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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第四章:戦火の海へ。

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魔王様がスルーしてきたツケ。


 それにしても俺の心配は完全に杞憂に終わった。

 リンシャオを疑っていた、という訳ではないが、彼女が裏で糸を引いている可能性は高いと思っていた。


 しかしこれでメアに一ついい土産話が出来たな。

 後は人質をしっかり救出して、ウォンとかいう奴をなんとかすればこんな所に用は無い。


 もうディレクシアがこれ以上砲撃を受ける事もないし、あっちは大丈夫だろう。

 リンシャオに任せておけば魔導兵装もおとなしくなる。


 動きが止まってしまえばあとはライゴスやロピねぇ達に頑張ってもらって……いや、そこまで行けば騎士団の力を借りて大人数で引き剥がした方が早いだろうな。


『あの大きな魔力は魔導兵装を操る装置からだったのですね』


「ん? ああ、そうらしいな」


『あのおなごさおっかなかったべ……』


 チャコの直接頭の中に聞こえてくるような声もやっと慣れてきた感じがする。


「確かに……俺も直接会うのは初めてだったけどなかなかに癖の強い女だったな」


 なんとなく以前のメアのような刺々しさが見え隠れしてる。


 出来れば敵に回したくないタイプだよなぁ。


『このまま進めば人質が居るって話だったけんども、もう一つの方向には何があったんだべか?』


「多分これだけの物を空に浮かせる何かだろうぜ」


 機械の事はよく分からねぇけどこんなもんを空に浮かべるなら訳の分からん物が沢山詰まってる筈だ。


 ウォン一人で動かせるような物なのかどうかはともかく、兵達をここまで連れてくる輸送機の役目も果たしていたんだろうし、必要な物は多い。

 飛行機能を担う部分、輸送の為のスペースなどなど……本当なら隅々までいろいろ調べてみたいもんだがそんな余裕は無い。


 そうか、もしかしたら海の中から来たって言うのもコレかもしれないぞ。


 アルプトラウムが技術を提供なんて言ってたから、水空両用でも不思議ではない。


 一撃めの砲撃は角度的に地上からだったように思うので、恐らくこの予想は当たっているだろう。


 それに、地上にこんな物が現れエネルギー充填を始めたからこそテロアが避難しろと駆け込んできた……そう考えるのが一番しっくりくる。


 実際の所どうなのかは別として、状況を把握しておくに越した事はない。


「そういえばメアはどこに居るか分からないのか?」


『それならこの先に居るべさ』


『不思議と近付くまで魔力感知が出来ませんでした。これも彼女の特異な性質かもしれません』


 少し気にはなったけれどアーティファクトでも居場所は分からないような奴だからな。

 離れた場所から魔力の感知が出来なくてもおかしくはない。


『その角を曲がればすぐです』


 メディファスの声に案内され突き当たりを曲がる。


 そこは先ほどよりもいかつい扉があったが、既に開けられていた。


 ドアノブがついていたがねじ切られている。


「……こりゃ間違いなくメアだな」


 中がどういう状況か分からないのでゆっくり、気配を殺して進む。


 先程よりも狭い通路があり、道の両側にはかなり広い檻が備え付けられていた。


 その中にはライデンの住人なのかロンシャンの住人なのか分からないが、人が沢山倒れていた。


「メディファス。この人達の安否は分るか?」


『解析完了。薬物で眠らされているだけのようです』


『ぐぬぬ……!』


 なんかチャコがメディファスに対抗心燃やしてるみたいだがさすがにこういう調べ事はメディファスに軍配が上がる。


「メアは何処だ? なんで人質をそのままにしてるんだ……」


 まぁ大体の理由は分るけれど。

 この倒れてる人達の中にうちの母親が居ないからだ。


 檻は壁一面に広がっていて、更に奥の部屋へ続いている。

 通じているドアも乱暴に開けられていて、メアが奥へ行ったのは明らかだった。


『主、気を付けて下さい』


「ウォンって奴の事か? 少なくともここには居ないようだぞ」


 次の部屋へ踏み込むと、そこにも檻が広がっていて、その先。

 一つだけ独立した檻があった。


 その中に……。


「んな馬鹿な! お前何やってんだよ!!」


 檻の中に、うちのおふくろとメアが倒れていた。


 既にメアがやられているだと……!? そんな馬鹿な事があってたまるか!


「さっさと二人を檻から出すぞ!」


 思えば、俺はこの時踏みとどまるべきだったのだ。


 わざわざ独立した檻があった事。

 何故かそこにおふくろが居た事。

 あのメアが倒れている事。


 仮に罠だったとして、薬物の類だろう、俺には効かない。


 メアをおふくろを抱えて檻を出ようとしたのだが自動で檻が閉まり、それを蹴り破ろうとした所で酷い眩暈に襲われた。


『こ、これは呪術だべ! 早くここから逃げないとまずいべさ!!』


「呪、術……?」


 メアが簡単にやられる筈はない。だとしたら、それ相応の理由がある筈だった。それに気付くべきだった。


『こんな所に魔術使いが居たなんて想定外だべさ! ど、どないしたら……!!』


 呪術……魔術……俺は薄れゆく意識の中で、どこかで聞いた言葉のように思えて記憶を辿った。


 既に身体は地面に横たわっている。

 いつか、こんな事があった気がする。

 今と同じように倒れて動けなくなった事が。


 ……あれは、確か。

 そう、リュミアが俺を助けに来て、だけど体が動かなくて……。

 どうして? あれは、どうしてだったか。


 ショコラ。


 ショコラが言っていた。スキルではないが、魔術と忍術と柔術が出来ると。


 そういえば魔術ってのがどういう物なのか、ちゃんと聞いた事が無かった。

 こんな事ならもっと、ちゃんと……話、を……。


 情けない事に、二人と一緒に倒れたまま、俺の意識はそこで途切れた。

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