表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/70

第61話→始業式。



「・・・・かったりぃ」



どこぞの手からお菓子を出せる魔法使いばりに唸る。


夏休み明けの学校というのはなんてかったるいんだろうか。



現在、学校の体育館にて絶賛校長のお話タイム。



じじいの話なんざ長々と聞きたくないんだよ。



ほとんどの人がそう思っているだろう。



しかしまぁ、今はそんなことより気になることがある。



こっくりこっくりと夢の世界へ船を漕いでいる蒼樹。


俺にベタベタとくっついてきているルシフ。



なぜ学校の始業式にこいつらが居るんだ?それもなぜかしっかりとこの学校の制服を着てるし。なんなんだろうなこの二人は。



つか、回りの視線が痛いんだよ。



『てめぇ、少し前まではリア充なんかに程遠い存在だったのに・・・・殺す』



そんなことを目で語っているやつが一体何人いるだろうか。



少なくとも、純と旅人以外のクラスのやつ全員ということはわかるんだが。



「・・・・おい、義秋。気をつけろよ」



「・・・ん?」



俺の後ろに居る旅人がボソッと声をあげる。



「・・・・・そうだな。俺たちは悪い意味で入学式に目をつけられた。見てみろ、ほら」



旅人の横に座っている純が、クイッと顔を横に向ける。



「・・・・・うわぁ・・・・」



2、3年生のヤンキーさんたちがこちらをすごい形相で睨んでるなぁ。



んと・・・・少なくとも20人くらいはいる。



あいつら、絶対喧嘩ふっかけてくるよな。



「・・・・・・どうする?」



ニヤッと笑う旅人が言いたいことは大体予想が付く。


まぁ、今日は始業式のうえに授業もあるからな。



教室にゾロゾロと来られた日にはたまったもんじゃない。



「・・・・・先手必勝」



まだ終わりそうにない校長の話はいい加減飽きていたんだ。いい暇潰しになる。


俺は横で無駄にひっついているルシフの耳元でボソッと呟く。



「こっち睨んでるやつらを一掃してくるから、魔力を分けてくれないか?」



まぁ、俺の力はご存知の通り。



魔力をもらえればその分チカラが増す。



フフフ・・・・人外の恐ろしさを思い知らせてくれるわ!



・・・・・・なんか自分で言ってて虚しいな。



「・・・・・ぼくが行ってきましょうか?」



「いや、いいよ。これは暇潰しみたいなもんだから」


そう。これはただの暇潰し。



俺と純と旅人、3人がいて勝てなかった相手はあまりいない。



小さな暴走族くらいなら潰したことあるしな。



っと・・・・昔の自慢話は置いといて。



「・・・・・わかりました。では」



ルシフが俺の手をギュッと握って魔力を送り込んできた。



そういえば、と、あることを思い出した。



ルシフのキスで気絶した俺は、それこそルシフを無視でもして鬱憤を晴らそうとしたわけだが、「ごめんなさい。・・・・・ずっとご主人様と絡んでなかったから我慢できなくて・・・」と、さすがにやり過ぎだと思ってくれたのか、必死に謝ってくるルシフを見てたら、そんな気は失せた。



それからは、ベタベタはしてくるものの、貞操の危機に陥ることがなくなった。


まぁ、それが良かったのか悪かったのか・・・・よくわからなくないけどな。



「うし、そんなもんでいいぞ」



ルシフにストップをかけ、手をグーパーする。



うんうん。いい感じだ。



「じゃあ、俺特攻してくるわ」



「・・・・旅人」



「あぁ。わかってる」



俺が動きだすより早く、二人が動きだした。



回りの生徒や、先生方は何事かと騒ついているが、二人は素知らぬ顔で歩いている。



一人の先生が二人に近寄り事情を聞いている。



まぁ、たぶんトイレだ、とか言ってるんじゃないだろうか。



二人が外に出ていくのを見送ると、俺は息を大きく吸い込み、全力で体を動かした。



まぁ、今の俺の動きを見切れるのはほんの一部の人だけだろうが。



「こんにちはー」



まず二年生のヤンキーさんたちのグループに行った俺は、軽く挨拶を済ませて、適当に2人の襟を掴み、その場を離脱。



外で待っているはずの純と旅人の前に、そいつらを連れていく。



んで、また体育館の中に戻る。



それを何度か繰り返しているうちに、二年生のヤンキーたちは全滅。



まるで神隠しにあったといわんばかりに人が消えていくさまは、きっと誰もが恐怖したに違いない。



校長の話の途中で、二年生たちからの悲鳴などがあがる。



さてさて、いい具合に乱れてきたな。



俺は純と旅人に頷きかけ、二人がそれに応えるのを見届け、次は三年生の元へ向かう。



今度は堂々とやってやろうじゃないか。



「やっほー」



そんなふざけた挨拶をしながら、三年生のヤンキーたちに手を振る。



俺はあくどい笑みを浮かべながら、ただ一言。



「これに懲りたら、二度とやっかいな考えなんてしないことだな」



先生方の制止の声を軽く聞き流し、俺は体育館の床を蹴った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ