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アタシはぬいぐるみとイチャついた

 リューが去って、ぬいぐるみと交流会会場に残ったミレーヌだったが、10分くらいすると、「じゃあ、アタシ、帰るから。」とルイーズとルイに言った。

 「知ってた。」と二人は返した。二人は、ミレーヌはリューを追いかけると思ったからだ。

 2キロほど夜道を歩く。ある交差点にミレーヌは差し掛かる。ここを真っ直ぐ行けば、自分のアパートに着く。左に曲がれば、リューのアパートにすぐ着く。

 ここでリューを追いかけるべきなのか、帰るべきなのかで、まだ判断がミレーヌはつかない。恋心というのは、自分で自覚したのが生まれて初めてだったのだ。自分の気持ちとか自分の行動をどう制御するのが良いか、ミレーヌにはまだわからない。ただ、彼女は軍人の卵、物理的な危険には敏感だ。


「ナメないで貰えるかしら?七人いるわね!」

 ミレーヌは後ろを振り返る。

「一人ずつとっちめてもいいのよ!八つ裂きにされたくなかったら、自分の家に帰るか、二次会に行きなさい!10数えるわよ!」

 好奇心でミレーヌを追ってきた者達がいたのだ。10数えると彼ら彼女らのエーテルの反応が消えた。代わりによく知っている一人のエーテルが近づいてきた。


「ミレーヌ!大丈夫?」

 左側の道の数十メートル先に、リューの姿はあった。


「あ、あなた。」


「どうしたんですか?無事ですか?」


「大丈夫よ。心配しないで。なんで、ここにいるのよ?アタシより先に帰ったでしょ?」


「散歩がてら、少し遠回りして帰ってきたんです。アパートの向こうから貴方の叫ぶ声がしたのでビックリしたのですが、無事なら何よりです。」


「アタシは大丈夫よ。あなたをひとりぼっちで帰したのが、ちょっとかわいそうだったかなーと思って。もし、道端で咽び泣いているなら、ご主人様として回収してあげないといけないかなって思って。」


「あらあら、ご心配おかけしました。」


「あのさ、勘違いしないで。」


「う、優しいご主人様には、勘違いしちゃいます。」


「いや、そうじゃないわよ。そうだな、逆かしらね。アタシはアンタを高く買っているのよ。あなたの事、嫌いなんてわけないから。アタシがあなたを好きじゃないと思ってると思わないでって言いたいのよ。でも、アタシ、こう言う気持ちになったのが初めてなんだ。だから、今は少しゆっくりだけど。アタシだけを待っててよ。」


「はい。」


「年末年始さ、始業してから、会うってことにしたけど、やっぱりあなたは見てられないわ。二回か三回くらい会う必要があるわ。」


「僕も会いたいと思ってたよ。」


「じゃ、そう言う事で、詳細は明日連絡するわ。バイバイ、おやすみ。」


「おやすみなさい。」




 リューと別れて、ミレーヌ自分のアパートに帰ってきた。歯磨きを終えパジャマになったミレーヌ。ベッドの上にぬいぐるみと一緒に横になる。


ミレーヌが独り言を始めた。


「フフフ、フフフヒフ。」


「あんたに名前をつけなきゃダメね」ミレーヌはぬいぐるみを抱きあげた。


「あんたの名前は、、、、リュー よ。」ついつい気に入っている異性の名前を、自分の所有物につけてしまう。ミレーヌはそれを連れて掛け布団の中に潜る。そして何度もぬいぐるみのリューに話しかけた。


「結局、あんたはアタシがいなきゃ全然ダメ。」


「結局、お前はアタシの所有物なのよ、リュー、わかった?」


「今日はどうしようかな?あなたはね、アタシに今からイジメられるのよ。」ぬいぐるみのリューにそう言うと、リューを胸に押し当てた。


「どう?息できないでしょ。あなたが生きるも死ぬもアタシ次第なんだから。」


「何よ、恥ずかしいの?おっぱいを顔に当てられたくらいで、子供ね、リューは。」


「もっと恥ずかしい目にあわせてあげる。」


 ミレーヌはぬいぐるみのリューと一緒に夜を過ごした。ミレーヌはぬいぐるみが汚れないように気をつけたが、彼女のシーツが幾分か汚れた。


 次の日、、、晴天、外ではスズメが鳴いている。ミレーヌは少し寝坊した。


(昨日は、、、きっと悪酔いしてたわ。。。現実でアイツに昼間から変なことしないようにしないと。でも、こいつの名前はリューでいいわね。)


 ミレーヌはベッドの上のぬいぐるみを見つめる。そして考えた。


(いや、逆ね。今日からは、アイツとアタシの間には何があっても良い。アタシは、もうアイツを一人にはしない。アイツをアタシのモノにして、アタシはアイツのものになる。)


 ミレーヌは心に決めて、そして現実に戻り、リューとの待ち合わせの約束をするために自分の家の電話の受話器をとった。

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