第36話→暴風域に突入したんじゃないか?
「はふぅ・・・・・・」
女の子は俺の唇から離れると、うっとりしながら息を吐く。
そこで俺の体に変化がおきた。
少しづつだが、体が動くようになったのだ。
しかし、マウントポジションをとられているせいか、女の子を退けることは出来ない。
「ぼく・・・初めてなんですけど、最初がご主人様で良かったです」
「あ・・・あのな・・・・動けない相手にこういうことして、楽しいか?」
「・・・・ご主人様は、嬉しくないんですか?」
鼻と鼻が触れ合う距離まで顔を近付けてきた女の子が、目を潤ませながら囁くように呟く。
「いや、それは・・・・」
嬉しくないわけがない。
だって、男の子なんだよ?
それにしても、この感覚はなんだろうか。
女の子の一挙一動が、俺の鼓動を跳ねさせる。
「契約の前に、ご主人様の名前を教えてくれませんか?」
「・・・・義、秋」
女の子からの質問に、無意識で声が出る。
(な・・・どうなってんだ俺の体は・・・・)
「ぼくの名前は、ルシフ・シュブレイ・ドラキュラ。・・・覚え、ました?」
ドラキュラって、外国の妖怪じゃないのか?
確かルーマニア辺りの。
「ルシフ・・・だっけ?」
「はい。そうですよ、ご主人様」
俺が名前を呼ぶと、ルシフはにこにこと笑いだした。
そんなに嬉しいのか?
「あの、さ。やっぱり俺、お互い好きになってからこういうことした方がいいんじゃないかって思うんだ」
「・・・ぇ?何ですか?」
あっれー?人がなんとか説得しようとしてるのに、俺の神聖な領域を守る最後の布を脱がそうとしてるじゃないか、この子。
(いやぁぁぁぁぁあ!!もうなんか見えちゃう、俺のオットセイが見えちゃうぅぅぅぅう!)
「す・・・・ストーップ!!」
最後の力を振り絞り体を起こすと、思ったより力が入って俺とルシフの位置が逆転。
俺がルシフを押し倒すような形になってしまった。
「なんで、動けるんですか?さっきから何で・・・・」
ルシフは、俺が動けることが想定外だったらしい。
目を見開き、ジーッと俺を見つめてくる。
「悪い、けど・・・俺を普通の人間、と一緒にす、るなよ?」
ちょっと強がってみた。
だが実際、これ以上体は動かない。
気を抜いたら、たぶん倒れてしまうだろう。
「でも、さすがです。・・・・・さすが、私のご主人様ですね」
「お、おぅ!?」
ルシフの言葉に返事をしようとしたら、気が緩んだのか、力が抜けてルシフにのしかかるように倒れてしまった。
「ひゃあ!?・・・・・・・・もしかして、ご主人様がして、くれるんですか?」
ルシフの悶えるような声が、耳元で聞こえる。
その声に頭がカッとなり、気づかぬうちにルシフの首筋にキスをしていた。
「あぅっ!?・・・・ご主人様ぁ・・・焦らさないでください」
ルシフのそんな声に、気持ちが高ぶり力がどんどん湧いてくる。
そのまま体をなぞるように唇を這わせ、大きくはない、Bくらいの胸にそれを近づけていく。
「・・・・いま、こぉこにぃ、絶対・・・のぉ契約を交わさ、ん・・・・・はぁ・・・・・・」
ルシフは言葉を途切れさせながらも、契約の言葉をゆっくりと紡ぐ。
俺は顔を上げて、ルシフの目を見つめた。
ルシフのほんのり上気した頬は、俺の理性をナノサイズまでブチ壊そうとしている。
「ご主人・・・・様?」
「・・・・・・いただきます」
俺はそう呟き、自分のパンツに手をかけた。
・・・その時。
「「死ねぇぇぇぇぇえ!!」」
まさにジャストタイミングで横腹に二つの衝撃が。
「水素、冷却、冷却、冷却、冷却、鋭く、鋭く、鋭く、落下!」
さらに追い打ちをかけるように、目の前に突然氷柱が出現。
俺の頭めがけて落下してくるも、ギリギリ回避した。
「な、に、を、してるんだぁぁぁぁぁぁあ!」
次に襲ってきたのは、誰かの足。
俺の顔に、誰かの踵が落ちてきたのだ。
全力で避けた俺は、ベッドから転がり落ちた。
そして、無残に砕けるベッド。
最後の攻撃とばかりに、誰かが俺の肩を叩く。
そこには瞳を潤ませた結花ちゃんが。
「義秋お兄ちゃんなんて、嫌いですっ!」
その瞬間、俺の心は砕け散った。
涙目になりながら辺りを見回すと、ベッドを踵落としで砕いた立夏。
魔法の氷柱で俺を串刺しにしようとした和月先輩。
それに、俺の横腹に攻撃をしてきた夏那華と迷梨。
俺の心を粉々に砕いた結花ちゃんが、俺の方を睨んでいた。
・・・・・・これ、なんて死亡フラグ?
皆さんのお陰で、10万Hitいきました〜。 感謝、感謝ですなw とりあえず、記念に何かしたいんですけど、いい案ないですかね?w