第30話→いざ別荘へ!
・・・・スランプです。 物語は思いつくのですが、手が動かないんです。 文短くてすんません。 復活まで、暖かい目で見守ってくれますよね?←ぁ とりあえず・・・これ腱鞘炎になりかけてんじゃね?
ガタンゴトン。
俺たちを乗せたバスがゆっくりと揺れる。
・・・・なぜバスの中にいるかというと、立夏の父親騒動事件(仮)の、前日まで話は巻き戻る。
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その日、俺の家を一人の女の人が訪ねてきた。
話を聞く限り、どうやら立夏の母親らしい。
昨日、何の前振りもなく呼び出したことへのお詫びに来たんだとか。
・・・不覚にも、普通の人間すぎて涙が出そうになった。
「それで・・・・心ばかりの気持ちですが・・・受け取ってください」
そう言って、立夏の母さん、橘 仁美〈たちばな ひとみ〉さんが差し出したものは、どこかの地図らしきものだった。
「・・・これは?」
俺がそう質問すると、仁美さんはニコッと笑ってこう答えた。
「別荘の、地図です」
「・・・別荘?」
「はい。橘家の別荘に招待したいんですけど」
「・・・・・・いいんですか?」
俺は、何か裏があるんじゃないかと仁美さんの顔をジーッと見るが、仁美さんは笑顔を崩さずに肯定する。
「えぇ。折角の夏休みですし、ぜひ楽しんできてください!」
「・・・・じゃあ、お言葉に甘えて」
俺は地図を受け取りながら、仁美さんに頭を下げる。
なんか、普通の夏休みっぽくなってきた。
仁美さんによると、別荘の近くには海もあるらしいしな。
結構楽しめそうだ。
とりあえず仁美さんに、明後日くらいにお邪魔すると伝える。
帰る時まで笑顔を崩さなかった、身の回りで唯一常識人の仁美さんを玄関まで見送ると、俺はさっそく夏那華と迷梨にそのことを報告した。
その次の日は、旅行に必要な日用品を買いに行った。
そして、その日の夜、柄にもなくあまり眠れないという体験をしてしまったのだった。
☆☆☆☆
ガタンゴトン。
バスはゆっくり揺れながら、目的地まで俺たちを運ぶ。
夏那華と迷梨もあまり眠れなかったのか、今は俺に寄り掛かってスヤスヤと寝ている。
俺もウトウトしていたのだが、窓の外に海が見えると同時に眠気が吹っ飛んだ。
「うわぁ〜・・・海だ」
傍から聞いたら、何当たり前のこと言ってんだコイツと思われるかもしれないが、無意識のうちに言葉が出てきたのだから仕方ない。
海なんて何年ぶりだろうか。
なんか高校1年にもなって、妙にテンションが上がってきた。
「・・・・・・どうしたの?」
俺の声に目を覚ましたのか、夏那華が目をゴシゴシ擦りながら俺の顔を見る。
「見ろ見ろ!海だぞ海!」
俺が窓の方を指差すと、夏那華はそちらに視線を移動させ、歓喜の声をあげた。
「本当だぁ!海だ海!アハハッ!」
さっきまでの眠たさはどこへいったやら。
夏那華はキャッキャとはしゃぐ。
「うにゅ〜・・・・二人ともうるさいの」
そう言って、迷梨も目を覚ました。
このあとの迷梨のリアクションは言うまでもないだろう。
バスの中には、他の乗客はいなかったし、無駄にはしゃぎまくっている俺たちを止める者はいなかった。
・・・・・・はしゃぎすぎて、到着とともにどっと疲れてしまうのは、それから数分後だった。
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「地図的にはここなんだが・・・・・・」
地図通りに足を進めたら、別荘というには立派すぎる建物が目前に現われた。
「橘家って・・・本当にわかんねぇ」
俺は、橘家の無駄な金持ち度に頭をかかえつつ、ゆっくりとため息を吐く。
そんな俺を知ってか知らずか、ズカズカと敷地の中に入っていく夏那華と迷梨。
ったく、少しは落ち着けよ二人とも。
「待てって!おいてくな!」
俺は、そんな二人に追い付くべく駆け足で歩き始めた。