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ぼっち姫、あいつの正体。

 

 皆が無事だったならそれでいい。

 そうだ。今はそれでいい。


 少しだけ落ち着いてきた。


 身体の方もほとんど元に戻ったと言えるくらいには回復したし、あとはクレバーのボスだけだ。


 確かキャメリーン、だったか。


「めりにゃん。キャメリーンって名前に聞き覚えがあるんじゃないか?」


 デュクシに手を貸してもらいながら立ち上がり、めりにゃんに問う。

 多分彼女は知っている筈だ。


「キャメリーンが、この件にかかわってるのじゃな? そやつは魔王軍の中でも特殊な部隊に居た奴じゃ。戦闘力は大した事ないのじゃが……やっかいな能力を持っておる」


 俺達はめりにゃんからキャメリーンの力について説明を受けた。


 簡単に説明するとこうだ。

 キャメリーンという魔物は、特に力も無ければ攻撃魔法が使える訳でもない。


 しかし、自分を透明化し風景に溶け込んだり、自分の気配を完全に消したりできるらしい。


 そして、もう一つ。

 自分の姿を変える事ができる。



「うわ、それはかなりめんどくさいっすね」


 デュクシは能天気だが、他の連中は大体事情を察したらしく無言で俯いた。


「やはり……我の勘は当たっていたのであるな」


「え、なんすか? どういう事っすか??」


 状況を分かってないのはデュクシだけ。さすがおバカ。


 ライゴスはあの時本当に街の様子が気になってめりにゃんを置いていった訳じゃない。


「あいつの後を追ったんだろう?」


「……そうなのである。どうにも同類の匂いがしたので追いかけたのであるが……それ自体が罠だったのである。すぐに見失って、家に戻ってみればヒルダ様が居なくなっていたのである」


「じゃああの時儂をさらって行ったのはあいつじゃったのか……」


「まんまとやられました。きっと私の事も透明になってさらうタイミングを計っていたんですね……」



「セスティ殿! とりあえず報告しておきますが、騎士団員に声をかけてみた所やはり勇者リュミアの姿を見た者はいないと……」


 テロアが息を切らしながら走ってきて、そう言うのだが、まぁ、もういいんだそれは。

 また探せばいい。


「それと、この建物の地下に大量の奴隷達が捕まっている部屋がありまして、全てこちらで保護する事になりましたのでご安心を。一部人間ではない種族の者もいますが、責任をもって対応させて頂きますので」


 相変わらずこのテロアって男は馬鹿正直というか大真面目というか。


「それと、セスティ殿にお客様が来ていましたのでお連れしました」


 客……? あぁ、そういう事か。


「皆さんご無事でしたか! まさか騎士団が動いてくれるとは思わなかったですよ。これはセスティ殿が手配したのですか?」


「いや、俺じゃない。勇者リュミアが全部根回しをしてくれたんだ」


 俺を訪ねてきたというのはジャックス。

 これだけ大騒ぎしていれば流石に気付くだろうし、駆け付けるとは思っていた。


「俺達もお前を待ってたんだよ」


「……おや? それはどういう意味でしょうかね?」


 ジャックスがすっとぼけてニヤニヤ笑う。


「え、え? 何がどうなってるんすか? なんでみんなそんな怖い顔してるんすか?」


 こんな時でもマイペースなおバカデュクシなのであった。


「なぁジャックス。もういろいろ分かってんだぞ? それともキャメリーンって言った方がいいか?」


「さてさて。セスティ殿は一体何を言っているんでしょう? 私にはわかりかねます」


「すっとぼけんじゃねぇよ。いつジャックスと入れ替わりやがった? 本物はどうした?」


 もう殺されているのかもしれないが、生きているのならば助けてやらないと。


 ジャックスは驚きもせずに、「くっくっく」と笑い続ける。


「何がおかしいのじゃ!」


 イラついためりにゃんがジャックス……いや、キャメリーンに怒鳴る。


 めりにゃんはこいつにさらわれて怖い目にあわされてるから怒ってもしかたないだろう。


「何がおかしいって……いやいや、随分おめでたい人たちだなぁと思いましてね」


 本性を現すようにジャックスの姿がぐにゃりとゆがみ、口元が大きく裂け、粘着質の長い舌が垂れ下がった。

 皮膚は暗い緑いろでザラザラしており、目玉がとても大きくギョロっとしていて結構グロい。


「うわー! ジャックスさん魔物だったんすか!?」


 もういいお前黙ってろよ。


「ななな、なんと私は魔物を手引きしてしまったのですかー!?」


 お前も黙ってろ!!



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