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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第五章:逃れられぬ過去。

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魔王様は思い知らせたい。

 

「そ、そんな……こんな事って……」


「くそっ……確かにこりゃヒールニントに見せられたもんじゃねぇな……」


「ヒールニントが、死んだ……? どういう事……?」


 俺達の目の前で、その記憶が再生されていく。


 炎上する村。

 生き残りを助けるべく走り出すヒールニント。


 それを追いかけるデュクシ。


 見失い、仲間の元へ戻ってみればロンザとコーべニアが惨殺されていた。

 相手は……いつだったか俺が王国で戦ったギルガディアという魔族だ。


 確かにあいつ相手に普通の人間じゃ太刀打ちできないだろう……。


「あぁ……そうそう、そう言えば……こいつらと遊ぶ前に……もう一人居たなぁ?」


 ギルガディアの牙には金髪が絡んでいるのが見えた。


 いったいどういう事だ?

 ギルガディアがヒールニントを殺したというのならいったい今この国にいるヒールニントは?


 そして、絶望したデュクシは死に物狂いでギルガディアを退かせるまでに追い詰める。

 自らも死にそうになりながら。


 その時のデュクシの眼は、何が何でも目の前のこの魔族だけは殺す。命をかけてでも殺す。そういう意思が鋭く鈍く光っていた。


 最後のリンシャオととても良く似ている。

 あいつもこんな目をしていた。


『やぁ、こうして話をするのは初めてかな?』


「アル……!」


 メアがギリギリと歯を食いしばる音が聞こえる。

 皆息を飲んだ。


 満身創痍のデュクシの前に現れたのは、あのアルプトラウムだったのだから。


 そして、そこからのデュクシの経験、映し出される映像に誰も口を開く者は居なかった。


 ヒールニントを生き返らせるためにアルプトラウムの誘いに乗り、そこからは自分の力で何度も何度も気が遠くなる程の繰り返し。


 俺達はそれをダイジェストで、しかも早送りで見ているような状態だったのにも関わらずそれが永遠に続く責め苦のように思えた。


 そうしていつしかデュクシは精神がおかしくなってしまい、狂気に取りつかれてしまう。


 彼女を救う為にいろいろな事を試すようになる。勿論あらゆる手を尽くしてきていたが、それでもヒールニントは死んでいく。

 それを打開する為にデュクシが試した策が、あらかじめロンザとコーべニアを殺してしまう事だった。


 泣き叫んで、辞めて下さいと縋りつくヒールニントに顔色一つ変えずデュクシは今まで一緒に旅をしてきた仲間を切り伏せた。


 どれほど苦しかっただろうか。

 どれほど辛かっただろうか。

 どれほど、絶望しただろうか。


 肉体も精神も擦り切れてボロボロになったデュクシに、アルプトラウムは一つの提案を持ち掛ける。


 そうして二人は一つになった。

 デュクシであり、アルプトラウム……。


 その映像の中で、他にも分かった事、驚いた事が幾つもあったのだが……。


 それらも含めあまりの衝撃に俺達は映像が終わった後もしばらく口を開く事が出来なかった。


 静寂を破ったのは、デュクシと一番関係が浅いメア。


「そんな……まさか、ヒールニントが……」


 彼女にとってはデュクシがアルプトラウムと同化するに至った経緯よりも、重要な問題が最後に判明してしまった。


 勿論、それはメアだけではなく俺にとっても驚くべき事実だったのだが……。


 ヒールニントの出自について。


 彼女は捨て子だった。

 ローゼリアの教会に捨てられており、それを育ての親に拾われた。


 彼女の異常なほどの治癒の奇跡は、ローゼリア王族の血を引いている事による物だった。


 それは、ヒールニントが神の血を引いているという事になる。


 そして、ヒールニントがローゼリアの王族だという事は、俺にとってのこの身体、ロザリアの姉妹だ。


 勿論、存在してはいけない子供として捨てられているのだから母親は違うだろう。

 そして同時に、ヒールニントの本来の親は、メアに殺されている可能性が高い。


 メア本人もその事に気付いてしまったのだろう。暗くてよく見えない状況ですら酷い顔をしているのが分かる。


 ヒールニントは強い力、神の力を治癒の奇跡という形で色濃く受け継いでいた。

 そんな彼女はあの場で死ぬ運命にあり、その運命を無理矢理捻じ曲げる事は因果に大きな乱れを呼ぶ。

 それを修正する力が働き、繰り返しヒールニントは死に続けた。


 俺にはそんな事を言われてもよく分からんが、結果的にデュクシは神に魂を売り渡してでも彼女を救った。


 やり方がそれしか無かったとはいえ、大切な人の為にそこまで出来るデュクシを俺は誇りに思うよ。


 だからこそ、あいつは俺が連れ戻してやらないと。


 そうなってこそ本当の意味でヒールニントが救われる。


 デュクシがやろうとした事は……確かに達成された。


 運命を捻じ曲げてみせた。

 それはこの世の理から逸脱した行為で、だからこそあいつが人間を辞めてしまった事の証明になってしまう。


 でもお前が助けた命ならば幸せにならなきゃ意味がないだろう?


 どう考えたって彼女の幸せにはお前が必要なんだよ。


 お前にとっての幸せも、そうなんじゃねぇのか?


真実を知り、新たな決意を胸に動き出します。

そして……ここで見た事実はメアにとって重く伸し掛かる事になるでしょう。

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