アタシ達と海賊 その3
一泊し、次の朝になった。
「はい、今日は二人でボートであそこに見える島まで行きましょう。」とミレーヌ。
「いいですね。」とリュー。
二人はプライベートビーチに付属の二人乗りボートを漕ぎ出した。二人の連携は流石に完璧で、ボートは力強くグングン進む。普通は島までボートを漕いで行こうとするプライベートビーチの客はいない。潮の流れが激しいからだ。だがこの二人の軍人の卵はその「普通」と感覚が違っていたのだった。ボートが島に上陸する。
「ここ、エーテルの濃度がとても薄いわね。アタシ達の技は使えなさそうね。」とミレーヌ。
美しい野生の杉の木の生えている島だ。二人は森の中を散策してみることにした。
「人が入った形跡があるわね。」とミレーヌ。
20分ほど歩くと森の中に広い畑のような場所が現れる。
「何かが、栽培されていますね。こ、これはミャームフルーツ!時々八百屋で見かける超高級のトロピカルフルーツですね。」リューが言う。
刹那、上から網が降って来て、二人はあっさり捉えられてしまった。ゴツい一人の男が出てくる。
「ここは 一般人立ち入り禁止だ。ちょうどいい。今日はここにお頭がいる。お前らをどうするか聞いてやる。」男が言った。
男は二人をひょいと担ぐと彼の使っている建物まで二人を運んだ。ミレーヌとリューはお頭と呼ばれる人物の部屋に連行された。ドアが開く。そこにいたのは、一人の女性だった。年齢はミレーヌより少し上に見えるが若いお頭だ。
「なんだい、お前達は。ここの島が、海賊ドーファンファミリーの所有と知ってここにいるのか?アタイはアリア フーシェ、ドーファンファミリーのお頭だ。」
海賊というのはパレにおいては、海運業や海の警備などを担う業者で、他にも海辺の観光業なども担う。海のエキスパートというのが本来の姿で、海上では警察でも敵わない。そんな実力にかこつけて、時々、法を破る少数のグループが出てくる。そのことからその海のエキスパート全体を人々は海賊と呼ぶようになってしまった。実際には暴徒化したグループから街を守っているのも海賊と呼ばれる人達なのだが。また、海賊のギルトとパレの商業ギルトは完全な別組織で互いに競合関係にあった。
ミレーヌとリューは、自分たちについて、そしてここに行き着いた事情を説明した。
「手漕ぎボートでここまで来た!?そりゃ常識はずれだ。士官学校の学生さんにしてもだ。ここにミャームフルーツの畑がある事は黙っていてもらうよ。これはアタイたちが栽培に成功したけど、よそでも栽培に成功すればミャームフルーツの価格が下がるからね。」
「軍人の卵のアタシ達には、そこは興味ありませんし、海賊に関する事は警察等の管轄。警察と軍は縄張りを持っていて、士官学校の学生が何か口出しするのも余計な事でしか無いでしょう。言うメリットがないわ。」とミレーヌ。
「了解した。そうならば、基本的には帰ってよし。おい男ども、席を外せ。アタイはこのお嬢さんと少し話がしたい。お嬢さん、あなたはアタイと少し話せるか?」アリアが聞く。
ミレーヌがOKを出したので、リューとアリアの部下の大男は部屋の外に出る。
「いや、少し男の前では話せない雑談でもしたくなってな。ありがとう。それにしても、、、いやらしい水着だな、あなたの水着は。まるで自分の美しさをたっぷり見てくださいとでも言わんばかりだ。連れの男、あなたの恋人なのだろう?」とアリアが言う。
ミレーヌはリューとの馴れ初めやリューをどう思っているかなど少し話した。
「ハハハ まいったまいった。こりゃたまげたバカップルだ。こんなに愛し合っている二人なんて、滅多にいないだろうよ。この大陸で。
うらやましいよ。アタイもそんなパートナーがいればね。。。」とアリア。
「あなた、想いを寄せる人がいるのね。」ミレーヌが言う。
「なんでもお見通しかい!?フフフ、そうだ。アタイには、一人どうしても気になる男がいる。」アリアが話し始めた。




