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第8話→俺はすでに、一般人じゃなかったのか・・・。

誤字脱字。感想なんかがあれば、気軽に書き込んでくれると嬉しいです〜。



「で、何でこんなとこに来てるんだ?」



俺の言葉に、純と旅人の二人が顔を見合わせてニヤリと笑う。



俺、旅人、純の3人は、学校が終わるとすぐに、ある場所へ向かった。



その場所には、妖しくも、ひっそりとあるものが立っている。



それは、携帯電話がかなりの需要をほこっている現代では、あまり使用されることのない、公衆電話ボックス。



子供の頃からそこにある、この町唯一の公衆電話。


実際、俺は使ったことないからよくわかんないけど、昔はかなりの需要があったらしい。



こんな場所にいるのには、海よりも深い理由がある、らしい。



らしいというのは、今だに純と旅人がその理由とやらを教えてくれないからだ。


話は少し前に戻る。






☆☆☆☆






学校が終わると、夏那華はクラスの女子から親睦会を開くとか言われて連行されていった。



女子のみなさん、いいのかい?その子、悪魔ですよ?


俺はそんな事を思いつつ、今日はゆっくりできるなぁと安堵のため息をつく。



と、それもつかの間。



どこからともなく現われた純と旅人に、何の説明もなくこの場所に連れてこられて、今現在に至る、と。



「実は俺の家にある依頼があったんだ」



唐突に、純が真剣な顔でそう呟いた。



「・・・・依頼って言うと、神社の?」



俺の言葉に、純が頷く。



「本当は昨日に予定してたんだけど、義秋が休んじまったからな」



旅人が、ヤレヤレと肩をすくめる。



まぁ、なんかムカつくけどその件は俺が悪いので文句も言えない。



「・・・・・・で、依頼の内容は?」



スルーしてやった。



う〜、と口を尖らせる旅人。



やめろ、気持ち悪いから。



「・・・依頼の内容は、メリーさん退治だ」



俺が、旅人のせいで嫌悪感に浸っていると、純がボソリと言葉を口にした。



(悪魔の次は、有名な都市伝説の幽霊か・・・・・・)



俺はそう思いながら息を飲む。



コイツの家の依頼に関わると、ろくなことがない。



過去の例をあげてみよう。


例えば、少し前、髪が伸びる人形のお祓いの依頼が入ったということで、俺と二人は、泊まりがけでその人形を見張ることになった。


髪が伸びる瞬間に、霊の魂が具現化するという話を純の親父さんに聞いたからだ。



その時、最初は不気味がっていた俺たちだが、次第に見張るのにも飽きてきて、旅人がどっかから持ってきた人形着せ替えセットで、髪が伸びる人形を可愛くしてやろうということになった。



髪が伸びる人形で着せ替えをするうちに、スク水、メイド服、巫女服、と、どんどん趣味に走ってしまった。



深夜の2時を過ぎた頃、裸に靴下だけのファッションの人形が、突然動き始めたのだ。



常人ならビビってしまうところだが、いかんせん、その時の俺達のテンションはかなり高く、人形が歩いたことに、素直に感動していた。



すると、人形から「キェェェェェエ」と奇妙な声が発せられて、髪の毛が凄い勢いで伸び始めたのだ。



まぁ、その後は、純の親父さん特製の護符で鎮めて、除霊完了となったんだが。


今思えば、あの人形には可哀想なことをしたと反省している。



と、まぁ、他にも色んな依頼があって、中には死ぬほど怖い思いをした依頼もある。



どっちにしても、ろくなことがないのは確かだ。



純の真剣な顔つきからして、今回のは怖い部類なのだろうか?



「メリーさんって、あのメリーさんだよな?電話に出るごとに近づいてくるやつ」



俺の言葉に、純は頷く。



「あぁ。今回この場所を選んだのには理由がある。俺の父曰く、この電話ボックスは異形の者と繋がりやすいとか」



純の親父さんの言うことなら間違いはないだろうな。


「でもよ、そんな危なそうな電話ボックスを放置しといていいのか?」



旅人が純に質問する。



俺も、同意と頷いた。



「いや・・・これは特別なんだそうだ」



純が眼鏡をあげながら苦笑する。



まぁ、あの人が放置してるってことは大丈夫なんだろうな。



きっと。



俺たちの、純の親父さんに対する信頼は厚い。



なんたって、何度も助けられたからな。色々と。



「ま、とりあえずさっさと電話しちまおうぜ。そのメリーさんとやらに」



「そうだな・・・では、義秋、頼んだぞ」



「・・・・・・やっぱりそうくると思った」



俺は、純と旅人から背中を押されながら電話ボックスに入る。



いつも面倒な役回りは俺の担当だ。



そういえば、夏那華に会わなくても、俺の日常は既に非日常の領域に入ってたんだなぁ、と、今、改めて実感した。



俺的には、日常を望んでるんだけどね。



とか思いつつ、苦笑しながら、公衆電話の受話器を手にとった。



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