこの押し花だ。これはトーリアの花だね。この辺りじゃ珍しい。とても高貴な匂いがする。その花言葉、知ってる?」とガブリエル。


「あなたに幸せが必ず訪れますように。。。」アリアが言う。


「君からの最高のプレゼントだよ。ありがとう。」


 そして、ガブリエルは自分の今や会社の今について話した。


「君は最近どうしてるんだい?」


「アタイ、、、、いや、私はビジネスを始めてます。結構手広く事業をしてて。」


「なるほど、何か僕に助けられることがあって僕に会いに来たと言う感じかな?」


「いえいえ、貴方の手を煩わせるなんて、そんな大それたこと考えません。もうすでに十分忙しいのでしょう?私は昔のお礼を言いに来たかったの。そして昔よく助けてくれて遊んでもくれた、あなたに挨拶もせず、街を去ってごめんなさい。」とアリア。


「助けたのはともかく、一緒に遊んでたのは僕も楽しかったことだ。だから君が急にいなくなった時は寂しかったよ。」


「ごめんなさい。。。。」


二人は昔の思い出話に花を咲かせた。彼との思い出だけは楽しかったことがいくつもあった。時は早く過ぎていく。


「さっき商売を始めたって言ってたよね。商業ギルドはどこの支部所属?いろいろ知り合いがいるから、手助けできることがあったら言ってね。」とガブリエル。


(!?そうか 彼はアタイを海賊ギルドの者とは思っていないのね。海賊は最初から視野の外か。。。)


 アリアは悲しい思いをした。


「今日は奥様とかご家族の皆様は、貴方が遅くなって心配しないの?」アリアが訊く。


「妻は、いないんだ。一昨年までフィアンセが僕にはいたが、海賊の襲撃で怪我を負ってね。命に別状はなかったが、その時のことがトラウマで港町にはいられなくなった。中央都パレの都心部に移り住み、今は新しいパートナーを見つけたようだ。」


(!?そうか海賊は彼にとっては憎むべきもの。。これじゃあ告白どころじゃないわね。。。)


 アリアの気持ちはさらに沈む。


 自分が海賊ということは、ガブリエルとの想い出を綺麗なままにしておきたいという思いが強く打ち明けられなかった。その時だった。レストランの窓がいくつも同時に割れ、四人の武装した大男達が入って来た。


「このレストランは、このルカンファミリーが占拠した。レストラン売り上げ、客の持ち金、全部差し出せ!」リーダーらしき男が言う。


 ルカンファミリーが集金もとい強奪を始めた。アリアとガブリエルのところにもやって来た。


「すげーな、飛び切りの上玉がここにいるじゃねーか?姉ちゃんちょっとツラ貸せよ。」


 男がアリアに言って近づいてくる。


「彼女に手を出すのはやめてもらおう。許さんぞ。」とガブリエルが言って間に入る。


(この人、昔と全然変わってない。。。)アリアは思った。


 男はガブリエルの顔面に鉄拳をくだしガブリエルがアリアの足元に吹っ飛ぶ。


「あなたがこんな危険な目に遭っている以上、アタイの正体を伏せておくわけにはいかないわ。おい、貴様、アタイの大切な人を殴った罪、受けてもらうぞ。」アリアが言う。


(アリア、いったい君は何を。。。!?)


 アリアは男の後ろを容易く取り、腕に関節技を極める。鈍い音がした。男は激痛に絶叫し倒れこむ。アリアが持っていた笛を吹く。するとアリアを覆面警護していた男女が20名ほどレストランに雪崩れ込んできた。


「ドーファンファミリー見参だよ。ルカンファミリーは全員手を上げて降伏しな。警察に引き渡す!降伏しないなら死だぞ!」アリアが叫ぶ。


 数分後、警察が来てルカンファミリーが逮捕された。港町ではこのようにある海賊が警察と協力し治安を維持することが茶飯事で、アリアも手続きに慣れている。アリアと警察の話が終わりガブリエルの下に、アリアがやって来た。


「今日はありがとう。あなたとこうやって会えること私の数年来の夢だったの。でも商業ギルドにいる貴方が海賊のアタイを相手になんて、できないわよね。それにあなたはフィアンセを失い、海賊を憎んでいる。。。さようならガブリエル。」


 アリアはガブリエルに背を向け自分のホテルへと歩き出した。


「待ってくれ!」ガブリエルがアリアを引き止めた。

「僕を救ってくれた恩人よ、行かないで。僕は今までの人生で海賊に確かに今まで辛い思いをさせられた。だが海賊の性質も海賊それぞれだ。そして君には君が君自身の理想の海賊であること誇りに持って欲しい。君は君として気高い人だからだ。君よ、僕も今の商売があり、時間がかかる事もあるだろうが、僕と手紙を交換するところから始めないか?」ガブリエルは言った。そしてアリアの手をとる。


「嬉しい。勿論良いわ。でも、、、」とアリア


「でも?」


「そんなに優しくされるとアタイ、もう我慢できなくなっちゃう。」


 そういうとアリアはガブリエルの唇を奪う。ガブリエルはアリアの唇を奪い返す。二人は手を取り合いながら、夜の街を歩いて行った。そしてガブリエルの邸宅のガブリエルの部屋でゆっくり愛しあった。



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