第4話→電気とか、鬼畜すぎて死ねる。
「・・・おい、夏那華。お前は使えないのか?ああいうの」
俺は余裕の笑みでニヤニヤしている糞イケメンを見据えながら、夏那華に質問してみた。
「・・・・・・ごめん」
夏那華は申し訳なさそうにそう呟くと、俺の前に立ちふさがった。
どうやら、あいつの攻撃から俺を護りたいらしい。
「ハッ、そんな魔力が低い奴に俺と同じ魔法が使えると思ってんのか?笑えない冗談だ」
男は、形が整った雷球をこちらに向けながら鼻で笑う。
「残念だったなぁ、契約者。その女はな、歴代ベスト4に入るくらいのダメ悪魔。落ちこぼれなんだよ。しかも名家の出だ。尚更痛々しいだろ?クハハハハハ!」
男が大声で笑いだすと、夏那華が目に涙をためながら俺の顔をじっと見た。
「本当に、ごめん。私なんかの、契約者にしてしまって・・・・・」
「ハッハ、お前なんかで俺の攻撃止められんのかぁ?」
男は、さらに電気を放出して雷球を大きくする。
ダメだなぁ、俺。
何で女の子に護ってもらってんだよ。
何であんなに泣いてるのに何もしてやれないんだよ。
俺は、ギリッと人差し指を噛んだ。
男の雷球にびびりまくって、震える足で無理矢理立つ。
俺は、ポロポロと涙を零している夏那華の頭に手をポンッと置くと、出来るだけ優しく撫でた。
「大丈夫、だから」
俺はそう言い残すと、男に向かって走りだした。
「とりあえず、一発だけでも殴らせろや!」
「ハハッ、触らせねぇよ。ゴミ」
男はそう言ってニヤリと笑うと、俺めがけて雷球を放ってきた。
ドォン!
雷球が何かにぶつかるような音とともに、砂煙がたつ。
「よ・・・義秋!!」
夏那華は、砂煙の中にいるであろう義秋に声をかける。
・・・・・。
その声に答える者はなく、夏那華は地面に膝をついた。
「わ、私が・・・私のせいで・・・・・・・」
夏那華の目から、地面に涙がポタポタと落ちる。
「あぁ〜あ。やっぱ人間は脆いなぁ・・・・・・さて、次はデビ子か。少しは楽しませてくれるよなぁ?」
男はそう言いながら、夏那華へと足を進める。
「な・・・・・なんでぇーーーー!?」
突然、砂煙の中から人の声が。
男は、まさか、と思い砂煙の中を注意深く見る。
そこには、傷一つ負っていない義秋の姿があった。
☆☆☆☆
「義秋ぃ!無事なら、ちゃんと返事しろぉー!!」
夏那華がそう言ってこちらに駆けてきた。
「す、すまん。自分でも何が何やら・・・・」
そう。俺自身も今何が起きたのか理解できていない。
雷球を放った男の方に視線を向けると、物凄い勢いでこっちを睨んでいた。
「今のは、かなり魔力を込めたはずだ・・・・なぜ人間なんかが・・・」
男は大きく舌打ちすると、再び雷球を形成し始めた。
しかも、今度は両手に。
「ちょ!?いい加減自重しろよ!」
男は俺めがけてそれを放った。
先程よりも、かなり大きくなった雷球はすごいスピードでこちらに飛んでくる。
俺と夏那華は、思わず目を瞑る。
ぱすんっ。
雷球は、俺にぶつかる寸前に、空気が抜けるような音を残して、消え去った。
「なんなんだよお前は!!」
男は、恐怖をあらわにしながら後退りし始めた。
どうやら、俺は本当に人外になってしまったらしい。
それを改めて実感してしまった。
「義秋・・・・凄い」
夏那華の尊敬の眼差しを一身に浴びつつ、俺はニヤリと笑う。
さて・・・・そろそろ反撃でもしますかね。