第43話→フラグ男、天誅ざまぁw
いいサブタイトル思いつかないorz
暑い・・・・。
そう思いながら、枕元に置いてあったはずの携帯電話を手探りで探し、それを手にとり、現在の時刻を確かめる。
11時36分。
少々遅い起床になってしまったようである。
現在は夏真っ盛りなので、この暑さも頷けるだろう。
俺は欠伸をしながら、上半身を起こそうと・・・・・して、妥協する。
(そういえば、昨日は話の途中で寝てしまったんだっけ)
俺の体に、寄り添うようにして寝ているルシフ。
途中で寝てしまった罪悪感からか、起こそうという気はおきなかった。
俺はそっとため息を吐き、ルシフの髪をそっと撫でる。
・・・・・・。
そんなことをしていると、ふと気配を感じた。
俺はキョロキョロと辺りを見回す。
「・・・・・・気のせいだ、気のせい。立夏じゃあるまいし」
見てはいけないものを見てしまった。
しかし、いつまでも現実逃避するわけにはいかない。
俺はゆっくりと視線を移動させ、現実を直視する。
窓に写る5つの影は、たぶんあいつらだろう。
・・・っていうか、窓の外にある木ってそんなに太かったか?
一人がやっと乗れるくらいだったような気はするが・・・・。
「まぁ・・・・いいか」
俺はボソリと呟くと、気持ちよさそうに寝ているルシフを、心の中で謝りながら、ゆっくりとベッドに倒す。
ベッドから降りた俺は、わざと足音をたてるようにして歩き窓に近づく。
ガラガラッと窓を開けると、夏那華、迷梨、立夏、結花、和月先輩が、一本の木の枝の上に、バランスよく座っていた。
「・・・・・・・木を蔦って部屋に入ってくるのは、金髪ツインの田村ボイスキャラだけでいいんだがな」
そんな俺の声を無視して、5人はズカズカと人の部屋に侵入してきた。
「ん〜〜。やっぱ落ち着く」
「うん。少しの間しか離れていないのに、こんな気持ちになるとは思ってなかったの」
そう言って、勝手に寛ぎだす夏那華と迷梨。
「はーくん。いい趣味してるねぇ〜」
俺自慢の、某ボーカロイドキーホルダーを見ながら、和月先輩が頷く。
もしかして、ネタわかる人なのか?
「前来たときより、増えてないか?」
「よ、義秋お兄ちゃん・・・・・・この本は・・・・・・・・はぅ!?」
立夏、よく覚えてたな・・・・・つか結花ちゃん・・・・俺の秘蔵の18禁同人誌を勝手に見ないで!なんか恥ずかしいじゃないか!
部屋の中でフリーダムに動き回る小悪魔達(リアルな意味で)に、俺のプライベートが晒されていく。
俺は、その様子を涙目になりながら見守ることしかできなかった。
☆☆☆☆
「とりあえず、落ち着こう。・・・・・・な?」
そんな俺の言葉は、見事にスルー。
妹たちVS俺を除く他の人の口喧嘩は、どうやら鎮火する気配がない。
とりあえず、夏那華たちがなぜあんな場所にいたのかを聞いてみた。
すると、ルシフが突然いなくなったから、まさかと思って来てみた。家に入れる場所の鍵は全部閉まってたので、とりあえず俺の部屋の窓から侵入しようとした・・・・・・らしい。
ちなみに、木の枝には魔法をかけていて、細枝一本でも、人間の一人や二人が乗って軽く耐えれるとか。
魔法って、どこか反則じみている。
そんなこんなで賑やかに喋っていると、苺と蜜柑が部屋のドアを勢いよく開いて俺の部屋に侵入。
そこから、妹たちと夏那華、迷梨のコンビが口喧嘩を始めた。
それがどんどん飛び火していって、現在に至る。
「はぁ・・・・もうどうでもいいや」
俺はそう呟くと、自分の布団に潜り込んだ。
五月蝿いんだよアホ。
・・・・・文句を直接言えないのは、後々の仕打ちが恐いからである。仕方ないね。
と、急に部屋がシーンとなった。
あれ?急にどうしたんだろうか。
そんなことを思いながらみんなの顔を見回していると、みんなの視線が俺に集まる。
小さい子なら、思わず泣きだしてしまいそうなとても鋭い視線が。
「な・・・・・・なに?」
・・・・ふと、みんながこっちを見ている原因がわかった。
そういえば、気付いたことがある。
ルシフは今だに熟睡中だった。
俺のベッドの上で。俺のベッドの上で。
とても重要なことなので二回言ってみた。
「・・・・元凶は、義秋なの」
一歩。
俺にみんなが近づいてくる。
「義秋・・・・ルシフとそんなことしてたんだ」
一歩。
「よしにぃ?昨日といい、今日といい・・・・・説明してくれるよね?」
「お兄ちゃんってば、冗談が好きなんだね」
あれ?苺、目が病んでるぞ?
つか、みんな平均的に目が病んでるような・・・。
一歩。・・・・すでに、俺を取り囲むように立っている皆さんの顔から視線を外し、俺は冷や汗をかきまくる。
「あっきー?いっぺん、死んでみる?」
「橘式、其の六。焔火〈ほむらび〉」
「・・・・・・お兄ちゃん・・・」
うぇぇぇ!?なんで立夏は魔法じみた業使えるんだよ!!
っていうか、コレ、なんて死亡フラグ?
「す、ストォォォォォォップ!!」
そんな俺の制止の声も虚しく、全員の攻撃が俺に降り注ぐ。
なんでこんなことに・・・・なんて考えている暇もなく、俺は意識を失った。