再会
「随分と進んできたな……そろそろ出口だと思うんだが」
ダンジョンを出てからどれくらい経っただろうか。
体は全く疲れていない。
普通の魔力では底上げできないような、体力や筋力をフールは与えてくれたようだ。
「フール、いつかもう一度会うことができたらいいなぁ」
言って三秒。歩いて二秒。
そしてアルバが気が付いた時には、強化された体なのにもかかわらず風圧を感じていた。
「読んだかの?」
邪神フールは当然のような顔をしてそこに現れた。
文字通り飛んで来たわけだ。
「フ、フール?な、なんでここに?」
「用事も終わったからのぉ。丁度よく呼ばれたから来たんじゃ」
「名前を呼んだだけなんだけど……」
「まあ良いではないか。あまり寂しい事を言うでないぞアルバよ。我々は共に契約を結んだ身。楽しく行こうぞ?」
楽しそうに笑うフール。
なんでもありの邪神様というイメージを持っていたが、間違ってはいなさそうだ。
「アルバよ、剣はもう使ったか?」
「お、おう。一本だけだがな、<邪神の御剣>ってのを使った」
「おお!あれを最初に使ったか。あれは儂の作った記念すべき第一本でなぁ……うんうん。思い入れがあるというものよ。何よりあの見た目よ……」
フールが詳しく話そうとし始めた時、爆発音が鳴り響いた。
どうやらここよりも東から聞こえてくる。
「あ、一人やられたな。……それでの?黒と赤というのはやはり奇怪であろう?」
「フール、その話は詳しく聞くと約束するから今は音が鳴ったところに行きたいんだけれど」
「何でじゃ?別にほっておいても関係ないじゃろうて」
「フールの武器を試したい」
「……しょうがないのぉ!あっちで戦っておる冒険者のパーティーがおるぞ」
「いこうフール」
チャンスタイム到来だ。
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