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第37話→ヤンデレに覚醒。



「・・・・・・はぁ」



俺は、一人バスで揺られながら帰路についていた。



あの後、肉体的にも精神的にも半殺しにされた。



特に、「俺が誰と何しようと、勝手だろ?」と言ったときはヤバかった。



あれは本気で死ぬかと思ったよ。



予定ではあと2日くらいは泊まる予定だったが、これ以上俺が泊まっていたら、メイドさんにも手を出しかねないという根拠もない理由で、先に帰れと言われてしまった。



俺は、他に乗客がいないバスの中で大きなため息を吐き、家に帰ってゲームをプレイしまくろうと、帰宅後の計画を立て始めた。






☆☆☆☆






「・・・・嘘・・・だ、ろ?」



自宅に帰ると、俺は驚きの余り呆然と立ち尽くしてしまった。



玄関には、見覚えのある靴が。



「あ、お兄ちゃん!久しぶりぃ!」



「・・・・よしにぃ?帰ってきたんだ」



俺の声を聞きつけたのか、見覚えのある顔が二つ現われた。



「なんで・・・・いるんだよ」



俺は痛くなる頭を押さえつつ、二人を睨む。



「なんだょ〜。お兄ちゃんってば連れないなぁ」



「よしにぃは照れてるんだよ、きっと」



「えぇ!?そうなのお兄ちゃん!そんなに私のこと意識して・・・・・」



「違う。よしにぃは、私のことを意識してる」



二人は、軽く言い争いを始めてしまった。



髪を背中辺りまで伸ばしているのが、姉の、垣崎 苺〈かきさき いちご〉。少し・・・・いや、かなりロリ体型をしている。



もう一人が、妹の垣崎 蜜柑〈かきさき みかん〉。姉に瓜二つで、一目で双子とわかる。もちろん、体型も瓜二つだ。



俺がロリを好きになれない主な理由は、こいつらにあると言ってもいい。



一つ目の理由は、勝手に話を進めていき、かなりマイペースなところ。



二つ目の理由は・・・・・・。



「あ、お兄ちゃん。部屋、掃除しといたからね?」



苺の言葉に、俺は血の気が引いていくのを感じる。



旅行用のカバンをその場に落とすと、急いで自分の部屋に駆け込む。



「・・・あは・・・・あははは」



綺麗になった部屋を見て、自然に涙がこぼれてくるのを感じる。



そう。部屋の中は、確かに綺麗になっていた。



・・・・・俺の大事なコレクション、大量のアニメグッズ、漫画本、ラノベなどが跡形もなく消え去り、確かに、綺麗にはなっていたんだが・・・・・・・・・。



それと引き換えに失ったものが大きすぎる。



そう、俺の妹たちは、俺が他の女の子を愛でるのが耐えられないとか言って、人の趣味を否定しやがるのだ。



二つ目の理由。



それは、極度の嫉妬深さだ。



いつの日か確実にヤンデレになると、俺は確信している。



「綺麗になって、嬉しい?」



「お兄ちゃん、私たち頑張ったんだからね!」



そんな、褒めてほしい犬みたいな目で俺を見るな。



「・・・・お前ら、やっぱ嫌いだ」



俺がそう呟くと、二人が静かになる。



今までも何度かこういうことがあった。



巧みに隠していてもすぐに見つけだしてポイ。



しかし、俺が何か反抗する度に・・・・・。



「お・・・お・・・・お兄ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁぁあ!!うぇ〜〜〜ん!」



「ぐすっ・・・よしにぃのあほ・・・・・ううっ・・・・」



二人同時に涙を流し始める。



そう、何かあればすぐ泣く。



これは一番厄介な攻撃である。



向こうが悪いのに、まるで俺が悪いような錯覚に陥り、結局俺の方から謝るってのがいつものパターンだ。


しかし、人間は成長する生き物である。



ふふふ・・・・今までの俺とは一味違うのだよ。



まぁ、人間じゃなくなってる時点で前とは違うのだが。



「さぁて、暇だし遊びにでも行くかな〜」



俺は二人を無視しつつ、下の階へ降りようと・・・・・して、二人から両腕を掴まれた。



「・・・・お兄ちゃんが、変わった」



「よしにぃ・・・この家の中、知らない女の人の匂いがするのと関係、あるよね?」



(・・・・や・・・ヤンデレぇぇぇぇぇえ!?何!?この二人、すでにヤンデレ状態!?)



「い、いやぁ・・・そういえば、この前学校の友達が遊びに来てさぁ」



「「嘘だ!!!」」



(ひぃぅ!?二人が完全なるヤンデレに!Level5になっちゃってるしぃぃぃい)


俺は恐怖のあまり二人の顔を見れない。



「・・・いや、本当だし」


「じゃあ、なんでお兄ちゃんの体からも女の人の匂いがするのかな?かな?」



「よしにぃは、私たちを騙せると思ってるの?よしにぃのことは、全部わかってるんだから」



いや、これ・・・・二人とも元ネタ絶対わかってるだろ。



まさかの隠れヲタか?



っていうか、明日か明後日には夏那華と迷梨帰ってくるし、バレるじゃん。どっちにしても。



んなら、今のうちに説明をしとくか。



「あ、あのな・・・・」



説明をしようとしたその時。



声が聞こえた。



『ご主人様・・・どこ、ですか?』



『・・・・ルシフ?』



その声に、心の中で返事をする。



『やっと、見つけました!』ルシフの喜んだような声。



すると突然、目の前にルシフが出現した。



「・・・・・・・・・ぇ?」



俺は目を見開いてそれを見る。



・・・・たぶん、夏那華十八番の『緊急回避』と似たような魔法を使ったんだろうが・・・・・・なんで今なんだ?



タイミングが悪すぎる。



さらにルシフは、俺を見るなり抱きついてきた。



瞬間。後ろの二人、苺と蜜柑二人が放つ絶対零度の視線が俺を貫く。



(・・・・・・誰か助けて)



俺は涙目になりながら、そんなことを願った。



もちろん、無駄だとわかっていたんだけどね。




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