第11話→えろいロリ悪魔は、自重すべきだ。
「ちょっと義秋!なんで悪魔が増えてんの!?」
帰ってくるなり、夏那華はそんな声をあげた。
見ただけで悪魔ってわかるなんて、さすが自身も悪魔なだけある。
と、感心していると、迷梨がクスッと微笑した。
「あれ?よく見れば夏那華なの。ツルペタ女が、もう一人の契約者だとは思わなかったの」
「つ、ツルペタって、あんたの方がでしょ?だいたい、契約者1人に対して悪魔が2人なんて聞いたことないんだけど」
俺は二人の言い争いを聞きながら、台所に入る。
そろそろ晩飯の準備しないと。
だいたい、ツルペタはお互い様だろうが。
「そりゃ、夏那華みたいな勉強さぼり魔は聞いたことないはずなの。複数の悪魔と契約出来る契約者は、過去1000年、数人しか確認されてないの。残されてる記録も少ないし」
ん〜、今の迷梨の言葉を聞くと、自分という存在の希少価値が少し把握できた。
つか、夏那華が落ちこぼれだったのは勉強をさぼってたからなのか。
自業自得かよ。
そんなことを思いつつ、今日の晩飯で使う野菜を包丁で切り刻む。
今日は、お手軽且つ腹一杯食べれる、みんな大好き中辛カレーを作る予定である。
カレーって、なんであんなに美味しいんだろ。
発明した人は本当にすごいよな。
「た、確かに秋義の存在価値はすごいみたいだね。それは理解出来たけど・・・・なんで、あんたみたいな『卒業首席〈サタン〉』が義秋を契約者に選んだわけ?魔力で全て決まるわけじゃないってことは知ってるよね?」
「そ、そんな夏那華こそなんで義秋を選んだの?」
「うぐっ・・・・・・・・・教えたくない」
「な、なら私も教えないの」
二人は顔を赤くしながら、睨み合う。
つか、雰囲気的に知り合いっぽいな。この二人。
「よ、義秋は、なんで迷梨と契約したの?私という者がありながら」
「そ、それはこっちの台詞なの。なんで夏那華みたいな、さぼり魔の落ちこぼれなんかと契約したの?」
二人の視線が俺に集まる。
・・・・・こっち見んなよ。
俺はそんな二人を無視して、カレー作りに集中する。
「む・・・・義秋から無視された」
「・・・なの」
二人は、俺に聞こえないくらいの声で会話を交わして、お互いに頷き合い、手を結んだ。
・・・・・・とっても嫌な予感がするんだけど。
まぁ、何はともあれ、もう少しで秋義特製カレーが完成するし、お腹もペコペコだ。
とりあえず、その嫌な予感は、心の中にしまい込むことにした。
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「モフモフ・・・・・義秋、このかれぇって食べ物、とっても美味しいよ〜」
「・・・確かに、なの。義秋が料理上手なんて意外性ありまくりなの」
俺は、なかなか自身作のカレーが好評価を得たことに、少し頬を緩める。
「まぁ、確かに俺みたいな男が料理すんのは珍しいかもだが、俺は一応1人暮らししてんだぞ?料理くらいつくれて当たり前だろ」
「当たり前・・・かぁ・・・・・料理なんて出来なくても・・・・」
「・・・・・当たり前、なの。そうなの・・・・私は当たり前にすら該当しないの・・・」
二人は、肩を落としながら何かをブツブツと呟き始めた。
俺は、何か気に触ったのか?と首を傾げつつ、カレーを口の中に運び続けた。
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晩飯も食べ終わり、一息ついた俺は、風呂へ向かう。
「言っとくけど、今日は入ってくんなよ?」
そう夏那華と迷梨に言い残して。
迷梨はともかく、夏那華は要注意人物である。
しっかり忠告しとかないと。
「わかってるよ。ねぇ、迷梨〜」
「そうなの。大丈夫だから、ゆっくり入ってきていいの」
笑顔で手を振る二人。
あからさまに怪しすぎる。
俺は、念の為に腰にタオルを巻いて風呂に入ることにした。
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「だからくんなって言っただろうが!!」
シャワーで汗を流していると、案の定夏那華が入ってきやがった。
迷梨といういらないオマケ付きで。
「むふふ〜。契約ってことは、相手に一生を捧げることと同意なんだよ?お風呂が一緒なのは当然、当然」
トンッと胸を叩く夏那華。
やめてくれよ・・・・いくらツルペタだからって、タオルくらい巻こうぜ・・・。
「夏那華、退くの!秋義は、私の契約者なの!」
そう言って夏那華の横に並ぶ迷梨。
ふ、二人揃ってタオルなしとか・・・・・ロリコンではないと言っても、俺は健全な男子なんですよ?
そんな裸体を前にしたら・・・・・ダメだダメだ。
落ち着け、俺。
瞑想するんだ。
世間からロリコンと蔑まれてもいいのか?
思い出せ、あの某動画サイトのガチレスリングの暑苦しさを。
タイトルに釣られて、いきなりながれ出したあの動画を。
「ふぅ・・・・なんとか耐え切っ・・・・・・たぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
「ほら、義秋、気持ちいいでしょ?」
「ち、違うの!義秋は私の方が気持ちいいの!」
二人とも、自重しろぉぉぉぉぉお!!
背中を洗ってくれるのは有り難いけど、なんか色々と柔らかいものが当たってるんですけど!
せっかく気持ちを落ち着けたのに、どうしてくれんのさ!
「ふ、二人とも・・・胸がとかが当たってるから・・・・・少し離れてくれないか」
「「い・や・だ」」
二人の声が重なる。
こいつら・・・謀ったな・・・・・。
俺は、とりあえずこの状況を耐えぬこうと、必死で目を瞑る。
俺の理性は、もう崩壊寸前だ。