表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ猫姫の憂鬱  作者:
第二章 ミーアの困った姉妹たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/57

人形のお店

 私は今とても悩んでいる。ゴーチェのお店にやって来て、自分のお人形を選んでいるのだ。

 どの子も皆かわいいけど、よくよく見ると全部が違うお顔をしている。何回も何回も見直すうちに、候補が3つに絞られた。でも、そこからが進まないのだ

 お店の店員さんが、3体のどこが気に入ったのか聞いてきた。


「1つ目は、唇がプルンとしていて好き。2つ目は目元のきりっとしたのがいい。3つ目は目の色が好き」


 そう言ったら、目の色は変えられるから、1つ目と2つ目に3番と同じブルーグレイの目を入れましょうかと言われた。

 工房から職人さんが来て、二つに同じ色の目を入れると、すごく印象が変わる。

そして私のお人形が決まった。


 目の色に合わせて、ウイッグも取り替えてもらい、ブルーグレイの目にふわっとした淡い金色の髪になった。ドレスも、それに合わせて選び、教えてもらった通りに着替え用をもう一着選んだ。


 この日の午後は、レジーナ侯爵家がお店を貸し切りで予約したので、私とリンス以外にお客さんはいない。二人で好きなだけ時間をかけて、ゆっくりと選ぶことが出来た。今日はなぜかネイトも同行していた。


 ネイトは楽しそうに店内を見て回っている。私達は、初めのうちは彼を警戒していたが、すぐにお人形選びに夢中になって、気にならなくなった。

 侍女達も、この同行者に面食らっていた。公務以外で王女に父親が接近するのは、初めての事だ。だからか、少し緊張気味に店の隅に控えていて、人形選びに参加してこない。


「ミーア嬢、お人形は決まったのかい。どれにしたの」


 私がドレスまで全部着せ終わった人形を見せると、ネイトは手慣れた様子で人形の髪の毛をなでつけ、アクセサリーも必要だね、と言った。


「君、アクセサリーは?」


「こちらにございます」


 ネイトは人形に合うピアスとネックレスを選んで付けてくれた。

 驚いたことに、とても手慣れている。


「お人形に詳しいんですね」


「妻が持っているからね。今日は僕も人形のドレスと帽子とブーツを買ったよ」


 そう言って、きれいにラッピングされた包みを見せてくれた。どうやら、ミーア達が夢中になっている間に、お買い物を済ませていたようだ。


「レジーナ侯爵様もゴーチェを持っているのですか?」


「ゴーチェとジュモーを持っているよ」


 私は変な気分になった。女王も女の子なんだ。当たり前と言えば当たり前だけど、忘れていたような気がする。

 でも、女王と一緒にお人形遊びは、出来る気がしない。


 ミーアの人形は、きれいに整えてから、後で家まで届けてもら事になった。

 店を出ると、このまま少しお散歩しようとネイトが言い出した。


 ぶらぶらとゆっくり歩くネイトの横を、リンスが歩いている。リンスとネイトはよく似ているので、親子に見えるなあ、と思いながら、自分もそう言えば娘だなあ、とぼんやり考えていた。

 ネイトの茶色の柔らかそうな髪がさらさらと風に揺れている。見栄えの良い男性だと思う。

 やはり、以前宰相が言っていたように、トーナメントで勝ち抜ける男性は強いだけではなく、きれいで性格も良いのだろうか。だから、女王とも、あんなに仲がいいの?


 道を歩く猫も、日向ぼっこして眠っている猫も、こちらを見ると、瞬きの挨拶をする。

 やはり王族が揃っていると圧が強いのか、挨拶してから立ち去る猫が多かった。

 犬もだ。たまに鼻面をくいっと上げる挨拶をする。

 たまに貴族猫が歩いていて、そちらはお辞儀をして挨拶する。そしてその横を歩く少女達を見て不思議そうな顔をする。ネイトが子供と一緒にいる姿を、見たことがほとんどないせいだろう。というか、あの少女たちは誰だ? という感じだろうか。


 ネイトが私に、何か許可が必要な事があるかと聞いてきた。


「今はないです。新しいお出かけ先は今のところ考えていないから。リンスはどこか行きたいところがある?」


「私は、ミーアの家に行ってみたい、かな」


 ああ、家に来たいのか。それも楽しそうだけど、人間の家に遊びに来てもいいのかな?


「ネイト様。それは許可していただけますか?」


「いいよ。若い男性はいないのだったね。ノーザン伯爵は面識があるし、彼なら信頼できる。だけど、君の家にいる間は君が責任をもって王女を守ってくれよ」


 わかりました。と私が答えるのと、リンスがうれしいと言うのが同時だった。


「我が家は人間の家です。だから、完全に人間でいてくださいね。猫の姿になったら駄目。それと、妹のバーバラは私が貴族猫なのを知らないから、絶対に秘密ですよ」


「絶対に大丈夫。猫になることなんてめったに無いもの。人間の家に遊びに行く日が来るなんて、考えもしなかったわ。次の時に行ってもいい?」


 まずは、父に確認しないとね。ナタリー先生も呼ぼうかな。


「パーシーやビリーも呼びたいけど、若い男性は駄目なんですね?」


「うん。それは駄目なんだ。王女はね」


 言い方から、絶対に譲れないことなのだとわかった。ただの慣習程度のことではない気がしたので、素直に従うことにした。


 リンスは凄く喜んでいる。だからそれでいい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ