第3話→強いイケメンって、何なの?
「・・・・まだ、わからない」
「・・・・・・は?」
夏那華の言葉に、思わず首を傾げる。
わからない?何それ、食えんの?
俺のわくわくした気持ちを返してくれ。
「だ、だって、目覚める能力は人それぞれらしいし・・・・・そんなの、わかるわけないじゃん」
う〜、と唇を尖らせる夏那華。
なんだろう、これ。
さっきまでと違って、夏那華の仕草が堪らなく可愛く見えるんですけど。
これも契約とやらの影響なのか?
「とりあえず、わかったが・・・・契約者ってのは具体的に何をすればいいんだ?」
「うん。契約者は」
夏那華が言葉を口にしようとすると、消えていたはずの電気が突然点灯した。
「ちっ・・・着いてきて。説明は後、急いで!!」
夏那華は、舌打ちすると表情を曇らせて俺の手を掴み走りだした。
「な、なんなんだよ!説明は後って・・・・」
俺は引かれるままに、夏那華に着いていく。
自分の家の中なのに、妙な感じがする。
電気のスイッチなんて触れてもいないのに、電気が点いたり消えたり。
それに、背中がぞくぞくする感覚が常に続いている。
けど、不思議と心地はいい。
「あぁ!うざい!!私を馬鹿にして・・・・」
「おい、一体全体どうなってんだ「飛ぶよ!」」
夏那華はそう言うと、目を閉じて静かに呟いた。
「緊急回避〈テレポート〉」
その途端、俺は家の近くにある公園の中に立っていた。
「・・・・・・・・・??」
俺は首を傾げる。
さっきまで家の中にいたはずなのに、一瞬にして目の前の映像が変わった。
「今の、私の魔法だから」
キョロキョロと辺りを警戒しながら、そう言ったのは、夏那華である。
「・・・すげぇな」
俺は、思わず感嘆の言葉を口にする。
だって、一瞬で移動しちゃうんだぜ?
すごい以外の言葉が思いつかない。
「そ、そうかな?魔法、褒められたの初めてかも」
そう言って、夏那華が少し頬を緩めた時。
「よぉ、デビ子。少しは成長したみたいだなぁ」
ふと声がしたと思ったら、見知らぬ男が公園の中をこっちに向かって歩いてきた。
(ちっ・・・・・イケメンか)
俺は男の顔を睨みながら舌打ちする。
イケメンなんて滅んでしまえばいいんだ。
彼女いない歴16年の俺にとっては、イケメンは許してはいけない存在なんだよ、うん。
「くっ・・・・そのあだ名で呼ぶなぁ!!」
夏那華は、男を睨みながら叫ぶ。
「あん?あぁ、契約者がいるからか・・・・・弱いくせに粋がるなよ。お前に契約者が出来たところでたかがしれてるさ」
「うるさい!どうせ、まだ契約者が見つかってないから僻んでるでしょ?」
「・・・・・・調子に乗るなよ?お前みたいな、使い魔〈デビル〉以下のゴミ、いつでも殺せるんだぜ?」
・・・あのぉ、俺だけ展開に着いていけないんだけど。
これ、どうしようか。
なんか二人とも一触即発な状況だし。
どうやら、男の方が夏那華の悪口を言ってこんな状況になってるらしいってことは理解できた。
「おい、お前こそ調子乗んなよ?イケメンだからって女の子に殺すなんて言っていいと思ってるのか?」
とりあえず乱入してみました。
「・・・ちっ。人間の契約者が、うるさいんだよ」
イラッ・・・・。
「・・・・・一発殴る」
俺は拳を握りながら男に近づく。
「義秋!やめてよ!!あんたじゃ勝てないからっ!本当に死んじゃうからっ!」
夏那華が俺の腕を掴んでくるが、俺はそれを振りほどき前へ進む。
一応、空手やってたりしたし、ひ弱そうなイケメンなんて平気だろ。
「やるのか?いい度胸だ・・・・・」
男は、そう言いながら右手を上に翳す。
すると、男の手からバチバチと電気が発生しはじめた。
その電気は、どんどん一ヶ所に集まり一つの球体を形成していく。
「さぁて、始めるか・・・」
嘘、だろ?
そんな魔法聞いてないんですけど。
「あ、用事思い出した・・・俺、帰る、わあぁぁぁぁぁぁあ!!」
俺は、男が飛ばしてきた雷球をギリギリで避ける。
躊躇なしなんて、鬼畜すぎる。
「は?口だけみたいだな。所詮、デビルの契約者か」
男は笑いながら、再び雷球を作り出す。
これ、まじ死亡フラグだわ。
俺は、ただゆっくりと形を整えていく電気の固まりを見上げることしか出来なかった。
こんばんは。 突然ですが、文章短めで頻繁に更新するか、長文で更新をあまりしないか悩んでいます。 何か意見があれば、書き込みしてくれるとありがたいです。