放課後の出会い
夕方の赤い太陽が落ちて消えかかりそうな時間、僕の通う中学校では、部活が終わると流れる中島みゆきのヘッドライト・テールライトを聞きながら、僕は教室に置いて来てしまった「安産祈願」と書かれたお守りを取りに来ていた。教室に入り、机に置いてあるお守りを確認し、ホッと息をつく。
「良かったぁ・・・」
僕はお守りにをカバンの小さいポケットに入れ、教室を出た。通りがかった先生に挨拶をし、階段を降り、歩道橋を上った先にある自分の自転車へと向かう。
その時、校庭の向こう側にあるプールから「バシャン」と、何かが飛び跳ねる音が聞こえた。なぜ部活が終わって誰もいないはずのプールからあんな大きな音が、僕はなぜかそれが気になってしまい、恐る恐るプールの方に歩く。すると、見えてきたのはプールサイドに座る一人の少女がそこに居た。黒く長い髪をしたその子はよく見るとなぜか悲しそうな顔をしていて、一粒だけ涙を流しているのが見えた。だが、彼女の涙が頬を通り、落ちた瞬間、その涙が水分から結晶になったのが見えた。僕は小さな声で「えっ」と自然と口から出る。
「っだれ?!」
少し慌てた様子で彼女が僕の方を見る。僕は動かず、ただじっと彼女を見る。だが、見ると言っても彼女の顔ではなく、僕の目が向いていたのは足だった。彼女の足は普通の人間の足のように左右1つずつではなく、1つだけであり、金色の鱗が綺麗な人魚の足だった。
ここまで言えばもう気づいている人もいると思うけど、ここは普通の人間が住む時代は過去となり、今は人とは少し異なる種族が暮らす。少し変わった時代の中で、僕達が結ばれるまで物語。