邪神の御剣
「ここが、『SSS』ダンジョンの外」
外は森が広がっていた。
穴から飛び降りて地面を踏みしめる。
体が軽い。さらに、着地の振動は感じるが負荷にはなっていない。
……足音が聞こえてくる。
人ではない、獣の類。
こっちの存在には、気づいている。
「オオオオォォォォ!」
「ハンターベアーか……モンスターランクは『B』。ついさっきの俺ならビビって動けなかっただろうが」
今は恐怖を感じない。
力が自分にあることを自覚しているから。
「試し切りしてみよう……<鞄>!」
<鞄>を急いで開く。
山のようにある呪いの武器。
適当にページをめくって、一本を選ぶ。
「……<邪神の御剣>」
そう言うと、剣のグリップが本から飛び出る。
そのまま引き抜くと、暗黒のような見た目に赤い眼の模様が付いた禍々しい武器が、ずるりと出てきた。
ハンターベアーはこちらに走ってくる。
使いどころは、ここしかない。
「やってみるか……オラッ!」
アルバの身体よりも大きな剣。
ギリギリまで距離を溜めてから、当然力を入れて思いっきり振り下ろす。
熊は跡形もなく消え去ってしまった。
「……ちょっとこれは、やり過ぎたか」
熊と一緒に、剣圧で地形に跡が出来てしまった。
「これからは力を抑えて……いや、いいか。」
自分の事を見下してきた世界には、今の本気を見せるしかない。
「この力を最大限使って、これからは俺のために生きていくんだ」
もし良かったら評価とブックマークよろしくお願いします!