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第38話→鈍感は、旗男のステータスだ。



「・・・・ルシフ・・・何でここに?」



俺の記憶が正しければ、ルシフは夏那華たちの質問攻めにあっていたはずだが。


「・・・ご主人様がいきなりいなくなるから、ぼく、寂しくなって・・・・・」


ウルウルと、目に涙をためながら俺の顔に頬擦りしてくるルシフ。



「い、いやぁ・・・・そっか。寂しかったのか」



俺はルシフの行動に抵抗もせず、苦笑する。



いや、むしろ抵抗できないんだけどな。



両腕は未だに妹たちから解放されてないし、ルシフはなんかいい匂いがするし。


まぁ、二つ目は理由になっていない気もするが。



年頃の男子ならわかってくれるはずだ。



「・・・?ご主人様、この二人は誰ですか?」



俺の頬から顔を離して、ルシフは苺と蜜柑の顔をジーッと見る。



「あ、あぁ・・・・俺のい「「恋人です!」」」



アホ妹め・・・・・なんという冗談を。



「・・・・ご主人様、本当ですか?」



ルシフは不機嫌そうに口を尖らせ、俺をジト目で見る。



「違う!違う!ただの妹だ」



ただの、とはいっても、血は繋がってないし、普通の妹じゃないんだけどね。



「・・・妹、さんですか・・・・・そうですか。安心しました」



そう言ったルシフは、とても嬉しそうに笑った。



何がそんなに嬉しいのか分からないけど。



「・・・違うもん。普通のなんて・・・・お兄ちゃんの馬鹿」



「・・・・・・よしにぃは、本当に・・・・・」



二人は俺の腕から手を離すと、震える声でそう呟いた。



俺が恐る恐る二人の方を振り向くと、二人とも、今度はマジ泣きしていた。



(俺が、悪いのか?・・・・・いや、実際妹なのは本当のことだし。・・・・・・わかんねぇ)



俺はルシフを抱きつかせたまま、二人の頭をゆっくりと撫でる。



「泣くなって・・・俺が悪いんなら謝るからさ」



妹のマジ泣きなんて見たの、いつぶりだろうか。



「・・・ご主人様が困ってるから、泣き止んでください」



ルシフは二人から顔を背けながら、そう呟いた。



「・・・うるさい!!あんたなんかに・・・・・・お兄ちゃんは渡さないから!」



「よしにぃは・・・・私のだから」



二人はルシフを睨みながらそう宣言する。



俺は誰のものでもないんだが・・・・。



「・・・ご主人様は、やっぱり危険です」



「・・・・・・何が?」



「・・・・女の子にモテモテで、早くなんとかしないと取り返しのつかないことになりそうな気がします」


・・・・・俺がモテモテ?・・・何を言ってるんだ?


「もしかして、夏那華とか迷梨とか・・・・和月先輩のことか?・・・・・・あの人たちは、ただ契約者の力が欲しいだけなんじゃ・・・・・」



俺がそう言うと、ルシフはクスクスと笑いだした。



「ご主人様は、本当に鈍感です・・・・・・・・・でもそれって、彼女たちをまだそういう対象に見てないってことですよね?ぼくにも、まだチャンスがあるってことですよね?」



「・・・・・・・・・なんのことか、よくわからないんだが」



俺とルシフがそんなやりとりをしていると、苺と蜜柑が何かひそひそ話を始めた。



「・・・・お兄ちゃん・・・・・・・既成事実・・・・・」



「・・・・・・そうだね。なら・・・・・・・・夜這い?」



えっと・・・今、なんか聞き捨てならないような単語が聞こえたような。



二人は話が終わったらしく、涙を拭き取りながら俺の正面に立った。



「・・・・・お兄ちゃん、ごめんなさい。・・・お兄ちゃんのオモチャ、返すから嫌いにならないで?」



「私も、よしにぃに嫌われたくないから。・・・・・・はい、コレ」



蜜柑は、どこからともなく俺の宝物を取り出した。



そこには、今まで捨てられていたと思っていたものまで混じっていた。



ゲームやラノベ、漫画などが返ってきたのは嬉しいが、これ全部、部屋に入りきれるのか?



「・・・捨てたわけじゃなかったんだよ?・・・・ただ、よしにぃに私を見ててほしくて」



「「ごめんなさい」」



二人がペコリと頭を下げる。



俺はそんな二人を見て、開いた口が塞がらない状態になっていた。



・・・・・・なんなんだ?


明日は世界の終わりか?

それとも俺の人生が終わるのか?



いや、考えすぎだと思っている人、それは否だ。



例えばだ。



今までケチだった親が、突然毎月1万円を小遣いとしてくれると言い出した。



そんな時、どう思うだろうか。



近々、何か起きるんじゃないかと心配になると思う。


つまり、今回の苺と蜜柑の行動はそれと同じようなものだ。



出会った頃からずっとツン状態だった二人が、こんな急にデレるとは・・・・。


「お兄ちゃん、どうしたの?・・・・・まさか・・・これくらいじゃ許してくれない?」



「・・・・・・・よしにぃ?」



二人の心配そうな顔に、ハッと我を取り戻す。



「い、いや・・・・・・わかった。許すから」



俺がそう言うと、二人は抱きついてきた。



先に抱きついていたルシフを退けて。



「ありがとっ!さすが、私のお兄ちゃんだね!」



「・・・よしにぃ、大好き」



そんな大喜びの二人に対して、一人テンションが下がりまくっている人物が。



「ぼ・・・ぼくのご主人様に・・・・・・触らないでください!」



フンガーッ!と鼻息を荒げて怒りだすルシフ。



ドラキュラなのに・・・・可愛い奴だな。



俺は、口喧嘩を始めた3人を見ながらそんなことを考えていた。




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