第28話→負けられない、戦い。
誤字脱字などがあれば、指摘お願いします〜。
「ここが私の家だ」
適当に逃げ回っていたら、運がいいのか悪いのか、立夏の家に着いてしまった。
俺の目の前には、門と呼んでも差し支えないくらい立派なものが建っている。
「立夏・・・・お前、何者だよ・・・」
その門を見上げながら、俺が立夏に質問すると、立夏は少し恥ずかしそうに答える。
「わ、私の家は橘だ。仕方ないだろ?」
なにが仕方ないかよくわからんが、なんか立夏が違う世界の人間に思えてくるな。
「お嬢様、では参りましょう」
「よ、義秋!!」
ドカッ!
頭を殴られた。
冗談で言ったのに。立夏ってば殴ることないよな。
「痛ぇ〜。なんだよぅ」
俺が少し拗ねたような感じの顔で立夏を見ると、立夏の顔がどんどん赤くなっていく。
ん?拗ねた顔に弱いのか?
これは覚えておこう。
「い、いいから早く行くぞ!」
そう言って、大きな門を軽がると開く立夏。
ゴゴゴゴゴ、と、普通の玄関では絶対聞けないような音をたてて開き切った門の先には、一人の幼女が立っていた。
幼女と言っても、顔が幼く、胸がツルペタなだけだが。
身長は150cmくらいだろうか?
頭の右上の方で髪を結んでいるのも、なんか幼さを醸し出している気がする。
「お姉ちゃん、ただいま」
その女の子は、ニコッと笑うと立夏にトテトテと駆け寄る。
立夏は、近くに来た女の子の頭を優しく撫でた。
「えっと、この子は私の妹の橘 結花〈たちばな ゆいか〉だ。ちなみにこう見えても中学3年生だぞ?」
立夏が俺に説明すると、結花は俺にニコッと笑いかけてきた。
「こんにちは!話はお姉ちゃんから聞いてるよ?確か・・・・義秋お兄ちゃん?」
ズッキュュュュン。
今のお兄ちゃん発言で、俺のハートは貫かれた。
「よし、結花ちゃん。お兄ちゃんのお嫁さんにならないか?」
「ば、バカ!お前は何を言ってるんだ!」
俺が結花ちゃんを口説いたら立夏から怒鳴られた。
いやぁ、今だけはロリコンって罵られてもいいわ。
結花ちゃん可愛いよ結花ちゃん。
「あ、ああああの・・・・私は・・・」
結花ちゃん本人は、顔を真っ赤にしてあたふたしている。
そんな姿すらも可愛い。
つか、見た目ロリでも中学3年生なら年齢的には問題なくね?
「結花! こんな馬鹿の言うこと聞かなくていいから!ほら、義秋もさっさと来て。お父様が待ってるから」
立夏は何をそんなに怒ってるのか。
俺は首を傾げながらも、立夏の後を追う。
立夏の後ろに、縋るようにくっついてる結花ちゃんは、時々俺をチラチラと見てくる。
可愛い・・・お持ち帰りしたい・・・・・。
俺がそんな衝動に負けそうになっていると、目の前に小さな小屋が出現した。
なんか結花ちゃんに夢中で、どこをどう歩いてきたか思い出せないんだが・・・・。
「さぁ。こっちだ。入ってくれ」
立夏から、勧められるがままに中に入ると、雰囲気的に小さな道場みたいな感じだ。
そして、真ん中辺りに一人の男の人が正座をして座っていた。
見た目は、その辺の高校生みたいな感じ。
相当若い。
「・・・・お父様。連れて参りました」
「・・・・・・うむ」
あ・・・あれが立夏の父さんか・・・・・・若すぎるだろ。
「早速ではあるが・・・・拙者と試合をしてくだされ」
どこの侍ですか・・・と突っ込むまもなく、とてつもない殺気に身構える。
「・・・・なぁ、立夏。お前ん家って何かの道場とかなのか?」
「ん?何を言っているんだ?橘家といったら由緒正しい忍者の家系だぞ?」
に、忍者ですか・・・このご時世に・・・・。
「・・・・・・確か、義秋殿でしたな?」
「・・・そうですけど」
俺と、立夏の父さんは見つめ合ったまま牽制しあっている。
どちらが最初に動くか。
「お主が勝ったら、何でも一つ言うことを聞くというのはどうだろう」
「いきなり・・・ですか」
「いやぁ・・・・呼んでおいて、何もなしでは悪いからな」
「そうですか?まぁ、夏休みの貴重な1日を浪費したんだから、そんくらいの報酬はもらっても罰は当たらないよな」
「ちなみに、何か欲しいものが?」
「・・・・えぇ。結花ちゃんと、ついでに立夏も」
「ほぅ・・・欲張りだが・・・・いい度胸だ」
立夏の父さんがにやりと笑う。
「なんで私はついでなんだ・・・・」
どこからかボソッと呟くような声がしたが、たぶん気のせいだろうな。
「拙者、橘 政宗〈たちばな まさむね〉と申す」
「俺は、森川義秋。よろしく」
名乗ってきたので、とりあえず名乗り返した。
俺、今めちゃくちゃ空気読んだよな?
「いざ・・・参る!」
先に仕掛けてきたのは、立夏の父さん、政宗さんである。
こうして、人外と忍者の戦いが始まった。
結花ちゃんと、オマケの立夏が懸かっているのだ。
偉い人はよく言ったもんだ。
男には、負けられない戦いがある、ってな。
俺の場合、今回がそれに当てはまる。
さて、頑張ってみるかな。