アタシ達は学科交流パーティーに参加した。 その2
パーティー当日、ミレーヌの見立て通り学科交流の名目でのパーティーではそれぞれの学科の学生は学科ごとに集まっている傾向はあった。その中で例外的な動きをしたのは軍医科で、ガーゴイルハンター科ともスライムハンター科とも話を楽しんでいた。ガーゴイルハンター科の卒業生は将来、軍の中核を担う人材であるし、スライムハンター科の学生は公衆衛生や感染症対策の業務に従事する事もあり、共に仕事をする可能性もある対象だったのだ。
一方で、ガーゴイルハンター科とスライムハンター科はというとガーゴイルハンター科独自のエリート意識もあり、分かれている感が高かった。その例外となっていたのがミレーヌとリューと親交のある者達だった。
「ルイ、こんにちは。お世話になっています。」
「やあリュー、こんにちは。」
リューがガーゴイルハンター科の男子生徒に声をかけた。ルイ ショタール、ガーゴイルハンター科10位の成績を持つ学生である。彼のビノームはルイーズ ルソー、スライムハンター科4位の学生である。ルイとルイーズのコンビが、ミレーヌ達の学年のもう一つの学科混成の二人組なのであった。
「何よ、あなた、ルイの事知っているの?」ミレーヌが会話に入ってきた。
「ガーゴイル戦に関する考え方や、戦闘技術についての意見を伺っていてお世話になっているんですよ。」リューが答えた。
「最近はどうなんだい?」とルイ。
「ま、まあまあってところよ。でも私がこれからもビシバシ特訓してやらないと全然ダメね。」とミレーヌが答える。
「そうとも言えるのだろうが、いろんな方面から話を聞くとリューはよくやっているって事になる。実際どうやってるのか知りたいくらいなんだ。うちのビノームではガーゴイル戦は他のビノームのペアと一緒にやる事が多いしね。それじゃないと危険で。」とルイ。
「そうですよ、リューさん。私、ガーゴイルハンター技術を会得しようと数か月間試してみましたが、特に何も身につきませんでしたよ。どうやってるんですか?」ルイーズがやってきた。
「どうやってって感覚的なものは答えに窮するけど。」とリュー。
ルイーズが付け加えた。
「ルイさんはすごいんですよ。スライムハント技術、私の一年生の時くらいにはできるんです。」
「!?」ミレーヌは人知れず絶句してしまった。
ミレーヌはスライム戦はほぼ完全にリューに任せているものの、スライムハント技術を学ぼうと全くしなかった訳ではない。実は家で練習した事も何回かあった。だがルイーズがガーゴイルハント技術を身につけられないように、ミレーヌもスライムハント技術は、今のところは身についていなかった。
(リューの成長はリューの資質によるところも大きいのね。)
「リュー君〜〜」
ガーゴイルハンター科のミレーヌの取り巻きの女生徒達だ。
「ミレーヌとはどこまで進んだの?」
「ミレーヌの愛のムチ、痛すぎない?」
「こらこら、何よ愛のムチって、やめなさい。」
女生徒達はミレーヌに追い払われていった。そんな会話を聞いていたある女生徒がリューに話しかけた。
「リュー君、あっちにパフェのスタンドがあるんだけど、一緒に行かない?」
彼女はスライムハンター科2位のヴェロニカ ゴイエだった。スラっとした青い髪が肩にかかるくらいの長さの美少女だ。
「ヴェロニカ、元気?ミレーヌ様、こちらがヴェロニカです。ヴェロニカ、こちらがミレーヌです。」
「こんにちは、ミレーヌ。」
「ごきげんよう、ヴェロニカ。」
(コイツが情報屋のマリアが言っていたスライムハンター科の女ね。アタシの見立てによると清楚、上品だがしたたかな感じの女ね。コイツは、リューが私を様づけしていることを知っている。だが恐らく野暮なツッコミは入れない。リューの意を解していないと思われたくないからだ。)
「パフェなんて、珍しいね。冷やす技術って結構お金がかかるでしょ?」
リューがヴェロニカに尋ねる。
「それが、氷の魔石の所有者のお店だそうで、それでうまくパフェができるんだって。すごいよね。」
「ミレーヌ様もご一緒しませんか?」
「ア、アタシ?結構よ、アタシあんまり甘いもの好きじゃないし。」
(と、しまった、この前リューにケーキバイキング付き合わせたんだった。)
「…そうでしたね。では少しヴェロニカと行ってきます。」
リューは、ミレーヌに話を合わせつつ、言った。彼なりに空気を読んだのだ。二人があっちを向いた瞬間、ヴェロニカはリューの右腕と自分の左腕を絡ませ、胸を押し当てる。
「リュー君、そのパフェって結構おっきいの。一緒に食べよう?」
(!?!?!?)
ミレーヌは予期せね事態に再度、心の中で絶句した。ヴェロニカは確かにしたたかだ。




