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ぼっち姫、新人をテストする。

「とりあえずお前らの実力が知りたい。アレをお前らだけで倒してこい」


 かなり人間性に難がありそうな二人だったが、背に腹は代えられないのでこいつらで妥協した俺は、どの程度使える奴らなのかを確かめる事にした。


「アレって……マジすか?」

「二人で倒すのは大変そうですね……」


 うーん。アレを目の前にして出てくる感想がそれって事はあまり期待できそうにないな。



 俺達は王都から転移魔法を使って大陸の南にあるファイラスの森へとやってきた。


 正確には転移魔法が込められているアイテムを使用したのだ。

 うちの大賢者アシュリーのお手製で、使い方さえ知っていれば誰でも転移魔法が使える便利な品物なのだが、勿論デメリットはある。


 このアイテムはメインとなる掌サイズのクリスタルと、あとよく分からない粉に分かれていて、あらかじめ行きたい場所に粉を撒いておかなければならない。


 アシュリーが言うにはその粉が発する魔素をクリスタルが感知して座標を認識するのだとか。

 一度撒いた粉の効果は約半年。

 以前撒いた時から結構経っているので本当に大丈夫か心配だったが無事にファイラスの森へたどり着けたようだ。


 この森はそれなりに高レベルの魔物が居るが、今目の前にいるのは……中級冒険者なら余裕で倒せる、という程度。


 俗に言うトロール。

 図体がでかいだけで、よく見れば攻撃も単調だしとにかくトロい。

 体力はあるが二人で連携をとれば倒せない相手じゃないだろう。


「まぁごちゃごちゃ言ってねぇでとにかく戦ってみろ。不甲斐ない闘いするようなら罰として蹴っ飛ばしてやるからそのつもりでな」


「ハイっ! 行ってきます♪」


 ……なんか喜んでなかったか?

 世界は広い。分からない事もまだまだあるんだなぁ。


 ハーミットなんとかデュクシなんとかいう男は軽くスキップしながらトロールの方へ向かった。


「あ、あの……」



 ナーリアが遠慮がちにこちらをちらちら見てくる。

 怖くなってしまったのだろうか?


「あの、勝てたら……ぎゅってしていいですか?」


 世界は広い。


「お、おう」


「いぃぃぃぃやっほぉぉぉぉう!」


 突然テンションを振り切ってナーリアがトロールに向かって駆けていった。


 お前弓使いなんだから近寄る必要ねぇだろうが。



 ハーミット……なんだっけ、デュクシなんとか。

 もうデュクシでいいや。

 スキップしながら近づいてくるデュクシに気付いたトロールは、緩慢な動きだが確実に手に持った丸太を振りかぶる。


 まだ動くな。

 あと三秒。二、一。

 そこで右へ飛べ。


 しかし、デュクシは振り下ろされた丸太を左に避けてしまう。

 そちらは足場が悪くなっている上に、生えている木の密集度が低い。

 トロールが暴れやすい環境の方に逃げるのならその後の事を考えておかないと。


 案の定、トロールは動きやすい場所に出て本領を発揮したようだ。


 トロールが丸太を振りかぶり、今度は右上から左下へ振り回す。


 そこでデュクシがデコボコした地面に足をとられ体勢を崩してしまう。


 ……これは痛いかもしれないが勉強だと思って諦めろ。


 直撃しても死んでなければ治してやるよ。


「ぐががっ?」


 デュクシ本人も青い顔をして直撃を覚悟したようだが、その時ナーリアの放った弓がトロールの右目に突き刺さった。


 一瞬何が起きたのか分からなかったデュクシも、ナーリアの「今です!」の言葉に必死に反応してトロールに飛び掛かった。


 もう片方の目に剣を突き立てる。


 トロールは暫く両目に突き刺さったそれらを抜こうともがいていたが、「使って!」とナーリアが短剣をデュクシに向かって投げ、空中で器用にそれを受け取った彼は片膝ついて呻いていたトロールの膝を踏み台にして体を駆けあがり、その短剣を脳天に突き刺した。


「ぐぎゃっ、ぎっ……」


 それがトロールの最期の言葉だった。


「はぁ、はぁ……、どうだこんちくしょー!」


「はぁ、はぁ……、これででゅふふふふ……」


 トロールを倒した二人の「はぁはぁ」の意味合いが違いすぎて怖いんですが。



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