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捨てられ猫姫の憂鬱  作者:
第四章 王配の座は誰に

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二日目の試合

「ミーアが王女でないなら、いつ誰に奪われるか分からない。結婚するまで気が気じゃない」


「王女なら、大会まで誰とも恋仲にならないと安心していたんだな。それでミーアに何のアプローチもしなかったのか」


 ニコラが合理的だなあと、感心している。


「ダンは国を治める資質があるね」


「でも女性の心には疎いわ」


 リンスがニコラを自分のほうに向かせ、ほったらかしにしたら怒るわよ、と睨んだ。


「決めたわ。もしダンが優勝したら、ミーアが女王になる前提で、ダンと婚約する。そうでなければ予定通り、リンスが王女として優勝者と対面する。諸々の決定は後日に延ばすことにするわ」


 女王の宣言に、一瞬部屋の中がシンとした。

 次の瞬間、皆一斉に喋り始めた。


「ダン、いけるか」


 それに加えて、サポートするぞ、とか任せろとか、男たちがダンを囲んで騒ぎ始めた。


「ミーア、ダンと相談して。ミーアが嫌なら、私が女王としてニコラと二人で頑張るわ」


 私を気遣うリンスに、ニコラは困惑顔ながら、同意している。一番不安なのはニコラだろうに、本当にリンスを愛しているのだ。


「この大会でミーアの事を公表するわ。どうなるにせよ、ミーアの協力は必須。王女として公表するのは決定事項よ。お披露目の衣装を決めましょう」


 私は女王に手を引かれ、リンスの部屋に連れて行かれた。

 リンスとバーバラが付いて来て、その夜遅くまで、お人形ごっこが繰り広げられた。



 大会二日目の試合は正午から始まった。

 競技内容は宝探しだ。


 午前中に競技場は森と岩山に変えられていた。宝箱はその何処かに五つ隠されている。

 この競技では二人がひとチームになり、

 宝箱を見つけたチームの十名が最終戦に勝ち残る。


 注意事項がアナウンスされた。


「宝箱の中には、魔力を帯びた品を入れてある。偽物入りのハズレの宝箱を提出したら失格。他チームの邪魔はしないこと。地形を変えないこと。以上」


 パーシーとビリー、ダンとソロモンがチームを組んで登録したようだ。四人は固まって待機している。


 合図と共に、五十チームが競技場に飛び込んでいった。


 開始後、十分も経たない内に、二つのチームが宝箱を持って、確認ブースにやって来た。


「ねえ、これ運が全てじゃないの?」


 バーバラが、焦っている。拡大映像で見る限り、何の苦労もなく宝箱を手にしていた。これではあんまりだ。ところが二チームとも、提出した宝箱がニセ物で、盛大に悔しがりながらの退場となった。


「どうやって、見分けるのかしら」


 バーバラに聞かれたが、ミーアもわからない。


「わからないわ。どんな物が入っているのかしらね」


 一緒に観戦していたリンスが、サンプルを持ってくると言って出ていき、すぐに二つの宝箱を手に戻った。


 ミーアはじっと二つを眺めた。片方は少しにじんだようなオーラが見える。触ってみると、にじんで見える方からは、ジワッと力が放たれるのを感じた。


「こっちね」


「正解。出場者は先にこの二つを見ているの。だから正しく魔力を感じ取れるかが、一つのポイントよ」


「比べないと、ちょっと難しいかもしれないわね」


 ダン達は四人で捜索をしている。いつの間にか、ビリーが脇に一つ、宝箱を抱えていた。


「見て、ビリーが宝箱を持ってる。どっちなのかしら」


「2つ見て比べるつもりじゃない?頭を使ったわね」


 四人は気持ちがいいくらい息が合っていた。じゃれ合う姿や、連携して動く様が小気味よくて、なんだかすごく素敵だ。

 ビリーがのぞいた洞窟から、水が噴き出すと、ソロモンがビリーの腕を引っ張り後に飛ばした。水が出尽くすと、今度はハチの大群が飛び出してきた。


 すぐにパーシーが大きな袋を魔法で出し、ハチを全て吸い込んでいく。ハチが出尽くした途端に、洞窟が小さくしぼみ始めた。

 ダンがそこに飛び込んで行った。宝箱があるようだ。


 拡大映像で見守る人々の間に緊張が走った。

 

 入口で三人が魔法を飛ばしまくっている。洞窟が閉じるのを防いでいるようだ。疲れて魔法が途切れると、ビクンと入り口が震え、目に見えて縮んでいく。それの繰り返しだ。


 ミーアが手に汗握っていると、頭からダイブして、ダンが外に飛び出してきた。片腕に宝箱を抱えている。


「やったわ。2個見つけた」


 四人は箱を二つ置いてじっと見ている。そのうちに、片方は偽物だと判断したようだ。

 首を振りながら、偽物宝箱を洞窟に戻し、四人は歩き始めた。

 洞窟は初めの大きさに戻っていた。入り口に置かれた宝箱は、すうっと奥の方に移動していく。別のチームを罠に嵌める準備完了といったところだろうか。


1時間ほどで、二チームが課題をクリアして、予選通過していた。脱落したチームは三十一チーム。今残っている十七チームの内、二日目を勝ち抜けるのは、後3チームだけだ。


 各チームの拡大映像が空に散らばっている。走り回っているチームもあれば、今まさに宝箱を手に確認ブースに向かうチームもいる。


 ダン達は初日に評判を取ったのと、バレエで人気になったせいで、他より大きく表示されている。視聴数に応じて大きさが変わるので、それだけ見ている人数が多いということだ。


 ソロモンが何かに気付いたようだ。崖の途中の木に、宝箱が引っかかっている。簡単すぎて怪しいと言い合っているような雰囲気。一応取りに行くようだ。


 ソロモンが軽くジャンプして、木の枝に飛びついた。細身でしなやかな彼のジャンプは、踊りのように美しい。女性たちの感嘆の声が上がった。


 ソロモンが手を延ばすと、宝箱の蓋が薄く開き、中から包帯が出てきて、あっという間にソロモンをぐるぐる巻にした。手先だけは出ているので、落ちはしないが、崖の上にも下にも移動できなくなっている。猫に変身しても、抜け出るすき間もない。


 これもさっきと同様、厄介な宝箱のようだ。


 ダン達は相談している。そしてすぐにダンが降りて行った。ダンは宝箱の底に手を触れると、すぐ上に放り上げた。そしてソロモンを抱いて、崖上にジャンプした。


 宝箱はパーシーがジャンプして片手で掴み、そのままビリーに向かって投げた。ビリーは掴むやいなや、宝箱を地面に置き、足で踏んづけた。


 これで宝箱は抵抗出来なくなったようだ。


 包帯を解くため、くるくる回されているソロモンが、しばらくの間、映されていた。

 観衆の間から、かわいい〜と声が上がる。目の回ったソロモンが、ダンに支えられて宝箱の前にやってきた。ビリー以外の三人で、じっと見てから、手を打ち合わせ始めた。


 これは正解の宝箱のようだ。この暴れる宝箱は、ソロモンに巻き付いていた包帯でぐるぐる巻にされた。


 四人はこうして二日目の試合を通過した。


 ダン達が会場から引き上げ、戻って来ると、別のバトル観戦に興味が移って行った。

 この試合の間に、観覧席では各種の揉め事が起こっているようだ。私達は近くの通路で言い争う、二人の女性に興味を引かれた。

 どうも、二人の恋人が同じ男だったらしい。激しく言い合っていたが、とうとう掴み合いの喧嘩が始まってしまった。


 両者一歩も引かず、足を踏みしめて、頬を叩き合っていたと思ったら、猫に変身しての引っ掻き合いになった。

 その場に脱ぎ散らかされた服は、友人らしき女性達が、掻き集めている。


 野次馬が応援するので、どんどん騒ぎが大きくなっていく。

 そこへ、失格したらしい、当事者の男が行き合ってしまった。


 早速二人は人間に戻り、男に詰め寄っている。


「あ~あ。出場する前に、整理しなきゃいけないのに。馬鹿な奴だな」


 パーシーとビリーが、ビール片手にへらへらと言う。

 私達が睨むと、ダンとニコラとソロモンは、余裕の笑顔を返した。


「僕ら三人は、皆一途だからね。ダンは四年だろ。ニコラは2日……だけど、他に女性の影は無い。妹を守るのに忙しかったからね。そして僕なんか十五年だよ」


 ソロモンが可愛らしい事を言っている。彼らは大丈夫そうだけど、兄達の素行が不安になってしまった。


 見物している内に、二人の女性の親兄弟が加わり、二股男が取り囲まれた。2人の女性は、男に盛大なビンタをかまし、去っていった。


「派手ね。面白いわ」


 リンスが嬉しそうだ。こういうところ、女王と似ていると思う。ふと女王とリンスが、連続してビンタをかます様子を、想像してしまった。その場合、今頭を振っている男は、重度のむち打ちになるだろう。

もしダンが浮気したら、それにミーアのビンタも加わる。多分バーバラのも。それだと命が無いかもしれないな、と考えて、ちらっとダンを見た。

 何もわかっていないダンは、にっこりと微笑み返してくれた。


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>両者一歩も引かず、足を踏みしめて、頬を叩き合っていたと思ったら、猫に変身しての引っ掻き合いになった。 キャットファイト!
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