第53話→先祖が残したもの。
なんというグダグダw高校卒業前ということもあり、なかなか忙しいですw 2日に一回の更新になっちゃうかもですけど、卒業まで見守ってやってくださいw
「・・・・ってか、なんでこんな場所が押し入れの中に?」
すこし冷静になってきた俺は、数歩先を歩く純に尋ねてみる。
「いや・・・・某サーカス作品のさくらさんの仕事場。つまり学園長室に似たようなのがあっただろ?・・・あれに憧れてな」
あれに憧れる要素なんてあっただろうか?という疑問もあるが、憧れだけでこんな大掛かりなものを作るなんて何者なんだよ、と突っ込みたくなる。
「・・・・・まさか、眠ってるロボットとかはいない・・・よな?」
「・・・・・・・・」
「い、いいいいないよねぇ!?あのバナナ大好きな俺のよm「うるさい」・・・・ごめんなさい」
まぁ、確かに音が反響しててうるさかったことは認めるけどさ・・・・・気になってしまうじゃないか、オタクとして。
「よく、わからないんだ」
「・・・わからない?」
純はそっとため息をつきながら、手に持った懐中電灯で天井を照らす。
天井まではかなりの距離があり、まるで天然の洞窟だ。
今、この場所にある光源は純が手に持っている懐中電灯と俺が持っている懐中電灯の2つだけ。
「あぁ。押し入れから少し掘り進んだら、たまたまこの場所に出たんだ。・・・・たぶん、先祖の誰かが何かの目的の為にこんな場所を造ったんだろうが・・・・・・」
「・・・・・つまり、この先には何があるかわからないと?」
「まぁ、そういうことだな。探険するなら義秋と旅人を誘ってと考えていたんだが・・・・なかなか言いだす機会がなくてな」
「・・・・・・・んじゃあ、逃げるついでに探険しようぜ!」
俺がそう言うと、純はクスクスと苦笑した。
「ダメだと言ってもするんだろ?・・・・・まったく、ガキだなぁ」
「なぁに言ってんだ。お前の顔にも探険したいって書いてあるぜ」
「さて、行くか」
純は俺の言葉をスルーしてステステと歩きだした。
「バカ野郎っ!美夏は俺のだ!!」
俺はそんな純の背中を追い掛けながら、久しぶりに楽しいという気持ちを実感していた。
☆☆☆☆
「・・・・何なんだよ、ここは・・・」
俺が愚痴りたくなる気持ちを察してくれるとありがたい。
先ほどから、歩いても歩いてもずっと同じ光景しか見えないのだ。
「・・・・さすがに、疲れてきた・・・な」
純はふぅと息を吐きながら立ち止まる。
たぶん30分くらいは歩き続けているだろう。
さすがに、そろそろ休憩しないと色々ときつい。
「ここさぁ、なんか奥に進めないような魔法でもかかってるんじゃないのか?」
「・・・・・・・・・おぉ」
純は、今気づきましたと言わんばかりに声をあげた。
「・・・そんな天然いらねぇんだよ!!」
「まぁ、いいじゃないか。天然も立派な萌え要素なんだし」
「男の天然はキモいだけって言葉をよく覚えときなさい」
俺が呆れたため息をつくと、純はやれやれと肩をすくめて右手を前に突き出した。
「たぶん、コレでうまくいくはず・・・・・・・・・『開けゴマ』・・・・っと」
ガコンッ!
大きな音とともに、先の方に光が見えてきた。
どうやら、あの光が出口らしいな。
「つか、どんだけ単純な仕掛けなんだよ」
俺はそんなことを呟きながら、ゆっくりと歩きだす。
・・・・・・・・待てよ?今って夜だよな?
ふと疑問が浮かび上がった。
「なぁ・・・あの光って、どっから漏れてんだろうな・・・・」
「そう言われてみれば・・・・・」
純は足を止めて、眼鏡の真ん中を押し上げながらそんなことを言った。
こいつ・・・リアルに天然なのか?・・・・まぁ、俺もさっき気づいたんだが。
やっと出れるという気持ちが先行して、重要なことをスルーしてしまうところだった・・・・。
「とりあえず、中の様子を見てくる。狙われているのはたぶん義秋だけだからな・・・・・・大丈夫、俺に任せておけ」
そう言い残すと、純は走って光の中へむかって行った。
な・・・なんという死亡フラグ・・・・。
俺は半ば諦めつつも、純の帰りを大人しく待つことにした。