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第31話→主人公とは、得てしてフラグメーカーである。



「お待ちしておりました、立夏様のお友達の義秋様と、その他二名ですね」



恐る恐る別荘の扉を開くと、五人メイドさんが迎えてくれた。



俺たちを見るなり声をかけてきた人は、どうやらこのメイド達の中では一番偉い人らしい。



メイド長というやつか?



「ちょっと待つの。私と夏那華がその他ってどういうことなの?」



迷梨が、メイド長さんを睨みながら呟く。



「はい。奥様から、もしかしたら男の人以外に女の人が来るかもしれないから、その方々は『その他の人』として丁重にもてなせと」



迷梨は、さらに眼光を鋭くして睨む。



結構威圧感はあると思うんだが・・・・メイド長さんは、営業スマイルの類の笑顔を顔に張りつけたまま、微動だにしない。



と、メイド長さんの口がボソボソと動いた。



「・・・・・つるぺた」



まぁ〜、確かに。



迷梨はつるぺただし、メイド長は少なからずCはある。



しかしまた・・・・・火に油を注ぐようなことを言ってくれちゃって・・・・。



「な、何なのいきなり・・・人が気にしていることを・・・・」



迷梨の顔がみるみる赤くなっていく。



「ま、まぁ・・・・迷梨落ち着きなさい」



珍しく夏那華が止めに入る。



「・・・・つるぺたが二人」



えぇー・・・・何言ってるんですかメイド長さん。



「・・・・ぶっ殺されたいのかな?」



夏那華の周りに負のオーラが漂い始める。



・・・・他のメイドさんは何で楽しそうに見てるのかな?



つか、メイド長さんは何故に二人を挑発してるのだろうか。



俺の知識上、客人に対して失礼な態度をとるメイドさんなんて聞いたことがない。



「・・・ふぅ〜。先に言っときますね」



メイドさんは前髪を手で整えながら、夏那華と迷梨を見据える。



「お世話をするようには言われてますが、敬う必要性がないので二人を敬うことはしませんよ?橘の家に重要な人物であるとも思えませんし。・・・・・・義秋様は別ですけど」



そう言って俺にニコッと笑いかけてくるメイド長さん。



ん〜。ちょい毒舌キャラっぽいけど、悪くないよ、うん。



地面に着きそうなくらい長い髪もどこか大人びた雰囲気出してるし。



「「義秋っ!!」」



夏那華からは右膝を、迷梨からは左膝を蹴られて、膝カックンみたいな感じで倒れる俺。



「デレデレしちゃダメなんだからね!」



「義秋は私だけを見てればいいの!」



いやいやいや。



デレデレなんてしてない・・・・いや、少ししかしてないだろ?



つか、可愛い子に微笑まれてデレない男の子はあまりいないはず。



それをわかってくれよ。



「だいたい、何さ。私たちより、少し胸があるからって・・・・・年増」



「そうなの。若さではこっちが勝ってるの」



二人がそう言うと、笑みを崩さなかったメイド長さんの表情が固まった。



「・・・・・・・・・覚悟はできてますか?」



メイド長さんは、どこからともなく30cmくらいの長さの黒い針を取り出した。



どうやら、夏那華と迷梨の言葉が、メイド長さんの何かのスイッチを押してしまったらしい。



メイド長さんは、その針を両手に構え、二人を睨む。



・・・・・・まぁ、立夏の家のメイドが普通なわけないんだよな。



「ふ〜ん。やる気なのかな?」



「私と夏那華の連携プレイを見せつけてやるの」



・・・・連携プレイなんていつ練習したのかめちゃくちゃ突っ込みたいが、関わるとめんどくさそうなので心の中に留めておこう。



「言わせてもらいますが・・・・私はまだ17歳になったばかりですっ!!」



そう言って夏那華と迷梨に針を投げるメイド長さん。


「緊急回避〈テレポート〉!」



夏那華は迷梨と手を繋ぎ、その場から消える。



そして、メイド長さんの背後に姿を現すと、迷梨が攻撃の呪文を紡いだ。



「穿て水、我の剣となりて」



どこからともなく水が湧いてきて、メイド長さんに襲い掛かる。



「っっ!?陰陽ですか!」


メイド長さんは、バックステップでそれを避ける。



そんな戦いを余所に、俺はそそくさと他のメイドさんに近寄る。



「あの・・・俺の泊まる部屋ってどこですか?」



俺がそう質問すると、どう見ても小学校の高学年くらいにしか見えない女の子が返答してくれた。



「あの・・・その・・・・」



そのメイドさんは、俺と、白熱したバトルを行っている夏那華たちを見比べて、軽くため息をついた。



「こちらです。部屋に案内します」



そのメイドさんはそう言って、テクテクと歩きだした。



俺はその後を追う。



他のメイドさんは、戦いの方に夢中で、俺たちに気付くことはなかった。






☆☆☆☆






「こ、この部屋です」



案内された部屋のドアを開けると、どこの高級ホテルですか?と疑いたくなるような豪華さだった。



つか、広すぎ。俺の部屋の5、6倍はある。



これで別荘って・・・・・・世の中不平等だ。



「あ、あの・・・・」



俺が部屋を見回しながら呆然としていると、メイドさんが俺の服の裾を引っ張ってきた。



「・・・・ん?どうかした?」



「えっと・・・・戦い、どうして見なかったんですか?」



戦い?・・・・・・あぁ、さっきの子供の喧嘩みたいなアレのことか。



「・・・んん〜・・・・・・関わりたくなかったから、かな?」



「で・・・・でもでも、陰陽使いとメイド長さんの戦いなんですよ?」



「そうだな〜。けど、俺はあのメイド長がどんくらい強いか知らないし、興味もない・・・・・・あと、夏那華たちは陰陽なんて使ってないからな?」



まぁ、あのメイド長さんがかなり強いということは何となくわかったけど。



迷梨の魔法を避けた時点で、普通の人ではないことは確かだろ。



「陰陽じゃないんですか!?・・・・・・ほぇ〜」



なんか感心したように頷くメイドさん。



「あ、あとさ。もっと砕けたしゃべり方でいいよ?なんかむず痒いから」



俺がそう言うと、メイドさんは数秒の間目を瞑って何度か頷く。



「・・・・・ん、わかった・・・義秋君でいい?」



「あぁ、いいよ。えっと・・・・・・」



「私、実無 胡桃〈みなし くるみ〉。よろしくね、義秋君!」



そう言って、ぱぁっと笑顔の花を咲かせる胡桃ちゃん。



なんか和むなぁ・・・・。


俺の周りのロリが、みんな結花ちゃんと胡桃ちゃんみたいならいいのに・・・・と本気で思ってしまった。


その後、胡桃ちゃんは戦いの続きが見たいと言って戻っていった。



まだ日は高い。



とりあえず泳ぎにいこうと、俺は、カバンから海パンを取り出した。




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