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第40話→羨ましいとは思うが、関わりたいとは思わない、矛盾。



「それで?・・・・・・その後どうなったんだよ」



「いや、妹たちのお陰で貞操は守り切った」



「・・・・・ふむ。ヘタレ義秋だな」



純はそう言いながら、何かを納得したように頷く。



「確かにヘタレだな。お前がはっきりしないせいで、お前に誑かされる『ラブルジョア』被害者が続出してるじゃねぇか」



「そうだな。義秋は、似た名前の義之〈よしゆき〉を見習うべきだ。彼、最後は誰か一人のルートに絞るだろ?」



「いや、純。あれはゲームの中の主人公だから仕方ないんじゃないか?実際は、誰か一人を選ぶなんて無理」



「「・・・たらし」」



俺と旅人、それに純。



夏休みに入って会うのが久しぶりだからか、無駄に会話が弾む。



俺は昨日の出来事を、二人に話してみたのだ。



なんか色々と貯まっていて、少しはスッキリするかなぁと思っていたが、逆効果だった。



話す相手を間違えたことに今更気付く。



純と旅人の意見を、頭の中のごみ箱に押し込む。と、同時に、昨日の出来事がゆっくりと蘇ってきた。



今日の朝も色々あったし・・・・・最近、不幸続きだなぁ。



そんなことを考えつつ、大きくため息を吐いた。






☆☆☆☆






そう。昨日の風呂場は、まさに戦場のようだった。



苺と蜜柑が、俺とルシフを見るなり修羅の如き形相で暴れだしたからだ。



俺の息子の少し先の部分がホールインワンしていた件については、二人には絶対内緒にしておかなければならない。



まぁ、先の方だけだしノーカウントだ。ノーカウント。



二人が暴れだして、ルシフが、売られた喧嘩は買いますよ?的なノリで蜜柑、苺相手に奮闘する。



その隙を見て、俺は逃げるように自室へ戻った。



男としてそういうことができなかったのは残念だが、下手なことをして、『16歳の父』なんかになってしまったら洒落にならない。



・・・・・・まぁ、悪魔や天使と、元ではあるが、普通の人間な俺とが子作りを出来るかはわかんないけど。



とりあえず、そういう事があった次の日。



家の中は、なんか気まずい雰囲気が漂ってた。



風呂場で何があったかは知らないが、両者の顔に貼られた絆創膏の数から察するに相当のことがあったのだろう。



もちろん、ルシフに絆創膏を貼ったのは俺である。



ルシフの部屋なんかないし、一緒に寝るしかないだろ?



まぁ、下心がなかったといえば嘘になるが。



「一緒に、寝てくれませんか?」



なんて上目遣いで言われたら、拒否なんて出来ないしな。



その事も含め、苺と蜜柑はかなりご立腹のようだ。



俺が話しかけても無視してくるし。



朝ご飯なんて、俺だけ白飯のみだったりする。



まぁ、この機会に兄離れしてくれればいいんだがな。


「あ、ご主人様。ご飯粒付いてますよ?」



ルシフに指摘されて、その場所に手をやる、が、時既に遅し。



ルシフの舌が俺の頬を舐め、それがご飯粒を攫っていく。



「ぁ・・・・ありがと」



少し恥ずかしいが、なんか慣れてしまった。



いやぁ、慣れって恐いよね。



「いえ・・・・気にしないでください」



ルシフは少し頬を紅潮させながらニコッと微笑む。



ダンッ!!ダンッ!!



その瞬間、机を叩く音が二つ。



「お兄ちゃんっ!見せつけるようにイチャイチャしないで!」



「よしにぃ・・・・・私たちへの、当て付け?」



二人が何をそんなに怒ってるのかよくわからないまま、とりあえず謝っておく。


「・・・・ごめん」



触らぬ神に祟りなし。



とりあえず謝るのが、長生きのコツである。



「ご主人様?・・・・はい、あ〜ん」



「あの・・・ルシフさん?少しは空気読もうね」



そんな俺の言葉を知ってか知らずか、ルシフの箸は俺の口の前で停止している。


可愛い美少女からアーン。


健全な男子の8割りくらいは、そんな理想を持っていると思う。



その理想が叶いそうになっているのだ。



こんなチャンスを逃す手はないだろ?



「し、しょうがないな・・・・・・あ〜んぐぅ!?」


口を開けた途端、ルシフだけでなく苺と蜜柑まで俺の口の中に食べ物をつっこんできた。



他人から見たら羨ましい光景なのだろうが、やられている本人はそうは思わない。



ぶっちゃけ死ねる。



リアルに窒息死するよ、コレ。



と、そういえばそんなこともあったということを旅人と純に話したら、死ねと言われてしまった。



まぁ、俺の妹たちが大好きな二人だからこその台詞だろう。



いい加減、肉体的にも精神的にも辛い。



「誰か変わってくれ」



そう言ってみるも、二人の返事が返ってくれることはなかった。

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