第7指令 指揮官と戦闘・前
誤字報告ありがとうございます。
今回の内容はちょいグロめになります。
戦闘というか狩りを終えて、微妙な気分を味わいながら俺達は次の獲物を探すべく行動を開始していた。
ガルの【危険察知】のスキルが反応を示していた。俺も【敵察知】のスキルで見ると確かに気配がある。なので、一旦この場を立ち去って別の場所に移動する事にする。
向かった先は、街の方に少し戻った側にある小さな湖。大きさにして学校のプール程度だろう。水はまあまあ澄んでおり、魚影を確認する事ができた。
道中で運良く、ウェアラビットをもう1体倒す事ができた。今回は逃げる相手だったのでAGIの高いシノブで撹乱して、ガルで仕留めた。ガルはさっきの事を考えてくれたのか牙や爪を使わず、体当たりなどで血を流しすぎないように立ち回ってくれた。
湖周辺の敵を探すのを最後に、一旦使用していた【敵察知】のスキルを切る。幸い、察知できる範囲に敵はいなかった。
匂いを嗅ぎつけられる可能性もあるが、そろそろ最初に狩ったウェアラビットの素材の質が落ちそうになってきているのでこの場でさっき狩った分も含めて血抜きと解体を行うことにした。
先ずは血抜きから。雑貨屋のばあさんから大雑把なやり方は聞いた。なのでその方法を使っていこうと思う。先ず頭を首から解体ナイフで落とす。それを逆さにして血を抜いていく。ある程度の時間が経って血の出が悪くなったら水を張った桶にぶち込んで腹を捌き、内臓を取っていく。次に前後の脚を落として胴体の皮を剥ぐ。後脚も胴体と同じように皮を剥ぐ。最後に胴体を骨に沿って解体ナイフを滑らせていき、肉を削ぐ。これでウェアラビットの解体が終了する。
動物の解体なんて生まれてこのかたやった事などないが、【解体】のスキルのお陰かそこそこスムーズに出来ている。
2体分の解体を終え、皮は従軍依頼の対象なのでインベントリに仕舞い、肉もそのまま入れる。
作業を終えて一息ついた俺のズボンの裾を、ガルは口でくわえて引っ張る。何かと思い振り向くと、イージスとシノブは臨戦態勢に入っていた。ガルも同じように臨戦態勢に入っていた。
「まさか......」
そう思って、俺は【敵察知】のスキルを使って周囲を見る。すると案の定的に囲まれていた。しかもその数は5体ほど。俺は視界の端に見える血抜きで流したウェアラビットの血が溜まった場所が原因だと考えた。作業に集中していて忘れていた。そもそも1体目のウェアラビットを倒してすぐにその場から立ち去ったのはこいつらを警戒しての事だった。
「グルル......」×5
茂みから5体のホーンウルフが現れる。後ろは湖で逃げ場はなく、この場で戦うしかない。
「やらかした。これはもう戦うしかないか......」
逃げることを諦め、俺もナイフを構える。そして【識別】を使って5体のホーンウルフのステータスを見た。
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RACE:ホーンウルフ
LINEAGE:ウルフ種
Lv.3〜5
ABILITY:
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レベルは最低3。更にこの数だと誰か1人が2体を相手にしないといけない。現状そこまでのことが出来るのはこの中で一番のVITを誇るイージスだけだ。
「イージス、2体は頼めるか?」
「......」ガシャ
俺の問いかけにイージスは深く頷いてくれる。
「シノブ、ガル。イージスが2体を抑えている間に残りを倒すぞ」
まだLv.1の俺達が勝てる見込みなんてほぼ無い。それにガルは敵と同じホーンウルフ、全く同じタイプだ。そして同じタイプなら当然レベルの高い方が勝つ。シノブ、イージス、ガルのHPはそれぞれ50、200、80。真正面から行って倒せる程の敵ではない。
俺に関してもホーンウルフ達よりスピードは遅い。なので俺達が細い勝ち筋を拾うには戦い方を工夫しなければならない。
先ずはその中でも勝てる可能性のある奴をおびき出す。【モンスター鑑定】では5体の内、3体がLv.3であることは分かっている。なのでLv.4と5のホーンウルフはイージスに頼み、俺とシノブ、ガルはLv.3のホームウルフを相手にする。
「シノブはスピードで相手を撹乱しながら少しずつ攻撃していけ。動きが止まったところを俺とガルで仕留めに行く」
ホーンウルフ達を超えるであろうスピードを持つシノブに撹乱を頼み、俺は【水魔法】のスキルで初めから覚えているマジック、【アクアボール】を唱える。
「【アクアボール】!」
初めて使った【アクアボール】はバレーボール程の大きさで、ホーンウルフ達に向かう。しかし、やはりシノブだけで3体を釘付けにするにも限界があるので1体が自由になってしまう。
やはり時間とコンビネーション、そしてレベルが足りない。レベル差が思ったような動きをすることを邪魔している。
「ガァァア!」
自由になった1体がこっちに来る。こいつは俺が相手にしないといけないかと思ったが、その前にガルが飛びかかった。その目には一種の覚悟のようなものが浮かんでいる。
「すまんガル!」
ガルとイージス、そしてシノブの為にも自由になっている俺が1体でも減らせるように尽力しなければならない。脚に力を込め、シノブが受け持っている2体の内の1体を蹴り飛ばし、そいつに向かってアーミーナイフを振るう。振るったナイフは左前脚に突き刺さるが、その後にナイスを握る腕に鋭い痛みが走った。血走った目で俺を見るホーンウルフに一瞬怯むが、痛みと恐怖を堪えて突き刺したナイフを噛まれていない左手に持ち替え、そのナイフをホーンウルフの右目に突き刺す。そしてそのまま無理やり【短剣術】のアーツ、【バークラピッド】を放つ。左手で放ったが故に精度は良くないが、右目に突き刺している状態ならそんなのは関係ない。
「【バークラピッド】ォ!」
斬り上げてから斬り下ろすだけの技ではあるが、左手で放ったが故の力の不足とナイフがホーンウルフの骨を貫通できなかった事と合わさってアーミーナイフでホーンウルフの頭の中を物理的にかき回した。そこでホーンウルフ1体が力尽き、顎の拘束から右手が解放される。
1体は倒せたがまだ4体いる。イージスは2体を受け持ってもらっているし、ガルは苦戦している。シノブも油断できない状況だ。
俺の判断ミスから始まったこの戦いはまだまだ終わらない。




