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アタシ達と未知の遭遇 その1

 リューはトレーニングを終え、ミレーヌのアパートへやって来た。


「ミレーヌ、いるんでしょう?」


 ミレーヌが玄関口まで出てくる。


「一人にしてって言ったでしょ。もう少し、一人で考えたいの。あなたには悪いけど今晩は一人でいさせて」ミレーヌは、いつにない真顔だ。


「僕たち、一緒に悩む事もできるよ?」


「ありがとう。でもそれが甘えにならないようにもう少し自分で考えたい事が今日はあるの。」とミレーヌ。


「わかったよ。また明日、ミレーヌ。」

「また明日、リュー。」


 ミレーヌは考える。


(リューの気持ち、、か。アイツはいつだって本気で私に接しているし、アタシはそれに本気で答える。常にそうできる事を目指していけば良い。でも、、、、)


 リューの将来に関してはミレーヌには見えるものがある。卒業の前にはリューはガーゴイルハンター科でも3位くらいにはガーゴイルハンター技術が高まっているだろう。今でも彼は十分ガーゴイルハンターとして通用する。少し前までは自分がいないとガーゴイルハントがどうにもならなかった相棒が、今では一人でもその任務に対応できる実力をつけていて、その上スライムハントもできる。


(つまり将来の任務の内容が、今の任務の内容の延長線上にあるなら、アイツのビノームは能力からすればアタシである必要がない。そして将来はアイツのビノームとしてアタシがふさわしいのか、と言うことにアタシはきっと悩む。)


『ミレーヌは、このままで良いと思うよ。』と言われた時、何か自分が置いてかれるような気がしてしまったのだ。アイツ(リュー)はどんどん先へ行ってしまうような気がしたのだ。そんな悩みは尽きないが、結局数時間かけて考えてもできる事をやるべしと言う事に結論は落ち着く。ビノームとしてやれることはやって悔いの残らないようにする。スライムハント技術は、今は諦めないが、ビノームとして他の方法で貢献できるならスライムハント技術よりもそちらを優先すれば良い。そんな結論を出しては、元の悩みに戻ったり、行ったり来たりをミレーヌは何度も繰り返した。


次の日、、

 昼が過ぎ任務の時刻となった。ミレーヌとリューは彼らのビノーム控室に集まる。控室は学年で最優秀と考えられたビノーム10組のそれぞれに与えられる部屋だ。それが授与されているビノームにはミレーヌとリュー、ルイとルイーズ、ヴェロニカとアマンダなどなど学年の錚々たる顔ぶれが並ぶ。この部屋は学生達の競争意識を高めるだけでなく、より高度な任務に就く10組のビノームの作戦会議をサポートするという目的もあった。


 お互いに、まずは昨日の事は触れずに任務について話す。任務は命懸けであるからだ。


「今日はもう一組のビノーム ノエミーとアレックスとの共同作戦です。」リューが言う。


「ヴァレンヌ森のエリア4で続々と動物の死骸が見つかっており、その原因の究明、そして可能ならその排除が任務ね。」とミレーヌ。


「ノエミーとアレックスは今どこにいるのですか?」とリューが尋ねる。


「もう現場に向かっているわ。今日はガーゴイルハンター科の方が授業が先に終わったでしょ。」


 どうもリューの様子がおかしい。


「リュー、あなた。。。熱があるじゃない。結構な熱ね。」


(昨日寒い中で走らせてしまったのが、影響しているのかしら。。。クソッ!)ミレーヌは自分達のやる事なす事に、ついネガティブになってしまう。


「だ、大丈夫だよ。」


「肩で息をしているくせに、、説得力0よ。今日はあなた休みなさい。」


「嫌ですよ。一緒にいたいし。」


 ビノームが恋人である事は総じてプラスに働く事が多い。ビノームは実際に、かなりのカップルを作っている。だが今回のこのケースでは真逆だ。


「アタシ、風邪に効く良い方法を知ってるわ。まずは壁に向かって立ちなさい。」とミレーヌ。


 リューが従う。


「そして心を無にするのよ。。。。まだ何か考えているわね。。。本気で心を空っぽにしてみなさい。」


 リューの心は無となり完全な無防備となった。刹那、ドスンと音がした。ミレーヌがリューにエーテルを付与した当て身をしたのだ。


「数時間ほど、ここで大人しく寝てなさい、リュー。アタシは大丈夫よ、ノエミーとアレックスも一緒だし。帰って来たらあなたのことたっぷり看病してあげるわ。体調管理ができなかったことのお仕置きもね。」


 薄れゆく意識の中、リューはミレーヌの声を聞いた。


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