第39話→日本の心、それは風呂にあり。
風呂。それは、日本に昔から伝わるある種のリラクゼーションシステム。
そう、リラクゼーションなのだ。
癒されなくて何が風呂か。
俺は湯船に浸かりながら、今、体を洗っている人物を見ながらそんなことを思った。
「ふんふふ〜ん、ふふふんふ〜ん♪」
呑気に鼻歌を唄っているのは、金髪碧眼の女の子、ルシフである。
見た目はただの外国人美少女なのだが、実際は人間ですらない。
しかし、人間ですらないといっても、その体は人間のそれとほぼ同じである。
そんなのと一緒に風呂なんかに入っていたら、癒されるどころか色々と疲れてしまう。
理性を抑えるのは、相当気疲れするのだ。
「・・・・・・・はぁ」
俺は大きくため息を吐きながら、暖かいお湯に身を任せる。
「・・・?ご主人様、どうかしたんですか?」
頭に沢山泡を付けたまま、ルシフが首を傾げる。
「・・・・いや、なんでルシフがいるのかなぁって。・・・俺、最初一人で入ってたよな?」
「・・・・・また、その話ですか。何度も言ってるじゃないですか・・・・・・ご主人様が、ぼくの契約者だからです」
・・・・・・・その理由がよくわからんから、何度も質問してるんだがなぁ。
ザバァッと、ルシフが頭の泡をお湯で流している間に、俺はもう1つため息を吐く。
「ふぃ〜・・・・・・・・・・ご主人様、ちょっと詰めてもらえます?」
「・・・・ま、さ、か、とは思うが、こんな狭い湯槽の中に二人で入ろうなんて考えてないよな?」
そんな俺の言葉は、見事にスルーされた。
足の先から、ゆっくりと湯槽に体を浸からせていくルシフ。
このままじゃダメだ。
そう思った俺は、湯槽から上がろうと腰を浮かしかける、が、ふと視線を向けた先にあったルシフの太ももに釘づけになり、動きを止めてしまった。
一応、健全な男子なんだし仕方ないよね?
「・・・・やっぱり、少し狭いですね」
湯槽に完全に浸かりきったルシフの言葉に、今更かよ、と心の中で突っ込む。
俺は、完全に湯槽から出るタイミングを失った。
もし今立ち上がれば、ちょっと元気になっている俺の息子がルシフに晒されてしまう。
「ひゃっ!?・・・・・・・ご主人様、くすぐったいです」
ルシフは、身悶えしながらそう呟いた。
ふと動かした足が、ルシフの体に当たったみたいだ。
「うぅ・・・すまん・・・・」
なんで俺が謝らなきゃならないんだよ・・・・・。
「・・・なんか、変な気分になってきました・・・・」
おいおいおい。
なんかルシフの息が荒くなってきたんだが。
「ご主人様の、足が・・・んっ・・・・気持ちいとこに、当たって・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
ルシフはそう言いながら、俺の首に手を回してきた。
「ちょっ!?ストーップ!!いきなり、なんなんだ!?」
俺はルシフを手で押し退けようとするが、ルシフは俺の首の後ろで手を組んでいて、押し退けられない。
「・・・・ご主人様、えっちです」
押し退けようとした手が、たまたまルシフの胸に重なっていた。
・・・・本当に、たまたまだよ?
「いや、これはだな・・・・」
「ご主人様、契約の続きを・・・・・・します?」
「何を言ってんぐぅ!?」
ルシフが押しつけるように、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
太もも辺りにあるルシフの感触が、俺の心を揺さ振る。
少しだけなら・・・・・・そんな気持ちに負けそうになってしまう。
無意識のうちに体が動き、俺はルシフの背中をそっと指でなぞっていた。
すると、ルシフは悶えるような声を出し背中を仰け反らせた。
「・・・ぷはっ・・・・・・ご主人様ぁ・・・・」
俺の唇から離れたルシフは、モゾモゾと体を動かし、俺の息子を優しく触る。
「待て、そこはまだ早いんじゃないか?」
「大丈夫です。なんとかなります」
いやいやいや・・・・なんともならないだろ。
あなたと合体したい的なイベントは、俺にはまだ早いんだよ!
エロはゲームの中だけで足りてます。
ガヤガヤ。
風呂の外から賑やかな声が。
どうやら、苺と蜜柑も入浴タイムらしい。
「ちょっ!!二人とも、俺まだ入ってるから!」
「「知ってるよ〜」」
・・・なんなんだあの二人は。
「ご主人様・・・・・・入れます、よ?」
・・・・・・・あぁ、今日は人生最大の厄日なのかもしれない。
夏那華と出会った日が、まともに思えてきた。
俺を放置して身勝手に進む周りの環境って、いったい何なんだろうな。