第33話→目覚めた暴風。
なんか文がおかしかったりしたら、バンバン指摘してくれるとありがたいです。
「・・・・・・暑い」
俺はあまりの暑さに目を覚ました。
日は海に沈みかけていて、浜辺はすでに茜色に染まっていた。
沈みかけといっても、流石に夏まっさかりなだけあってかなり暑い。
周りをキョロキョロと見回すが、俺以外の人は誰もいない。
どうやら、みんな帰ってしまったらしい。
「薄情だなぁ・・・」
俺はそう呟くと、別荘への帰路についた。
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別荘に帰った俺は、とりあえず風呂に入りベッドで横になっていた。
帰ってきた時に、胡桃や他のメイドさんに夏那華たちのことを聞いてみたが、まだ帰ってきてないらしい。
とりあえず晩飯まではまだ時間がある。
どうって暇を潰すか考えて、カバンの中にノートパソコンが入ってることを思い出した。
いやぁ、こんなこともあろうかと持ってきてて良かった。
俺はカバンの中からノートパソコンを取り出すと、電源をたちあげる。
「・・・・・・さて、何しようかな」
パソコンの待ち受け画面に映る女の子に問い掛けてみるも、答えが返ってくるはずなどない。
特にやることがないパソコンの画面を数秒見つめて、結局すぐに電源を切った。
・・・・・・とりあえず暇すぎる。
家だったら、積んでいる漫画や小説が結構あるので、暇になることなんてあまりないのだが・・・・・・。
俺は大きな欠伸を一つして、ベッドから降りた。
そこで、あることを思いついた。
「そうだ・・・・・・・・こんな広い別荘なんだし、なんかあるかも」
そう、俺が思いついたこととは別荘探険である。
まるで子供みたいだって?暇なんだし、そんなの気にしない気にしない。
そんなことを思いつつ、俺は意気揚々と部屋を出た。
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「・・・・・・まじかよ」
俺はとある部屋のドアを開いた状態で、動きを停止させていた。
部屋の中には、幾何学的な魔方陣がたくさん描かれており、そして部屋の中心部辺りに何かがある。
どうやら何かを封印しているみたいだが・・・・。
こんな部屋が本当にあるとは思わなかった。
俺は、怪しい雰囲気の部屋を転々とした。
その結果、4部屋目にして、当りを引いてしまったらしい。
俺が寝泊りする部屋が2階にあり、現在は地下2階にいたりする。
怪しい気配を探っていたら、どんどん下へ下へと来てしまったのだ。
まったく・・・どんだけ広いんだこの別荘は・・・・。
俺はゆっくり部屋に入ると、部屋の中心へと足を進め、それ・・・・・いや、その人を見下ろす。
部屋に描かれた魔方陣のその中心部には、包帯のようなもので身を包んだ女の子が横たわっていた。
女の子とわかるのは、全身に満遍なく巻かれた包帯のようなものの上からもわかる、二つの膨らみのお陰か。
女の子を眼下にして、ふと考える。
これは助けるべきか、否か。
なんか、最近やけにこういうことに縁がある。
本当、呪われているんじゃないかと思ってしまうくらいに。
「・・・・ったく・・・俺はどこぞの主人公じゃないんだぞ?」
俺は踵を返すと、ゆっくりと部屋を後にする。
別に、俺があの子を助けてやる必要なんてないんだ。
そのうち、本当の主人公が助けにくるはずだから。
俺は自分にそう言い聞かせ、その部屋のドアを閉じた。
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「・・・・・・・出会えました」
義秋が去って数時間後、その部屋に封印されていた女の子は目覚める。
そして、ふらつく足に力を入れて自分を助けてくれた『ご主人様』の元へ向かう。
義秋は、気づかなかったのだ。
魔方陣も、魔法の一種であることに。
義秋が魔方陣に触れた瞬間に、その効力が失われてしまったことに。
こうして、義秋は新たなフラグを成立させてしまったのだった。